月の異名 ─ 三日月・望月・十六夜...日本の美しい月の呼び名

この記事でわかること
三日月、望月、十六夜、有明月──日本には月の満ち欠けを表す美しい呼び名が数十種類。月齢ごとの名前と由来、和歌での使われ方を解説します。
目次
月の異名 ─ 三日月・望月・十六夜...日本の美しい月の呼び名
日本人は月の満ち欠けの一日一日に固有の名前をつけてきました。「十六夜(いざよい)」は月の出がためらうように遅くなる様子から、「寝待月(ねまちづき)」は寝ながら月を待つ姿から。月の名前を知ることは、日本語の豊かな感性に触れることでもあります。
月の名前の全体像
月は約29.5日のサイクルで新月から満月へ、そしてまた新月へと姿を変えます。日本では月齢のほぼ毎日に異なる名前がつけられています。
| 月齢 | 呼び名 | 読み | 月の状態 |
|---|---|---|---|
| 0 | 朔(さく)/ 新月 | さく / しんげつ | 月が見えない |
| 1 | 朔月(さくげつ) | さくげつ | ほぼ見えない |
| 2 | 繊月(せんげつ)/ 二日月 | せんげつ / ふつかづき | 極細い糸のような月 |
| 3 | 三日月 | みかづき | 細い弓形の月 |
| 7 | 上弦の月 | じょうげんのつき | 右半分が光る半月 |
| 10 | 十日夜の月 | とおかんやのつき | 半月より少し膨らむ |
| 13 | 十三夜月 | じゅうさんやづき | ほぼ丸いがやや欠ける |
| 14 | 小望月(こもちづき) | こもちづき | 満月の前夜 |
| 15 | 望月(もちづき)/ 満月 | もちづき / まんげつ | まん丸の月 |
| 16 | 十六夜(いざよい) | いざよい | 満月からわずかに欠ける |
| 17 | 立待月 | たちまちづき | 立って待つ月 |
| 18 | 居待月 | いまちづき | 座って待つ月 |
| 19 | 寝待月 | ねまちづき | 寝ながら待つ月 |
| 20 | 更待月 | ふけまちづき | 夜更けまで待つ月 |
| 23 | 下弦の月 | かげんのつき | 左半分が光る半月 |
| 26 | 有明月 | ありあけづき | 夜明けに残る月 |
| 29 | 晦(つごもり) | つごもり | 月が隠れる |
新月から三日月 ─ 始まりの月
朔(さく)─ 月齢0
「朔」は「はじまり」を意味し、月のサイクルの出発点です。新月とも呼ばれ、月は太陽と同じ方向にあるため地上からは見えません。旧暦では朔の日が必ず月の1日(ついたち)になりました。「ついたち」という言葉自体が「月立ち(つきたち)」に由来します。
繊月(せんげつ)─ 月齢2
「繊」は「細い糸」の意味。日没後の西の空にわずか数分だけ姿を見せる極細の月で、肉眼で確認すること自体が難しいほどです。「二日月(ふつかづき)」とも呼ばれます。
三日月(みかづき)─ 月齢3
最も親しまれている月の異名です。「三日の月」が転じて「みかづき」になりました。細い弓形の月で、日没後の西の低い空に約2時間ほど輝きます。
三日月の別名:
- 眉月(まゆづき)─ 眉のような形から
- 若月(わかつき)─ 若々しい月の始まり
- 初月(はつづき)─ 月の周期で最初に見える月
上弦から満月 ─ 満ちる月
上弦の月(じょうげんのつき)─ 月齢7
上弦の月は右半分が光る半月です。弓を張った形に見えることから「弦」の字が使われます。「上弦」は月の前半(上旬)に現れることに由来します。夕方に南の空高くに見え、真夜中に西に沈みます。
十三夜月(じゅうさんやづき)─ 月齢13
満月の二日前の月。旧暦9月13日の十三夜は、十五夜に次ぐお月見の夜として大切にされてきました。完全な丸ではない「未完の美」を愛でる、日本ならではの美意識がここにあります。
小望月(こもちづき)─ 月齢14
満月の前夜の月。「望月にはまだ少し足りない」という意味で「小望月」と呼ばれます。明日の満月を待つわくわく感を込めた名前です。「待宵月(まつよいづき)」とも呼ばれ、待つことの楽しさを表しています。
望月(もちづき)─ 月齢15
「望」は「満ちる」「完成する」の意味。まん丸の月が一晩中空を照らします。「満月」は現代の呼び方で、古典では「望月」が正式な呼び名でした。
「この世をば わが世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば」─ 藤原道長
この和歌に詠まれた望月は、完全無欠の象徴として日本文学に深い足跡を残しています。
十六夜から更待月 ─ 月を「待つ」名前
満月を過ぎると、月の出は毎晩約50分ずつ遅くなります。人々は月を待ちながら、その待ち方を名前にしたのです。
十六夜(いざよい)─ 月齢16
「いざよう」は「ためらう」の意味。満月の翌日、月の出がためらうかのように少し遅くなることから名づけられました。古典文学では満月に次いで多く詠まれた月です。
立待月(たちまちづき)─ 月齢17
立ったまま月の出を待てるほどの時間で月が出てくることから。満月より約50分遅い月の出です。
居待月(いまちづき)─ 月齢18
立って待つには少し長く、座って(居て)待つくらいの時間。満月より約1時間40分遅れて昇ります。
寝待月(ねまちづき)─ 月齢19
座って待つのも疲れて、横になって(寝て)待つほどに月の出が遅くなります。「臥待月(ふしまちづき)」とも呼ばれます。夜の9時〜10時頃にようやく姿を見せます。
更待月(ふけまちづき)─ 月齢20
「更」は夜が更ける意味。夜も更けた頃にやっと昇る月で、夜の10時〜11時頃の月の出です。ここまで遅くなると、月を待ち続ける人はよほどの風流人でしょう。
下弦から晦 ─ 欠けゆく月
下弦の月(かげんのつき)─ 月齢23
下弦の月は左半分が光る半月です。月の後半(下旬)に現れることから「下弦」と呼ばれます。真夜中に東の空から昇り、朝まで見られます。
有明月(ありあけづき)─ 月齢26
「有明」は夜明けにまだ月が残っている状態を指します。朝の空に白く浮かぶ月の姿は、一日の始まりと月の終わりが交差する儚い美しさを持っています。
晦(つごもり)─ 月齢29
「月隠り(つきごもり)」が転じた言葉。月がほとんど見えなくなり、次の新月を迎えます。月末を「晦日(みそか)」と呼ぶのはこれに由来し、年末の「大晦日(おおみそか)」もここから来ています。
月の異名と和歌
月の異名は万葉集の時代から和歌に詠まれてきました。
| 月の名 | 和歌(要約) | 出典 |
|---|---|---|
| 三日月 | 三日月の 弓のごとくに...(弓張の月を詠む) | 万葉集 |
| 望月 | この世をば わが世とぞ思ふ 望月の... | 藤原道長 |
| 十六夜 | いざよいの 月にたずねよ...(ためらう月に想いを重ねる) | 古今集 |
| 有明 | 有明の つれなく見えし 別れより... | 百人一首(壬生忠岑) |
月の名前を知って夜空を見上げると、千年前の歌人たちと同じ月を共有している感覚が生まれます。
月の名前を暮らしに取り入れる
月の異名を知ると、毎晩の月の姿がより味わい深くなります。
日常での楽しみ方:
- カレンダーで今日の月齢を確認し、対応する名前を思い出す
- 日記に「今日は居待月」のように月の名で記録する
- SNSに月の写真を投稿するとき、和名をキャプションに添える
- 子どもに月の名前を教え、一緒に月を探す
よくある質問
Q: 「十六夜」はなぜ「いざよい」と読む?
A: 「いざよう」は古語で「ためらう」「ぐずぐずする」の意味です。満月の翌日、月の出が約50分遅れてためらうように昇ることから「いざよい」と名づけられました。Q: 上弦と下弦はどう見分ける?
A: 日本では、右半分が光っていれば上弦の月、左半分が光っていれば下弦の月です。上弦は夕方〜真夜中に見え、下弦は深夜〜朝方に見えるという時間帯の違いもあります。Q: 月の異名は全部で何種類ある?
A: 主要なもので約20種類、別名や地方名を含めると30種類以上あります。本記事では代表的なものを紹介していますが、「二十三夜月」「二十六夜月」など数字で呼ぶものもあります。Q: 「望月」と「満月」は同じ意味?
A: ほぼ同じですが、「望月」は旧暦15日の月を指す古典的な呼び名、「満月」は天文学的に月が完全に照らされた状態を指します。旧暦15日と天文学的満月は1〜2日ずれることがあります。Q: 三日月以外に形を表す月の名前はある?
A: 「眉月(まゆづき)」は三日月の別名で眉の形から、「弓張月(ゆみはりづき)」は上弦・下弦の月の別名で弓を張った形から名づけられています。まとめ
日本語には月の満ち欠けの一日一日を表現する美しい名前が残されています。「立って待つ」「座って待つ」「寝て待つ」と、月の出を待つ人の姿が名前になるのは、世界でも類を見ない月への愛情の表れです。
| 月齢の区分 | 代表的な名前 | 特徴 |
|---|---|---|
| 新月〜三日月 | 朔、繊月、三日月 | 始まり、若さ |
| 上弦〜満月 | 上弦、小望月、望月 | 成長、完成 |
| 十六夜〜更待月 | 十六夜、立待月、寝待月 | 待つ心、風情 |
| 下弦〜晦 | 下弦、有明月、晦 | 静寂、再生 |
今夜の月を見上げて、その名前を思い浮かべてみてください。千年の時を超えて受け継がれてきた言葉が、夜空をより豊かに彩ってくれるはずです。
関連する知識
今日の月齢をチェック
参考文献・出典
- 月 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-05-16)
- 暦象年表— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-05-16)
- 暦計算室— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-05-16)
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本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
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