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旬野 椿の編集者ページへ旬野 椿/ 旬と食の歳時記
冬の節気11月7日〜11月21日頃

立冬の食べ物・旬の食材ガイド

立冬(りっとう)

冬の始まり、温かい鍋と冬の味覚を楽しむ

立冬の旬の食材

立冬は二十四節気のひとつ。暦としての意味や過ごし方は立冬の意味と過ごし方 →をご覧ください。

立冬の旬の食材

大根(大根)

冬大根は寒さで甘みが凝縮される。おでん・ふろふき大根の季節。

おすすめの食べ方:おでん、ふろふき大根、大根おろし
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白菜(白菜)

鍋物の主役。霜が降りるほど甘みが増す。

おすすめの食べ方:鍋物、キムチ、八宝菜
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ぶり(鰤)

別名:寒ぶり

冬に脂がのる出世魚。氷見の寒ぶりは冬の贅沢品。

おすすめの食べ方:ぶりしゃぶ、照り焼き、ぶり大根
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ねぎ(葱)

寒くなると甘みが増す冬の万能野菜。体を温める効果も。

おすすめの食べ方:鍋物、焼きねぎ、すき焼き
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縁起の良い食べ物・行事食

鍋はじめ

立冬に鍋を食べて冬を迎える風習。家族で鍋を囲むことで団欒と健康を祈る。

鍋の季節が始まる——冬の食卓は円く集まる

立冬は毎年11月7日前後に訪れる二十四節気の一つで、暦の上での冬の始まりを告げます。木枯らしが吹き始め、朝晩の冷え込みが身に染みるこの時期、日本の食卓の主役は自然と「鍋」に移っていきます。

鍋料理が日本の冬の定番となった背景には、単なる調理の合理性だけでなく、家族が一つの鍋を囲んで食べるという「団欒」の文化があります。一つの鍋から皆が取り分けて食べる行為には、食材だけでなく「温もり」を分かち合うという精神的な意味が込められています。江戸時代の庶民にとって、囲炉裏を囲む冬の食事は一日の中で最も心安らぐ時間でした。

立冬の節気について詳しくは立冬の解説ページをご覧ください。

冬の鍋料理

亥の子餅——旧暦十月亥の日の忘れられた風習

立冬の頃に重なる旧暦10月最初の亥の日には、「亥の子餅(いのこもち)」を食べる風習がありました。猪は多産の象徴であり、この日に餅を食べることで子孫繁栄と無病息災を祈願したのです。

平安時代の宮中行事に起源を持つ亥の子餅は、新穀の米で作られた餅に大豆・小豆・ごま・栗・柿・砂糖・飴の七種の粉を混ぜ込んだ贅沢な品でした。「亥の月、亥の日、亥の刻に餅を食べれば病にかからない」という言い伝えがあり、この日に炬燵や火鉢を出す「炉開き」も行われました。

現在でも京都の老舗和菓子店では、11月に亥の子餅を期間限定で販売しています。茶道の世界では「炉開き」の茶事で亥の子餅が供されるなど、この古い食文化は脈々と受け継がれています。

ぶりの出世魚文化——名前が変わる縁起の魚

立冬から本格的に旬を迎えるぶりは、日本を代表する「出世魚」です。成長に伴って名前が変わることから、立身出世の象徴として古くから慶事に欠かせない魚でした。

関東では「ワカシ→イナダ→ワラサ→ブリ」、関西では「ツバス→ハマチ→メジロ→ブリ」と、地域によって呼び名の変遷が異なるのも興味深い点です。最終形態の「ブリ」に至るまでに80cm以上の体長が必要であり、その成長の軌跡が人間の出世に重ね合わされたのです。

富山県では正月にぶりを一本丸ごと贈る「嫁ブリ」の風習が今も残り、新婚家庭の繁栄を願う贈答文化の中心にぶりが位置しています。年末年始に向けて脂がのる「寒ぶり」は、冬の味覚の王者と呼ぶにふさわしい存在です。

下仁田ねぎ——「殿様ねぎ」のブランド力

冬のねぎの中でも特別な地位にあるのが、群馬県甘楽郡下仁田町のみで栽培される下仁田ねぎです。「殿様ねぎ」の異名は、江戸時代に大名たちがこぞって取り寄せたことに由来します。

一般的な長ねぎと比べて太く短い外見が特徴で、生で食べると辛味が強烈ですが、火を通すと一転してとろけるような甘さに変わります。この「加熱変身」こそが鍋文化と深く結びついた下仁田ねぎの真骨頂です。

下仁田ねぎは他の土地では同じ品質に育たないとされ、その土地固有の風土と不可分な「テロワール」を持つ食材です。毎年11月から12月にかけての出荷期間は短く、まさに「旬」を体現する冬の野菜と言えるでしょう。

冬の体を温める食の知恵

立冬から始まる冬の食文化に共通するのは、体を内側から温めるという実用的な知恵です。中医学では食材を「温性」「涼性」などに分類しますが、冬に旬を迎える根菜類(大根、かぶ、ごぼう)やねぎ、生姜は「温性」の食材が多く、寒い季節の体に適しています。

大根は「大根おろしは医者いらず」と言われるほど、消化酵素のジアスターゼが豊富で胃腸の働きを助けます。冬の鍋にたっぷりの大根をおろして添えるのは、美味しさだけでなく健康面からも理にかなった食べ方なのです。

暦の上での冬の始まりに、鍋を囲み、旬の食材を味わう。それは何百年も受け継がれてきた日本の食の知恵であり、現代の食卓にも自然と根づいている冬の風景です。立冬の頃の暦と吉日は、福カレンダーの月間ページでご確認いただけます。

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旬野 椿

旬野 椿旬と食の歳時記

旬の食材と暦の関わりを、五感に訴える文章で届ける食の歳時記編集者。二十四節気に寄り添った食卓の提案から、旬の素材の選び方・保存法まで、暦を「食べる」楽しさを伝えている。

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