大雪の食べ物・旬の食材ガイド
大雪(たいせつ)
本格的な冬到来、年末の食卓を彩る味覚

大雪は二十四節気のひとつ。暦としての意味や過ごし方は大雪の意味と過ごし方 →をご覧ください。
大雪の旬の食材
大根(大根)
冬本番で甘みが最大に。年末のおでんや煮物に欠かせない。
ぶり(鰤)
寒ぶりの最盛期。脂がたっぷりのった冬の王者。
たら(鱈)
冬の白身魚の代表。身がふっくらとして鍋物に最適。
かに(蟹)
ズワイガニ・毛蟹の最盛期。年末のご馳走の定番。
縁起の良い食べ物・行事食
ぶりの照り焼き
ぶりは成長とともに名前が変わる「出世魚」。年末年始に食べることで立身出世を祈願する。
師走と食——年末に向かう日本の食準備
大雪は毎年12月7日前後に訪れ、山間部では雪が本格的に積もり始める時期です。暦の上では冬の半ばですが、日本の食文化においては、大雪の頃から正月に向けた食の準備が始まる大切な節目でもあります。
師走の「師」は僧侶のことで、年末の法要で走り回る忙しさを表すとされますが、台所もまた師走ならではの活気に包まれます。おせち料理の食材を吟味し、年越しそばの手配を考え、お歳暮の品を選ぶ——大雪から年末にかけての食にまつわる準備は、日本人にとって一年の締めくくりの大切な儀式です。
大雪の節気について詳しくは大雪の解説ページをご覧ください。

正月事始め(12月13日)——食の準備が本格化する日
大雪の期間中にあたる12月13日は「正月事始め」と呼ばれ、正月の準備を始める吉日とされています。この日が選ばれた由来は、かつてこの日が「鬼宿日(きしゅくにち)」にあたり、婚礼以外は万事に吉とされたことにあります。
京都の花街では、芸妓や舞妓が師匠やお茶屋へ挨拶に回る「事始め」の風習が今も続いており、鏡餅用のもち米を搗き始める家庭もかつてはこの日からでした。
現代では、正月事始めに合わせて年末の買い出し計画を立てる家庭も多く、築地場外市場や京都の錦市場、大阪の黒門市場など、全国の名だたる食の市場が師走の活気に包まれ始めます。東京のアメ横では、12月末になると数の子やかまぼこ、海老など正月食材の呼び込みの声が響き渡り、年の瀬の風物詩となっています。
ぶりの照り焼きと出世祈願——正月を彩る縁起の味
大雪から年末にかけて、ぶりは脂のりが最高潮に達します。この時期のぶりは「寒ぶり」と呼ばれ、富山の氷見、石川の能登、長崎の五島列島など、日本海側を中心に各地のブランド寒ぶりが競い合います。
ぶりの照り焼きが正月料理の定番である理由は、出世魚としての縁起の良さに加え、醤油と味醂の照りが「輝かしい新年」を象徴するからとも言われています。西日本、特に九州では正月にぶりを食べる風習が根強く、年末の贈答品として一本もののぶりを贈る「歳暮ぶり」の文化が残っています。
おせち料理の中でも、ぶりの照り焼きは「出世を願う」一品として欠かせない存在です。
たら——冬の鍋と保存食文化の立役者
「鱈」という漢字が「魚」偏に「雪」と書くとおり、たらは冬を象徴する魚です。大雪の頃から漁が本格化し、淡泊で上品な白身は鍋料理の主役となります。
たらは古くから保存食としても重宝されました。干しだら(棒だら)は京都のおせち料理に欠かせない「棒だらの煮物」の原料であり、内臓を塩漬けにした「たらこ」は全国的に親しまれる食材です。鮮度の落ちやすい魚だからこそ、保存技術を駆使して美味しく食べる知恵が各地で発達しました。
北海道や東北では、たらの白子(雲子)が冬の珍味として珍重されます。クリーミーで濃厚な味わいは「海のフォアグラ」とも称され、ぽん酢で食べる白子は大雪の頃ならではの贅沢です。
かにの年末贈答文化——お歳暮の花形
大雪の時期から年末にかけて、かには日本の贈答文化の主役に躍り出ます。ずわいがに、たらばがに、毛がにの「三大がに」はいずれもこの時期が旬であり、お歳暮やお年賀の定番品として高い人気を誇ります。
日本海側では、各地でブランドがにが競い合っています。福井の「越前がに」、石川の「加能がに」、鳥取・島根の「松葉がに」——いずれも厳格な品質基準を設け、タグ付けによるブランド管理を行っています。同じずわいがにでも、水揚げ港によって名前と値段が変わるのは、日本の食ブランド文化の象徴的な姿です。
かにを贈る文化は、高級食材を分かち合うことで一年の感謝を伝える日本的な心遣いの表れです。家族が集まる年末年始に、大きなかにを囲んで無言で食べる光景は、鍋の団欒とはまた違った冬の食卓の風景と言えるでしょう。
お歳暮と食——一年の感謝を「食」で伝える
大雪の頃に最盛期を迎えるお歳暮は、もともと年末にご先祖様への供え物を持ち寄る「歳暮(せいぼ)の礼」に由来します。この供え物が次第に、お世話になった人への贈り物に変化していきました。
食品がお歳暮の中心であり続ける理由は、「食は命をつなぐもの」という日本人の根本的な食への敬意にあります。ハムやビール、お菓子の詰め合わせといった現代的な品目も、原点をたどれば「年末に美味しいものを分かち合う」という精神に行き着くのです。
年末の慌ただしさの中にも、食を通じた感謝と祈りが織り込まれている——それが大雪から年末にかけての日本の食文化の本質です。この時期の暦と吉日は福カレンダーの月間ページでご確認いただけます。
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旬野 椿旬と食の歳時記
旬の食材と暦の関わりを、五感に訴える文章で届ける食の歳時記編集者。二十四節気に寄り添った食卓の提案から、旬の素材の選び方・保存法まで、暦を「食べる」楽しさを伝えている。
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