白露の食べ物・旬の食材ガイド
白露(はくろ)
朝露が白く輝く頃、秋の味覚が勢揃い

白露は二十四節気のひとつ。暦としての意味や過ごし方は白露の意味と過ごし方 →をご覧ください。
白露の旬の食材
さつまいも(薩摩芋)
収穫が始まり、2〜3週間の追熟で甘みが最大に。秋の味覚の定番。
里芋(里芋)
秋の収穫期。ねっとりとした食感が煮物に最適。
さんま(秋刀魚)
脂がのって最高に美味しい時期。秋の食卓の主役。
松茸(松茸)
秋の味覚の王様。白露の頃から出回り始める希少食材。
縁起の良い食べ物・行事食
お月見団子(十五夜)
白露から秋分の間に迎える十五夜に、月にお供えする団子。豊作への感謝と月の美しさを愛でる。
朝露が白く輝く頃、秋は本物になる
白露は「露が白く見える」と書きます。朝晩の気温がぐっと下がり、草木に降りた露が朝日に白く輝く ── そんな光景が、秋の本格的な到来を告げます。
この時期、空気が澄んで月がひときわ美しく見えることから、日本人は古くから月を愛でる文化を育んできました。白露から秋分にかけての満月が「中秋の名月」、いわゆる十五夜です。そしてお月見には、必ず食がともないます。

「芋名月」── 里芋が主役だった十五夜
現代のお月見といえば月見団子が定番ですが、もともと十五夜の主役は「里芋」でした。十五夜の別名「芋名月(いもめいげつ)」が、その名残を今に伝えています。
里芋の収穫は白露の頃に始まります。稲作が普及する以前、日本人の主食は里芋をはじめとする芋類でした。秋の実りへの感謝を月に捧げるとき、最も大切な食べ物である里芋を供えたのは自然なことだったのです。
里芋を丸ごと蒸して皮をむき、きぬかつぎ(衣被ぎ)として供える風習は、平安時代の貴族文化に由来します。里芋の白い肌が月光を連想させることから、月への供物にふさわしいとされました。月見団子が丸いのも、里芋の形を模したものだという説があります。
十五夜にはすすきと里芋、そして秋の七草を飾る。この組み合わせが、日本の秋の原風景です。
松茸 ── 世界一高価なきのこと日本人の執着
松茸は、世界で最も高価なきのことして知られています。ヨーロッパではトリュフが珍重されますが、松茸の市場価格はそれに匹敵、あるいは凌駕することも。しかし不思議なことに、松茸をこれほど珍重するのは世界で日本人だけと言っても過言ではありません。
この「松茸への執着」は、単に味が良いからだけではありません。松茸の香りは日本人にとって「秋そのもの」の香り。万葉集の時代から松茸は歌に詠まれ、平安貴族は松茸狩りを秋の風流な遊びとしました。「初松茸」は俳句の秋の季語であり、その年最初の松茸をいただくことは、秋との最初の出会いを意味します。
松茸が高価になった背景には、戦後の松林の荒廃があります。松茸はアカマツの根と共生する菌根菌で、人工栽培ができません。かつては庶民の味だった松茸が、環境の変化により希少品となったのです。松茸を食べることは、かつてあった豊かな里山の風景を偲ぶ行為でもあります。
土瓶蒸し、松茸ご飯、焼き松茸。どの料理も松茸の香りを最大限に生かすシンプルな調理法が好まれるのは、素材そのものへの敬意の表れです。
さつまいもの「追熟」── 先人の知恵
白露の頃から収穫が始まるさつまいもですが、実は掘りたてよりも、しばらく寝かせた方が甘くなることをご存じでしょうか。これが「追熟(ついじゅく)」の知恵です。
収穫直後のさつまいもはでんぷん質が多く、甘みはそれほど強くありません。風通しの良い日陰で2週間〜1ヶ月ほど寝かせると、でんぷんが糖に変わり、しっとりとした甘さが増します。現代の科学で言えば、アミラーゼという酵素がでんぷんを分解して麦芽糖を生成する反応です。
昔の農家はこの理屈を科学的には知らなくても、経験から「芋は寝かせると甘くなる」ことを知っていました。秋に収穫したさつまいもを冬至の頃に焼き芋にするのは、この追熟を見越した生活の知恵だったのです。
さんまと秋の月
白露の時期、さんまの脂ののりはさらに増しています。北の海から南下を続けるさんまは、三陸沖あたりでちょうど最高の状態に。七輪で焼くさんまの煙が、秋の月夜に立ちのぼる風景は、多くの日本人の記憶に刻まれた秋の情景です。
月と食を結ぶ日本の秋
白露の食卓は、月と深く結びついています。月見団子、里芋のきぬかつぎ、松茸の土瓶蒸し、焼きさんま。すべてが秋の月夜にふさわしい食べ物として、長い歴史の中で選び抜かれてきました。月を見上げながら旬のものをいただく。この素朴な行為に、日本の食文化の真髄があります。
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旬野 椿旬と食の歳時記
旬の食材と暦の関わりを、五感に訴える文章で届ける食の歳時記編集者。二十四節気に寄り添った食卓の提案から、旬の素材の選び方・保存法まで、暦を「食べる」楽しさを伝えている。
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