筥崎宮 放生会 2026年9月12日〜18日 ─ 博多三大祭の秋祭、七日七夜の暦を歩く

この記事でわかること
2026年の筥崎宮 放生会は9月12日(土)〜18日(金)の七日七夜。参道約1kmに約500軒の露店が並び、のべ100万人が訪れます。2026年は御神幸のない偶数年。白露(9/7)から秋分(9/23)へ向かう暦の底で、殺生を戒め実りに感謝するこの祭を、日ごとの暦注とともに読み解きます。
目次
九月の博多は、匂いで祭の始まりがわかります。参道に立ちのぼる焼きとうもろこしの煙と、山積みにされた新生姜の、鼻の奥にすっと抜ける青い香り。筥崎宮の参道を東へ歩くと、松並木のあいだに約1kmの露店の列が現れて、そこから先は完全に別の時間が流れています。
2026年の放生会(ほうじょうや)は 2026/09/12(土)から 2026/09/18(金) までの七日七夜。博多祇園山笠、博多どんたくと並ぶ博多三大祭の一つで、期間中にのべ100万人が訪れる、福岡の秋の始まりを告げる大祭です。
「放生会」とは ─ 殺生を戒め、実りに感謝する祭
放生会は「ほうじょうえ」と読むのが一般的ですが、博多では**「ほうじょうや」**と濁らずに呼びます。この読み方そのものが、土地に根を張った祭であることの証しのようなものです。
起源は、筥崎宮に伝わる「合戦の間多く殺生す、よろしく放生会を修すべし」という御神託。捕らえた生き物を野に放ち、万物の生命をいつくしみ、殺生を戒め、秋の実りに感謝する──それが千年以上続くこの祭の主題です。筥崎宮では仲秋大祭として、一年でもっとも重い祭典に位置づけられています。
筥崎宮の御祭神は応神天皇・神功皇后・玉依姫命。延喜21年(921年)の御神託に始まり、延長元年(923年)に現在の地へ遷座したと伝えられます。宇佐神宮・石清水八幡宮と並ぶ日本三大八幡宮の一社で、楼門に掲げられた「敵国降伏」の扁額は、蒙古襲来の記憶をいまに伝える筥崎宮の象徴です。
戦いの記憶を背負う社が、生き物を放つ祭を最大の祭典に据えている。この対比こそが、放生会という行事の芯にあるものだと、参道を歩くたびに思います。
2026年は「御神幸のない年」── その意味
放生会を調べていて最初につまずくのが、御神幸(ごじんこう)の有無です。
筥崎宮の御神幸は、神輿が氏子地域を渡御する神事で、西暦奇数年にのみ執行されます。つまり 2026年は偶数年にあたるため、神輿の行列は行われません。次回は2027年の予定です。福岡市の指定無形民俗文化財でもあるこの神幸行事を目当てにされる方は、年を間違えないようご注意ください。
ただし、御神幸がないからといって祭が小さくなるわけではありません。むしろ2026年は「露店と参拝の年」。神輿の動線に人が集中しない分、参道はゆったりと歩けますし、社殿での参拝や御朱印の列も比較的落ち着きます。初めて放生会を訪ねる方には、偶数年のほうがむしろ向いているとさえ言えます。
三つの名物 ─ 新生姜・チャンポン・おはじき
放生会の露店は約500軒。そのなかで、放生会でしか出会えない三つがあります。
新生姜は、参道のいたるところで葉付きのまま束になって売られます。この時期に博多周辺で穫れる新生姜を持ち帰り、風邪をひかないようにと願う。祭と収穫が直結している、いちばん素朴な名物です。
チャンポンは、麺料理ではありません。息を吹き込むと「ちゃんぽん」と澄んだ音が鳴る、薄いガラス細工のビードロのこと。驚くほど繊細で、力を入れると割れます。その頼りなさごと持ち帰るのが放生会の作法のようなものです。
放生会おはじきは、博多人形師の手による素焼きのおはじきで、毎年テーマが変わります。数量限定のため早朝から列ができる、この祭でもっとも入手が難しい授与品です。
暦で読む七日七夜 ── 日ごとの表情
放生会の七日間は、暦のうえでも表情が変わります。福カレンダーの暦データで、2026年の各日を確かめました。
| 日付 | 曜日 | 六曜 | 暦注 |
|---|---|---|---|
| 2026年9月12日 | 土 | 先負 | 不成就日 |
| 2026年9月13日 | 日 | 仏滅 | 寅の日 / 三隣亡 |
| 2026年9月14日 | 月 | 大安 | 一粒万倍日 |
| 2026年9月15日 | 火 | 赤口 | 大明日 |
| 2026年9月16日 | 水 | 先勝 | 巳の日 / 十死日 |
| 2026年9月17日 | 木 | 友引 | ─ |
| 2026年9月18日 | 金 | 先負 | 大明日 / 受死日 |
初日と最終日が土曜・金曜、中日の14日が月曜という並びです。人出という点では初日の土曜と、翌13日の日曜に山が来ます。
暦の面で目を引くのは 2026/09/14(月)。大安と一粒万倍日が重なる、この七日間で唯一の重複吉日です。参拝や授与品を目的に一日だけ選ぶなら、この日を推したいところ。平日で人出も落ち着きます。
一方 2026/09/13(日)は寅の日ですが三隣亡が重なり、16日は巳の日と十死日、18日は受死日が入ります。ただしこれらは建築や普請にかかわる凶日で、祭に参るうえで避けるべき日という性格のものではありません。放生会はもともと、暦の吉凶とは別の理路で立てられた祭です。日付が固定されているのも、九月十二日から十八日という日並びそのものに意味があるからです。
白露から秋分へ ── 放生会が置かれた季節
放生会が始まる直前、2026/09/07(月)に白露を迎えます。草の葉に露が結び、朝の空気がはっきり冷たくなる頃。そして祭が終わって五日後の 2026/09/23(水)が秋分です。
つまり放生会は、夏が完全に去り、昼と夜の長さが釣り合う地点へ向かう、その谷間に置かれています。実りを目前にして、まだ収穫は終わっていない。感謝を捧げるにはちょうどよい未完了の時間帯です。夜の参道が心地よく歩けるのも、まさにこの時期だからこそ。
さらに一週間後の 2026/09/25 には中秋の名月が控えます。放生会から十五夜へ、九月の博多はそのまま秋の深みへ入っていきます。旬の食材については白露の頃の旬も参考にしてみてください。
訪ねる前に
会場は筥崎宮(福岡市東区箱崎1-22-1)。地下鉄箱崎線「箱崎宮前駅」1番出口が最寄りで、駅を出ればもう参道です。JR鹿児島本線「箱崎駅」からも徒歩圏内。期間中は周辺道路が大幅に規制され、駐車場も使えないため、公共交通機関以外の選択肢は実質ありません。
露店は例年おおむね昼前から22時頃まで。もっとも混み合うのは土日の18〜21時です。ゆっくり歩きたい方は、平日の昼下がりか、22時前の店じまい間際が狙い目。提灯が落ちていく時間の参道は、昼とはまるで別の場所です。
日付と暦の対応は2026年9月のカレンダーで確認できます。九州のほかの社寺と組み合わせて巡るなら九州のパワースポットと吉日を、博多三大祭の残る二つは博多祇園山笠と博多どんたくにまとめています。九月の各地の行事は9月の年中行事から、全国の地域行事は2026年 神社・地域行事ハブからどうぞ。
千年、生き物を放ち続けてきた祭です。新生姜の束を提げて帰る道で、少しだけ足を止めてみてください。
出典・参考: 筥崎宮公式サイト(hakozakigu.or.jp)/福岡市文化財情報「筥崎宮神幸行事」/国立天文台暦計算室「令和8年暦要項 二十四節気および雑節」。六曜・暦注は福カレンダーの暦データベースで検証しています。日程・時間は変更される場合があるため、お出かけ前に公式サイトでご確認ください。
参考文献・出典
- 文化財オンライン (文化庁)— 文化庁(参照: 2026-05-16)
- 神社本庁 公式サイト— 神社本庁(参照: 2026-05-16)
- 観光庁— 国土交通省 観光庁(参照: 2026-05-16)
2026年の暦カレンダー
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旅河 楓旅と祈りの編集者
- パワースポット
- 神社仏閣
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全国の神社仏閣・パワースポットを自分の足で歩き、土地の歴史と信仰を紐解く旅する編集者。地元の方への取材を大切にし、ガイドブックには載らない「祈りの風景」を伝える記事が読者に支持されている。
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本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
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