川越まつり2026年10月17日・18日 ─ 26台の山車が蔵の町で向き合う曳っかわせ、甲子の土曜と仏滅×十死日の日曜を暦で歩く

この記事でわかること
川越氷川神社の例大祭に連なる「川越まつり」は2026年10月17日(土)・18日(日)。26台の山車が蔵造りの町を巡り、夜は曳っかわせで最高潮に。神幸祭・宵山・市役所前巡行の時刻と、甲子の日と仏滅×十死日が並ぶ二日間の暦の読み方を旅河楓が案内します。
目次
夕暮れの一番街。蔵造りの黒い壁に提灯の明かりが映りはじめるころ、辻の向こうから笛と太鼓の音が近づいてきます。二台の山車が正面から向き合い、上段の囃子台がくるりと回る。曳き手たちが提灯を高々と掲げると、見物の人垣から歓声がわき上がる。川越まつりの「曳っかわせ(ひっかわせ)」です。
埼玉県川越市の川越まつりは、川越氷川神社の例大祭に連なる秋の祭礼です。「川越氷川祭の山車行事」として国の重要無形民俗文化財に指定され、ユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つにも登録されています。毎年10月の第3日曜日とその前日に行われ、2026年は**10月17日(土)・18日(日)**の開催予定です。
福カレンダー編集部で地域の祭事を担当する旅河楓です。この記事では、2026年の日程と時刻、二日間の暦の読み方、祭の成り立ち、そして人波の中で曳っかわせを楽しむための歩き方を、順を追って紹介します。
2026年10月17日・18日の日程 ─ 神幸祭から夜の曳っかわせまで
川越まつりの公式サイトは、9月14日に令和8年の詳細情報を公開しました。主な行事の時刻を一つの表にまとめます。
| 日付 | 行事 | 時刻 | 見どころ |
|---|---|---|---|
| 2026/10/17(土) | 神幸祭 | 13:00 川越氷川神社出御/14:30頃 還御 | 神輿が氏子の町を巡る、山車行事の原型となった儀式 |
| 2026/10/17(土) | 宵山 | 18:00〜19:00頃 | 提灯を灯した山車が居囃子を披露 |
| 2026/10/18(日) | 市役所前の山車巡行 | 13:30〜16:00頃 | 一か所で多くの山車を見られる |
| 両日 | 曳っかわせ | 随時(夜が最高潮) | 向き合った山車同士の囃子の競演 |
公式サイトには「各山車は下記スケジュールに限らず曳行されています」とあり、交通規制の範囲内なら、表に載っていない時間帯にも町のあちこちで山車に出会えます。出かける前に押さえておきたい点は次のとおりです。
- 交通規制:両日とも10:00〜22:00、中心市街地は車両通行禁止。自転車も乗って通ることはできず、押して歩く決まりです
- 臨時駐車場・駐輪場:両日とも8:30〜22:00(23時に施錠)。ただし周辺道路は大変混み合うため、公式サイトは公共交通機関での来場を呼びかけています
- 参加山車:令和8年の参加山車一覧には26台が並びます。川越市の「猩猩の山車」、連雀町の「道灌の山車」、旭町三丁目の「信綱の山車」など、町ごとに主題の人形が異なります
- 人出の目安:公式発表によると、2025年は二日間で延べ約66万1千人、2024年は約73万8千人が訪れました
二日間の暦を読む ─ 一粒万倍日の例大祭、甲子の宵山、仏滅×十死日の山車巡行
川越まつりの根は、川越氷川神社が毎年10月14日・15日に執り行う例大祭にあります。神社の紹介では「当社の最大規模なお祭り」とされ、山車行事はその附け祭りという位置づけです。2026年の例大祭から祭の二日間までを、福カレンダーの暦マスター(国立天文台の暦要項に基づくデータ)で並べてみましょう。
| 日付 | 曜日 | 六曜 | 日干支 | 吉日・凶日 | 行事 |
|---|---|---|---|---|---|
| 2026/10/14 | 水 | 赤口 | 辛酉 | 一粒万倍日・大明日 | 川越氷川神社 例大祭 |
| 2026/10/15 | 木 | 先勝 | 壬戌 | ─ | 川越氷川神社 例大祭 |
| 2026/10/16 | 金 | 友引 | 癸亥 | ─ | ─ |
| 2026/10/17 | 土 | 先負 | 甲子 | ─ | 神幸祭・宵山・曳っかわせ |
| 2026/10/18 | 日 | 仏滅 | 乙丑 | 十死日 | 市役所前の山車巡行・曳っかわせ |
表から読み取れることを三つ挙げます。
- 例大祭の初日は吉日が重なる:2026/10/14は、一粒の籾が万倍に実るとされる一粒万倍日と、万事に吉とされる大明日が重なります。祭の週の幕開けとなる神事が吉日にあたる、気持ちの良い巡り合わせです。
- 祭の初日は甲子(きのえね):2026/10/17の日干支は、六十干支の一番目にあたる甲子です。60日に一度めぐる「始まりの日」で、大黒天の縁日としても親しまれてきました。小江戸川越七福神では喜多院が大黒天を担っており、神幸祭の前後に足をのばす楽しみ方もあります。甲子の日の由来は甲子の日の解説にまとめています。
- 二日目は仏滅で、暦注下段の十死日:十死日は受死日に次ぐ凶日とされ、契約や入籍、引っ越しのように物事を始める日取りには選ばれない日です。詳しくは受死日・十死日の解説をどうぞ。
ここで一つ、暦との付き合い方に触れておきます。暦注や六曜は、自分で日を選べる行事の目安として使われてきたものです。川越まつりの日取りは「10月の第3日曜日とその前日」と決まっていて、暦の吉凶で動くものではありません。18日は大事な手続きを入れない日にして、祭は祭として楽しむ。それくらいの距離感がちょうど良いと考えています。
2026/10/17の六曜の先負は、一般に午前は控えめに、午後は吉とされる日です(先負の解説)。神幸祭の出御が13時、宵山が18時と、この日の行事はちょうど午後以降に集まっています。月に目を向けると、2026/10/17は上弦の二日前、2026/10/18は上弦の前日にあたり(上弦は2026/10/19)、どちらの夜も宵の空に月が出ています。
慶安元年から続く祭 ─ 江戸の「天下祭」を映した山車行事
川越まつりの起こりは、江戸時代のはじめにさかのぼります。公式サイトは、その始まりを次のように記しています。
「神幸祭」は、慶安元年(1648)に、当時の川越藩主、松平伊豆守信綱が氷川神社に神輿・獅子頭・太鼓等を寄進し、祭礼を奨励したことが始まり。 ─ 川越まつり公式サイト「川越まつりの概要・歴史」
慶安4年(1651)からは華やかな行列が氏子の町々を巡り、町衆も随行するようになりました。元禄11年(1698)には、十ヶ町の一つ高沢町が江戸の祭礼にならって初めて踊り屋台を披露しています。
川越の祭がここまで江戸に近い姿をしているのは、新河岸川の舟運のおかげです。舟で江戸と結ばれていた川越には、江戸の流行がいち早く届きました。手本になったのは、神田明神と赤坂日枝神社の祭礼を総称する江戸の「天下祭」です。江戸の祭で山車が主役になると、川越もそれにならい、天保15年(1844)には十ヶ町の山車がすべて一本柱の形式に統一され、勾欄の上に人形を乗せる姿になりました。天下祭の片方、日枝神社の祭礼の今の姿は山王祭2026の記事で紹介しています。
いま町を曳かれる山車は「江戸系川越型」と呼ばれ、次のような仕掛けを備えています。
- 二重の鉾と迫りあげ式の構造:上層の鉾と人形がエレベーターのように伸び縮みする
- 回り舞台:多くの山車は、台座の上で囃子台を含む上部が360度水平に回転する
- 漆と刺繍の装飾:黒や赤の漆に金箔、けやきの彫刻、人形の主題にちなんだ刺繍幕
曳っかわせで山車が辻で正面を向き合えるのは、この回り舞台があるからです。平成17年(2005)に国の重要無形民俗文化財に、平成28年(2016)には全国33件からなるユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つに登録されました。
曳っかわせを楽しむ歩き方 ─ 氷川神社から宵山、市役所前へ
二日間を歩くなら、次の順番がおすすめです。
- 17日の昼は川越氷川神社へ:創建は欽明天皇2年(541)と伝わる、川越の総鎮守です。主祭神の素盞嗚尊と奇稲田姫命、大己貴命、奇稲田姫命の両親の脚摩乳命と手摩乳命の五柱は一つの家族で、二組の夫婦神を含むことから縁結びの神様として信仰されています。参拝を済ませたら、13時の神幸祭の出御を見送りましょう
- 17日の夕方は宵山へ:18時ごろ、提灯を灯した山車が町の各所に据えられ、居囃子を披露します。山車の配置図は公式サイトで公開されているので、目当ての町の山車を先に確かめておくと迷いません
- 18日の昼は市役所前へ:13時30分から16時ごろまで、市役所前を山車が次々に巡行します。一か所で多くの山車を見比べられるのは、この時間だけです
- 日が落ちたら辻で待つ:夜の曳っかわせは、山車が出会う辻で始まります。人形と幕の違いを見比べながら、囃子の掛け合いに耳を傾けてください
祭の前に山車を間近で見たいなら、川越まつり会館も外せません。公式サイトの展示予定表によれば、大手町の「鈿女の山車」と幸町の「小狐丸(小鍛冶)の山車」の展示は10月15日まで。どちらも令和8年の参加山車一覧に名を連ねています。
混雑への備えも欠かせません。歩きやすい靴、両手のあく鞄、日没後の冷えに備える羽織りものがあると安心です。人気の辻は夕方から人垣が厚くなり、前へ出るのは容易ではありません。一つの辻に腰を据えるか、山車について歩くか、最初に決めておくと疲れ方がまるで違います。
旅河楓の取材メモ ─ 秋の山車祭をつなぐ旅
10月の山車祭は、川越だけではありません。10月9日・10日の秋の高山祭にはじまり、10月17日・18日の川越まつり、そして10月22日の京都の時代祭と鞍馬の火祭へ。山車や屋台、行列のかたちは土地ごとに違っても、どの祭も「町の人が一年をかけて準備し、二日間で燃やし尽くす」点は変わりません。
川越の祭で印象に残るのは、山車の豪華さ以上に、向き合った囃子方どうしの真剣な掛け合いです。どちらが先に引くでもなく、提灯の波が揺れるたびに音が高まっていく。江戸の天下祭を手本に、370年あまり磨かれてきた町の誇りが、その数分間に凝縮されています。甲子の土曜日、蔵の町の辻で、その瞬間を待ってみてください。
参考
参考文献・出典
- 文化財オンライン (文化庁)— 文化庁(参照: 2026-05-16)
- 神社本庁 公式サイト— 神社本庁(参照: 2026-05-16)
- 観光庁— 国土交通省 観光庁(参照: 2026-05-16)
2026年の暦カレンダー
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旅河 楓旅と祈りの編集者
- パワースポット
- 神社仏閣
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全国の神社仏閣・パワースポットを自分の足で歩き、土地の歴史と信仰を紐解く旅する編集者。地元の方への取材を大切にし、ガイドブックには載らない「祈りの風景」を伝える記事が読者に支持されている。
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