師走(しわす)とは?12月の和風月名の由来と2026年の暦|師が馳せる月・極月・春待月から冬至・大晦日へ続く旧暦師走のすべて

この記事でわかること
師走(しわす)は12月の和風月名。「師が馳せる月」が有名ですが、四極・年果つ・為果つなど語源には諸説あり定説はありません。2026年の旧暦師走は新暦2027年1月8日〜2月6日の30日間。12月の大雪・天赦日・冬至・大晦日の暦も、暦川ひなたが福カレンダーの暦データで読み解きます。
目次
師走(しわす)とは ─ 12月の和風月名の基本
手帳の残りのページが数えられるほどになると、なんとなく気持ちが急かされますね。「もう師走だね」という言葉が、あいさつ代わりに交わされる季節です。
師走は、日本の旧暦で12月を指す**和風月名(わふうげつめい)**です。卯月・皐月・水無月・神無月・霜月と巡ってきたこのシリーズで、一年の締めくくりにあたる月です。
読み方は「しわす」(歴史的仮名遣いでは「しはす」)。「先生も走るほど忙しい月」という説明が有名ですが、じつは語源ははっきりしていません。ここでは、よく知られた説とほかの説を、出典の性格も添えて整理していきます。
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「師走」の語源 ─ 師が馳せる月、は定説ではない
説1:師馳す(しはす)── 僧が走り回る月
もっとも広く知られているのが、年末は僧侶(師)が経をあげるために家々を東西へ走り回る、だから「師馳す(しはす)」という説です。平安時代の辞書『色葉字類抄』や歌学書『奥義抄』にこの説明が見られ、少なくとも千年近く前から語られてきたことがわかります。
ただし国語学の立場からは、「しはす」という言葉が先にあり、「師走」の字は後から当てられたものと見る意見が有力です。平安時代にはすでに本来の語源がわからなくなっていて、字面から意味が後づけされた、という見方ですね。
説2:四極(しはつ)── 四季が極まる月
春夏秋冬の四つの季節が果てる月なので「四極(しはつ)」、それが「しはす」に転じたとする説です。江戸時代の語源書などで説明されています。
説3:年果つ・為果つ ── 一年が終わる、物事をなし終える月
「年が果てる(としはつ)」が縮まったとする説、一年の仕事を「為(し)果つ」月だからとする説もあります。大言海もこれらの可能性を並べて挙げています。
『日本国語大辞典』は師走の語源について9つもの説を紹介しており、それだけ決め手がないということでもあります。主な説をまとめると次のとおりです。
| 説 | 読み解き | 位置づけ |
|---|---|---|
| 師馳す | 僧(師)が仏事で走り回る月 | 最も有名。ただし当て字からの後づけとする見方が有力 |
| 四極 | 四季が極まり果てる月 | 異説のひとつ |
| 年果つ | 一年が果てる月 | 異説のひとつ |
| 為果つ | 一年の物事をなし終える月 | 異説のひとつ |
どの説も「一年の終わり」という感覚を言葉にしようとしている点は共通しています。正解を一つに決めるより、昔の人がこの月をどう感じていたかを想像するほうが、ずっと豊かな楽しみ方だと私は思っています。
極月・春待月・臘月 ─ 師走の異称が映す一年の締めくくり
師走には、名前の数だけ表情があります。代表的な異称を見てみましょう。
- 極月(ごくげつ・きわまりづき) ── 年が極まる月。手紙の日付に「極月吉日」と書くこともあります。
- 春待月(はるまちづき) ── 新しい年、つまり暦の上の春を待つ月。寒さの底で春を思う、やさしい響きの名前です。
- 臘月(ろうげつ) ── 年末に神々や祖先をまつる中国の「臘祭」に由来する呼び名とされます。
- 限月(かぎりのつき)・弟月(おとづき) ── 一年の限り、十二か月のいちばん末の弟、という見立てです。
- 建丑月(けんちゅうげつ) ── 十二支を月に配したとき、12月が「丑」にあたることから。福カレンダーの暦データでも、2027年1月5日の小寒から月の干支が「辛丑」に切り替わります。
こうして並べると、師走は**「終わる」と「待つ」が同居する月**だとわかります。慌ただしさの裏側に、静かに春を待つ気持ちがある。それがこの月の本当の顔なのかもしれません。
旧暦と新暦のずれ ─ 2026年の師走は新暦いつ?
ここがいちばん混乱しやすいところです。師走は「旧暦12月」であり、新暦の12月とは重なりません。
旧暦は月の満ち欠けを基準にしているため、新暦よりおよそ1か月ほど遅れて巡ってきます。福カレンダーの暦データ(国立天文台の公表値で検証済み)で見ると、2026年は次のとおりです。
| 旧暦の日付 | 新暦の日付 | その日の暦 |
|---|---|---|
| 旧暦11月1日(霜月の朔日) | 2026年12月9日(水) | 新月・大安 |
| 旧暦11月14日 | 2026年12月22日(火) | 冬至・赤口 |
| 旧暦12月1日(師走の朔日) | 2027年1月8日(金) | 新月(5時24分)・赤口・大明日 |
| 旧暦12月13日 | 2027年1月20日(水) | 大寒・赤口 |
| 旧暦12月28日 | 2027年2月4日(木) | 立春・先負・寅の日 |
| 旧暦12月30日(師走の晦日) | 2027年2月6日(土) | 大安(不成就日と同日) |
| 旧暦1月1日(旧正月) | 2027年2月7日(日) | 新月・先勝・巳の日 |
つまり、2026年の「ほんとうの師走」は2027年1月8日の新月に始まり、2月6日に閉じる30日間。新暦の12月は、旧暦ではほぼ霜月にあたります。旧暦では冬至を含む月を11月とする決まりがあるので、冬至の12月22日が旧暦11月14日になっているのも、ちょうど辻褄が合いますね。
2027年は「年内立春」
もうひとつ面白いのが、立春の位置です。2027年の立春は2月4日で、これは旧暦12月28日。**旧正月の2月7日より先に立春が来る「年内立春」**の年になります。
年のうちに 春は来にけり ひととせを 去年とやいはむ 今年とやいはむ ── 在原元方『古今和歌集』巻第一 春歌上
まだ年が明けないうちに春が来てしまった、この一年を去年と呼ぶべきか、今年と呼ぶべきか。『古今和歌集』の巻頭を飾るこの歌は、まさに年内立春の戸惑いを詠んだものです。旧暦の師走は、大寒の厳しさと立春の兆しを同時に抱える月なのですね。
2026年12月の暦ハイライト ─ 大雪・天赦日・冬至・大晦日
旧暦の師走は年明けからですが、私たちが「師走」と呼びならわす新暦12月にも、暦の節目がぎっしり並びます。福カレンダーの暦マスターから主な日を取り出してみましょう。
2026年12月の主な暦
| 新暦 | 曜日 | 六曜 | 主な暦 |
|---|---|---|---|
| 12月7日 | 月 | 友引 | 大雪(11時53分)(受死日と同日) |
| 12月9日 | 水 | 大安 | 新月(9時52分)・巳の日(十死日と同日) |
| 12月13日 | 日 | 先負 | 正月事始め・大明日(不成就日と同日) |
| 12月15日 | 火 | 大安 | 一粒万倍日 |
| 12月16日 | 水 | 赤口 | 天赦日・一粒万倍日・甲子 |
| 12月21日 | 月 | 大安 | 己巳の日・大明日(不成就日・十死日と同日) |
| 12月22日 | 火 | 赤口 | 冬至(5時50分)・大明日 |
| 12月24日 | 木 | 友引 | 満月(10時28分)・大明日 |
| 12月27日 | 日 | 大安 | 一粒万倍日 |
| 12月28日 | 月 | 赤口 | 一粒万倍日 |
| 12月31日 | 木 | 先負 | 大晦日・大明日(受死日と同日) |
12月の一粒万倍日は12月1日・2日・15日・16日・27日・28日の6日。このうち12月1日は十死日と同じ日です。
大雪 ─ 本格的な冬の入口
12月7日の大雪は、山々に雪が積もりはじめる頃を示す節気です。この日から月の干支も「庚子」に替わり、暦の上では子の月に入ります。冬支度の仕上げと、年末の大掃除の段取りを考えはじめる目安にどうぞ。昔から12月13日は「正月事始め」とされ、煤払いなど正月の準備に取りかかる日でした。
12月16日 ─ 年内最後の天赦日
師走の暦でいちばん注目したいのが12月16日(水)です。最上の吉日とされる天赦日に一粒万倍日が重なり、日干支は六十干支の始まりである甲子(きのえね)。月は上弦を翌日に控えた、満ちていく途中の形です。六曜は赤口なので、昼の時間帯を意識すると安心ですね。くわしくは12月16日の天赦日×一粒万倍日の記事にまとめています。
冬至から大晦日へ
12月22日の冬至は、一年でもっとも昼が短い日。ここを境に日脚が少しずつ伸びていくことから、古くは「一陽来復」と呼んで春への折り返しを祝いました。ゆず湯やかぼちゃで体を労わる習わしも、この日ならではです。
そして12月31日の大晦日は先負。午後が吉とされる六曜なので、年越しそばや除夜の鐘は、ちょうど似合いの時間帯かもしれません。官公庁の仕事納めにあたる12月28日(月)は一粒万倍日なので、来年へつなぐ小さな「始まり」を一つ置いておくのもおすすめです。年をまたぐ吉日の選び方は年末年始の吉日も参考にしてください。
暦川ひなたからのひとこと ─ 師走を慌てずに過ごす小さな習慣
霜月が「整える」月なら、師走は「手放す」月だと思っています。
- やることを三つだけ決める ── 大掃除も年賀状も、全部を完璧にしようとすると師走は本当に走る月になってしまいます。今年いちばん大切な三つに絞りましょう。
- 冬至の朝に一年を振り返る ── 一陽来復の日は、ここから光が戻ってくる合図。うまくいかなかったことも、ここで一度区切りをつけてしまいます。
- 旧暦の師走を「もう一度の年末」にする ── 新暦の年末で慌ただしく終われなかったことは、旧暦の師走(2027年1月8日〜2月6日)でゆっくり仕上げる。春待月という名前のとおり、立春までを準備期間と考えると、気持ちがずいぶん軽くなります。
名前の由来が一つに決まらなくても、人々は千年以上、この月を「しはす」と呼び続けてきました。走っても、立ち止まっても、年はちゃんと終わり、春はちゃんと来ます。どうぞ穏やかな年の瀬をお迎えくださいね。
参考
- 国立天文台 暦計算室(旧暦・二十四節気・朔弦望の公式値)
- 国立国会図書館「日本の暦」暦の中のことば(和風月名の解説)
- Wikipedia 日本語版「師走」(『日本国語大辞典』の語源9説・異称の整理)
- 福カレンダー暦マスター(2026年12月、2027年1月・2月の日付・吉日・凶日。国立天文台の公表値で検証済み)
参考文献・出典
- 日本の暦 -国立国会図書館-— 国立国会図書館(参照: 2026-05-16)
- 暦計算室— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-05-16)
- 旧暦 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-05-16)
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本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
免責事項を読む →福カレンダーでは、暦に関するコンテンツを正確かつ分かりやすくお届けするよう努めています。
編集方針について →参考情報:暦注・民俗資料、公的機関の暦情報を参考に編集部が整理しています。
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