小寒の食べ物・旬の食材ガイド
小寒(しょうかん)
寒の入り、七草粥で正月疲れを癒す

小寒は二十四節気のひとつ。暦としての意味や過ごし方は小寒の意味と過ごし方 →をご覧ください。
小寒の旬の食材
七草
1月7日の「七草粥」に使う春の七草。セリ・ナズナ・ゴギョウ・ハコベラ・ホトケノザ・スズナ・スズシロ。
金柑(金柑)
冬の小さな柑橘。「金冠」に通じる縁起の良い果物。ビタミンCが豊富で風邪予防に。
寒ぶり(寒鰤)
小寒から大寒にかけてが最高の旬。脂のりが最大になる。
白菜(白菜)
鍋の季節の真っ只中。冬の寒さで甘みが最も強くなる。
縁起の良い食べ物・行事食
七草粥
1月7日「人日の節句」に食べる。正月のご馳走で疲れた胃を休め、一年の無病息災を願う。春の七草は邪気を払う力があるとされる。
寒の入り——一年で最も寒い季節の食文化
小寒は毎年1月5日前後に訪れ、「寒の入り」を告げる節気です。ここから節分(立春の前日)までの約30日間を「寒中」と呼び、一年で最も厳しい寒さが続きます。しかし、この極寒の時期にこそ、春を予感させる食の行事が待っています。
小寒の期間中に訪れる1月7日の「人日(じんじつ)の節句」は、五節句の筆頭であり、七草粥を食べる日として広く親しまれています。厳冬の食卓に萌える若草を取り入れる——その行為自体が、凍てつく冬の中に春の到来を見出す日本人の感性を映し出しています。
小寒の節気について詳しくは小寒の解説ページをご覧ください。

人日の節句——五節句の「始まり」が持つ重み
1月7日の人日の節句は、3月3日(上巳)、5月5日(端午)、7月7日(七夕)、9月9日(重陽)と並ぶ五節句の最初です。古代中国では正月の1日から順に、鶏・犬・猪・羊・牛・馬・人・穀の日とされ、7日目の「人の日」には人を大切にする日として刑罰を行わなかったとされています。
この日に七種の若菜の羹(あつもの)を食べる風習が中国から伝わり、日本の「七草粥」へと変化しました。奈良時代にはすでに宮中行事として定着しており、平安時代の『枕草子』にも七草粥の記述が見られます。
五節句の「始まり」にあたる人日は、一年の無病息災を祈る最初の機会であり、七草粥はそのための「薬膳」としての意味を持っていたのです。
春の七草——覚え方と個々の薬効
春の七草は五七五七七のリズムで覚えるのが伝統的な方法です。
せり・なずな / ごぎょう・はこべら / ほとけのざ / すずな・すずしろ / これぞ七草
それぞれの七草には、古来より知られた効能があります。
せり(芹) は鉄分が豊富で、解熱・利尿作用があるとされます。水辺に自生するせりは、冬場でも青々とした姿を見せる生命力の象徴です。
なずな(薺) はいわゆるぺんぺん草。現代では雑草扱いですが、止血・利尿・解毒の薬効で知られ、かつては立派な薬草でした。
ごぎょう(御形) は母子草のこと。咳止め・痰切りの効果があり、春先の風邪対策に用いられました。
はこべら(繁縷) はビタミンAが豊富で、歯茎の腫れや口内炎に効くとされた身近な薬草です。
ほとけのざ(仏の座) は小鬼田平子(コオニタビラコ)のことで、高血圧予防や胃腸の調子を整える効果があるとされます。
すずな(菘) はかぶのこと。消化酵素ジアスターゼが豊富で、胃もたれの解消に役立ちます。
すずしろ(蘿蔔) は大根。すずなと同様に消化を助ける働きがあり、正月のご馳走で疲れた胃を休める最適な食材です。
七草粥が正月七日に食べられる理由は、正月の贅沢な食事で疲れた胃腸を休めるという実用的な意味と、若菜の生命力を取り込んで一年の健康を祈るという精神的な意味の両方があるのです。
「寒の水」——真冬の水が持つ特別な力
小寒から大寒にかけての「寒中」に汲む水を「寒の水」と呼び、古来より特別な力があるとされてきました。寒の水は「腐りにくい」という性質があり、これは低温で水中の雑菌の繁殖が抑えられるためです。
この知恵は食の保存にも活かされ、寒の水で作った味噌や醤油は品質が高いとされてきました。寒中に餅をつき、水に浸して保存する「寒餅(かんもち)」も、寒の水の防腐力を利用した保存食です。
また、寒中に汲んだ水で薬を飲むと効果が増すという信仰もあり、「寒の水」は日本人にとって厳冬が与えてくれる恵みの一つでした。
金柑の「金冠」縁起——小さな果実の大きな力
小寒の頃に鮮やかな橙色の実をつける**金柑(きんかん)**は、「金冠」の字を当てることで財運上昇の縁起物とされてきました。新年の食卓に金柑の甘露煮が並ぶのは、この縁起を担いでのことです。
金柑はビタミンCが豊富なだけでなく、皮ごと食べられる珍しい柑橘です。皮に含まれるヘスペリジンは喉の炎症を和らげる効果があるとされ、風邪予防の民間薬としても重宝されてきました。「金柑のど飴」が定番商品であり続ける理由は、この伝統的な薬効知識に支えられています。
寒ぶり——極寒が育てる脂の芸術
小寒から大寒にかけて、ぶりの脂のりは一年の頂点を迎えます。「寒ぶり」の名で知られるこの時期のぶりは、冬の荒海で揉まれることで身が締まり、産卵に備えて蓄えた脂が全身に行き渡ります。
富山湾の氷見漁港では、毎年この時期になると「ひみ寒ぶり宣言」が出され、一本一万円を超える最高級の天然ぶりが競り落とされます。寒ぶりの刺身は、口に入れた瞬間にとろけるような脂の甘さが広がり、冬の厳しさが生む最高の贈り物です。
一年で最も寒い季節だからこそ、食は最も豊かに、最も深い味わいを湛えています。小寒の食卓は、厳冬と春の予感が交差する、繊細で力強い季節の味覚に満ちています。暦と吉日の確認は福カレンダーの月間ページをご覧ください。
この記事に関連するおすすめ広告

旬野 椿旬と食の歳時記
旬の食材と暦の関わりを、五感に訴える文章で届ける食の歳時記編集者。二十四節気に寄り添った食卓の提案から、旬の素材の選び方・保存法まで、暦を「食べる」楽しさを伝えている。
この編集者の記事を見る →この記事について
本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
免責事項を読む →福カレンダーでは、暦に関するコンテンツを正確かつ分かりやすくお届けするよう努めています。
編集方針について →参考情報:暦注・民俗資料、公的機関の暦情報を参考に編集部が整理しています。
他カテゴリの関連記事
旬の食材の関連記事
あわせて読みたい
他のカテゴリの知識も学んでみませんか?






