三社祭2026 ─ 5月15〜17日の浅草神社例大祭と100基神輿が熱狂する3日間
目次
三社祭とは ─ 正和元年の船祭から続く浅草神社例大祭
浅草の五月は、雷門をくぐる前から既に騒がしい。仲見世の石畳には法被姿の氏子が忙しなく行き交い、浅草神社の社殿前には御幣と紙垂が風に揺れる。三社祭は、その浅草神社の例大祭として毎年五月に営まれる。
祭の由来は、推古天皇三十六年(628年)三月十八日にさかのぼる。隅田川(当時の宮戸川)で漁をしていた檜前浜成・竹成の兄弟が、一体の観音像を網にかけたという縁起がある。土地の長者であった土師真中知はこの像を祀り、自邸を寺としたと伝わる。この三人こそが、後に浅草神社の祭神として合祀される三柱である。社はかつて三社大権現社・三社明神社と呼ばれ、そこから「三社祭」の名が生まれた。
祭礼としての最古の記録は正和元年(1312年)。この年、三柱の御霊を乗せた神輿が隅田川を舟で渡る「舟祭」が営まれたと記されている。陸と水を結ぶ渡御は、やがて現在の本社神輿渡御へと形を変えながらも、七百年以上途切れずに続いてきた。神田祭・山王祭と並んで江戸三大祭に数えられる所以は、この継承の重みにある。
興味深いのは、祭神が「漁師と長者」という市井の人々であることだ。神格化された英雄ではなく、観音像を海から掬い上げた名もなき三人の記憶が、浅草の町の祈りの源になっている。福カレンダーの取材で浅草神社の氏子の方に話を伺うと、「三社様は俺たちと地続きの神様だから」という答えが返ってきた。この距離の近さが、三社祭の熱量を毎年更新する原動力だろう。
2026年三社祭の日程 ─ 5月15日(金)・16日(土)・17日(日)
令和八年(2026年)の三社祭は、**5月15日(金)・16日(土)・17日(日)**の三日間にわたって斎行される。五月半ばの浅草は、初夏の新緑と祭囃子が重なり、江戸の時間がそのまま蘇ったような景色になる。
三日間の主要行事は次のとおり。
| 日付 | 曜日 | 六曜 | 主な行事 |
|---|---|---|---|
| 5月15日 | 金 | 先勝 | 大行列(13:00〜)、びんざさら舞奉納(14:20・15:00) |
| 5月16日 | 土 | 友引(寅の日) | 町内神輿連合渡御(12:00〜、約100基) |
| 5月17日 | 日 | 仏滅(一粒万倍日・新月) | 本社神輿渡御(早朝宮出し〜18:00〜19:00宮入り) |
祭の流れは「神様を迎える(初日)→ 氏子が担ぐ(二日目)→ 神様自身が町を巡る(三日目)」という三段構成になっている。最後に向かって熱量が上がっていく設計で、土・日にピークを迎えるのは、関東一円から見物客を呼び込む現代的な調整の産物でもある。
雨天の場合、一部の屋外行事は順延・縮小されることがある。最終的な開催可否は当日の朝、浅草神社および浅草神社奉賛会の公式情報で発表されるため、遠方から訪れる場合は出発前の確認を勧めたい。
初日・二日目の見どころ ─ 大行列の王朝絵巻と町内神輿の熱気
初日(5月15日 金曜)── 大行列とびんざさら舞
初日の午後、浅草の街を練り歩く大行列は、祭の開幕を告げる儀礼行列である。お囃子屋台、金棒、木遣り、白鷺の舞、そして雅な装束をまとった女性たちの行列が、東京本部通り・馬道通り・雷門通りを経由して浅草神社に向かう。現代の混雑する浅草と、平安から江戸へと続く衣装の列が重なる光景は、どこか時代の継ぎ目を覗き込むような感触がある。
大行列の到着後、浅草神社の神楽殿ではびんざさら舞が奉納される。びんざさらは、薄い板を紐で束ねた独特の楽器で、舞人は竹を打ち鳴らしながら五穀豊穣と悪霊退散を祈る。国の重要無形民俗文化財にも指定される芸能で、奉納は14時20分頃と15時頃の二回。観覧は無料だが、神楽殿前は開始前から混み合うため、13時台には境内に入っておきたい。
二日目(5月16日 土曜)── 100基の町内神輿連合渡御
二日目は、浅草神社を氏神と仰ぐ**四十四町会の町内神輿が一堂に会す「町内神輿連合渡御」**が行われる。12時を期して各町会の神輿が雷門通り・馬道通りをそれぞれに出発し、約100基が続々と浅草神社境内へ集結する。それぞれの町の神輿は装飾も担ぎ方の流儀も異なり、担ぎ手の声の調子まで一町ごとに違う。
境内に次々と神輿が入ってくると、太鼓と笛の音が幾重にも重なり、雷門から浅草寺本堂の脇を抜ける一帯が文字どおり震える。連合渡御は祭の中でもとりわけ観光客に開かれた時間帯で、神輿を担ぐ手伝いはできないものの、通り沿いで間近に見物することができる。雷門から仲見世通りの雷門寄り一帯が、この日の撮影・観覧の王道ポイントと言える。
本社神輿渡御の日 ─ 一之宮・二之宮・三之宮が浅草を駆ける5月17日
最終日の日曜は、三社祭のクライマックスにあたる本社神輿渡御の日である。本社神輿は三基。
- 一之宮(鳳凰飾り)── 土師真中知命の御霊を乗せる、最も格式の高い神輿
- 二之宮(擬宝珠飾り)── 檜前浜成命の御霊
- 三之宮(擬宝珠飾り)── 檜前竹成命の御霊
早朝、神職による魂入れの儀を経て、三基の神輿は浅草神社の鳥居をくぐり、宮出しを迎える。氏子千人以上が神輿の下に入り、町会ごとのリレー担ぎで南・東・西の三方向に分かれて浅草全域を巡る。雷門・仲見世・浅草寺本堂前・六区・国際通り・言問橋付近まで、神輿は丸一日をかけて町内を練り歩き、夕刻には再び浅草神社へ戻ってくる。
宮入りは18時から19時頃。照明が落ち始めた境内に三基の神輿が戻ってくる瞬間は、祭のすべての熱量が集約する時間帯で、担ぎ手の歓声と境内の太鼓が重なる音の壁を浴びることになる。早朝の宮出しと夕刻の宮入りは、どちらも観光客が遠慮して入れる余地はほぼない密度になるため、見物するならば雷門周辺・仲見世・浅草寺二天門付近の路上から眺めるのが現実的だ。
撮影に関して一言添えておくと、祭の熱気は路上の低い位置からのほうが雰囲気が伝わる。高い場所を探すよりも、担ぎ手の視線の高さに合わせるほうが、三社祭本来の空気を写し取れる。
暦で読む2026年三社祭 ─ 仏滅×一粒万倍日×新月の二重性
三社祭の三日間を福カレンダーの暦データで並べると、読み甲斐のある配置が現れる。
2026年の暦カレンダー

旅河 楓旅と祈りの編集者
全国の神社仏閣・パワースポットを自分の足で歩き、土地の歴史と信仰を紐解く旅する編集者。地元の方への取材を大切にし、ガイドブックには載らない「祈りの風景」を伝える記事が読者に支持されている。
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