七十二候 蒙霧升降 2026 ─ 8月18日〜22日、立秋末候 朝霧が立ちこめ秋へ向かう5日

この記事でわかること
立秋末候『蒙霧升降(ふかききりまとう)』は2026年8月18日〜22日。朝夕に深い霧が立ちこめ、秋の気配が濃くなる頃を読み解きます。放射冷却と気温差が生む霧の仕組み、霧に包まれた日本の風景の美、月が満ちて処暑(8月23日)へと向かう暦配置にも触れ、立秋の三候を締めくくります。
目次
ひぐらし(38候)の声とお盆が夏の終わりを告げた立秋も、いよいよ末候を迎えます。**2026年8月18日(火)から8月22日(土)までの5日間が、七十二候の第三十九候「蒙霧升降(ふかききりまとう)」**です。「蒙(ふか)き霧(きり)升降(まと)う」――朝夕に深い霧が立ちこめ、あたりを白く包む頃を指しています。
私(野分蓮)は福カレンダー編集部で二十四節気・七十二候を担当しています。「升降(しょうこう)」とは、本来は立ちのぼり、降りること。霧が山あいから湧き上がり、また低く垂れこめる――そのたゆたう様子を、略本暦は「まとう」と読ませました。立秋の三候は、涼風が立ち(涼風至)、ひぐらしが鳴き(寒蝉鳴)、そして霧が立ちこめる(蒙霧升降)と続きます。風・声・霧と、目に見えにくい秋の兆しを次々に書きとめていく――立秋の候の繊細さが、この末候に凝縮されています。
2026年の蒙霧升降は、月がふたたび満ちていく5日間。8月22日(土)には上弦の月を迎え、翌23日からは暑さがようやく和らぐ処暑です。
蒙霧升降とは ─ 朝霧が告げる、秋の入り口
蒙霧升降は、太陽黄経が立秋の終盤(140〜145度)にある末候です。霧は、空気が冷えて、含みきれなくなった水蒸気が細かな水滴となって浮かぶことで生まれます。立秋の末、朝晩の気温が少しずつ下がり始めると、よく晴れて風のない夜明けに、地表近くの空気が冷えて霧が立つようになります。これは、初霜が降りる仕組み(放射冷却)と同じ原理。蒙霧升降の朝霧は、やがて来る秋――白露や霜降の冷え込みの、いちばん早い前ぶれなのです。
昼にはまだ夏の暑さが残るこの時期、朝の霧は、季節がひそかに動いている確かな証し。蒸し暑い盛夏には立たなかった霧が、立秋の末にふと現れる――そのコントラストにこそ、暦がこの候を置いた意味があります。
2026年の暦配置 ─ 満ちゆく月とともに、処暑へ
2026年の蒙霧升降(8月18日〜22日)は、月が新月から満ちていく、上り坂の5日間です。
| 日付 | 六曜 | 月相 | 暦注・行事 |
|---|---|---|---|
| 8月18日(火) | 赤口 | 三日月 | 一粒万倍日 |
| 8月19日(水) | 先勝 | 三日月 | ─ |
| 8月20日(木) | 友引 | 三日月 | 寅の日 |
| 8月21日(金) | 先負 | 上弦の月 | ─ |
| 8月22日(土) | 仏滅 | 上弦の月 | ─ |
8月18日(火)は一粒万倍日で、始め事の種まきに向く日。月は三日月から上弦へと満ちていき、20日(木)は旅立ちや金運に縁起のよい寅の日です。霧が秋の到来を告げ、月が満ちていくこの5日間は、夏を見送り、秋を迎える「橋渡し」の時。そして翌8月23日(日)からは処暑――暦のうえで暑さがようやくおさまり始める節気へと移ります。
霧に包まれる、日本の秋の風景
霧は、日本の風景に独特の情趣を添えてきました。山あいに白くたなびく「山霧」、川面から立ちのぼる「川霧」、盆地に湖のように広がる「雲海」――霧の名所は各地にあり、秋の朝の風物詩として親しまれています。
水墨画や和歌の世界でも、霧はかけがえのない題材でした。輪郭をやわらかくぼかし、遠近を奥行きへと変える霧は、見えるものと見えないものの「あわい」を描き出します。すべてをはっきり見せるのではなく、半ば隠すことで、かえって想像をかき立てる――霧の美しさは、余白を尊ぶ日本の美意識とも深く響き合っています。
ちなみに、よく似た「霞(かすみ)」と「霧(きり)」は、暦のうえでは季節で呼び分けられてきました。同じように空気がかすむ現象でも、春に立つものを「霞」、秋に立つものを「霧」と呼ぶのが古くからの約束ごとです(夜のものは特に「朧(おぼろ)」とも)。立春の頃の七十二候「霞始靆(かすみはじめてたなびく)」と、この立秋末の「蒙霧升降」――春の霞と秋の霧は、一年の暦のなかで美しく対をなしています。蒙霧升降は、そんな秋の霧の季節の幕開けを告げる候です。
朝霧の朝は、日中晴れる
「朝霧が立つ日は、日中よく晴れる」と、昔から言われます。霧は、よく晴れて放射冷却が進んだ朝に立ちやすく、その霧は日が高くなると晴れていくため、結果として一日好天になることが多いのです。朝の白い霧は、その日の青空の前ぶれ。秋の入り口の、ささやかな自然の便りです。
霧が育む恵み ─ お茶と果実と雲海
霧は、視界をさえぎる厄介者であるだけではありません。じつは、上質な作物を育てる「恵みの霧」でもあります。茶の名産地である宇治や静岡・川根、狭山などの茶園は、いずれも朝霧の立ちやすい土地。霧が直射日光をやわらげ、適度な湿りを保つことで、渋みを抑えたまろやかな茶葉が育つとされます。果樹でも、昼夜の寒暖差と霧の湿りが、ぶどうや柿の甘みを深めると言われます。
そして、霧そのものを目当てに人が集う場所もあります。盆地や谷をうずめて雲海となった霧は、まるで天上の景色。立秋から秋が深まるにつれ、各地の展望台や山城跡は、夜明けの雲海を求める人々でにぎわいます。蒙霧升降は、霧が風景に詩情を添え、作物に恵みをもたらす――そんな霧の季節の幕開けを告げる候なのです。
蒙霧升降5日間の歩き方
- 8月18日(火)赤口・一粒万倍日:始め事の種まきに向く日。早起きして、朝霧の立つ景色を探してみては。
- 8月19日(水)先勝:午前の行動が吉。涼しい朝のうちに用事を片づけるのが賢明です。
- 8月20日(木)友引・寅の日:寅の日は旅立ち・金運に縁起がよい日。秋の遠出の計画を立てるのにも好適です。
- 8月21日(金)先負・上弦の月:午後吉。月が半分まで満ち、秋への気持ちも整っていく頃。
- 8月22日(土)仏滅:立秋の最終日。静かに過ごし、翌日からの処暑――秋の深まりへと心を向けて。
福カレンダー編集部の蒙霧升降ノート ─ 三つのおすすめ
- 朝の霧を探す:蒙霧升降は、早起きの値打ちが高い候。よく晴れた朝、川辺や山あいに立つ霧は、秋の入り口の贈り物です。
- 霧の朝は晴れの予感:朝霧が立ったら、その日は日中晴れることが多いもの。洗濯やお出かけの目安にもなります。
- 立秋を見送る:風・声・霧と続いた立秋の三候も、これで締めくくり。翌日からは処暑。夏を静かに見送り、深まる秋を迎えましょう。
朝霧が秋の入り口を告げる5日間。次の候は、処暑に入り、綿の花の萼(がく)が開く「綿柎開(わたのはなしべひらく)」。暑さがようやく和らぎ、実りの秋へと向かう候へと続きます。
参考
- 国立天文台 暦計算室「暦象年表」(立秋=太陽黄経135度の定義および2026年の節気日・月相)
- 略本暦(明治7年改暦)における立秋末候「蒙霧升降」
- 霧の発生(放射冷却)の仕組みと、山霧・川霧・雲海など日本の霧の風景
- 福カレンダー暦マスターデータ(2026年8月の六曜・月相・一粒万倍日・寅の日)
参考文献・出典
- 暦計算室— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-06-03)
- 七十二候 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-06-03)
- 日本の暦 -国立国会図書館-— 国立国会図書館(参照: 2026-06-03)
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野分 蓮干支と暦の研究家
- 十干十二支
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十干十二支・二十四節気・自然と暦の関わりを、歴史と科学の両面から掘り下げる研究家肌の編集者。古文書の記述と現代の気象データを突き合わせるような、知的好奇心を刺激する考察記事を得意とする。
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本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
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