七十二候 涼風至 2026 ─ 8月7日〜12日、立秋初候 温風と対をなす「秋風」の立つ6日

この記事でわかること
立秋初候『涼風至(すずかぜいたる)』は2026年8月7日〜12日。猛暑のさなかにも、暦のうえで秋が立ち、涼しい風が初めて至る頃を読み解きます。小暑初候『温風至』と対をなす候の妙、立秋から始まる残暑見舞い、8月12日の新月へと欠けゆく月の暦配置にも触れます。
目次
夏の夕立(36候)が大暑を洗い流し、暦はついに秋へと折り返します。2026年8月7日(金)から8月12日(水)までの6日間が、七十二候の第三十七候「涼風至(すずかぜいたる)」です。「涼(すず)しき風(かぜ)至(いた)る」――まだ厳しい暑さのさなかにも、ふと涼やかな風が立ち始める、立秋の最初の候です。
私(野分蓮)は福カレンダー編集部で二十四節気・七十二候を担当しています。この候を読むとき、私はいつも夏の入り口の候を思い出します。小暑の初候は「温風至(あつかぜいたる)」――梅雨明けの温かい南風が至る候でした。そして秋の入り口の立秋初候が、この「涼風至」。温かい風に始まった夏が、涼しい風とともに秋へ手渡される。「温風至る」と「涼風至る」は、夏と秋の戸口で対をなす、美しい一対の候なのです。どちらも中国の宣明暦から受け継がれた候であることも、その対称を際立たせています。
2026年の涼風至は、月が細く欠けて闇に沈む6日間。8月12日(水)には新月を迎え、空から月が姿を消します。
涼風至とは ─ 暦の上の秋に、初めて立つ涼やかな風
涼風至は、太陽黄経が135度に達して立秋に入った最初の候です。「秋が立つ」といっても、現代の日本ではこの頃が最高気温の時期。涼しい風など望むべくもない、と思えるかもしれません。けれども、暦は微細な変化を見逃しません。一日の日の長さはすでに短くなり始め、夕方の風には、真夏の重い熱気とは違う、わずかな軽さが混じり始めます。その「ふと感じる涼しさ」を、古人は「涼風至る」と書きとめました。
夏の盛りに吹く湿った南風を「白南風(しらはえ)」と呼んだのに対し、秋へ向かう頃に立ち始める風には、どこか乾いた軽やかさがあります。実感としての秋はまだ先でも、暦のうえでは確かに、季節の風向きが変わり始める――涼風至は、その転換の最初の一歩を告げる候です。
2026年の暦配置 ─ 新月へ欠けゆく月とともに、立秋に入る
2026年の涼風至(8月7日〜12日)は、月が下弦から新月へと細っていく6日間です。
| 日付 | 六曜 | 月相 | 暦注・行事 |
|---|---|---|---|
| 8月7日(金) | 赤口 | 下弦の月 | 立秋(節入り) |
| 8月8日(土) | 先勝 | 有明月 | 寅の日 |
| 8月9日(日) | 友引 | 有明月 | ─ |
| 8月10日(月) | 先負 | 有明月 | ─ |
| 8月11日(火) | 仏滅 | 有明月 | ─ |
| 8月12日(水) | 大安 | 新月 | 大安 |
初日8月7日(金)が立秋の節入り。この日を境に、暑中見舞いは「残暑見舞い」へと呼び名を変えます。月は下弦から有明月(明け方に残る細い月)を経て、12日(水)には新月を迎え、空から月がいったん姿を消します。なお、この6日間にも縁起のよい吉日がいくつか巡ります。日ごとの六曜・吉日は、上の表でご確認ください。
涼風が立ち始める秋の入り口に、月もまた新たに生まれ変わる――2026年の涼風至は、季節も月も「新しく始まる」気配に満ちた6日間です。
残暑見舞いは立秋から ─ 秋の便りへの切り替え
立秋を迎えると、夏の便りは「暑中見舞い」から「残暑見舞い」へと切り替わります。「暦の上では秋となりましたが、まだ厳しい暑さが続いております」――そんな時候の挨拶が、この時期ならではの趣を添えます。残暑見舞いを出せるのは、一般に8月末頃まで。涼風至は、その秋の便りを書き始める節目でもあります。
秋の最初の兆しを探す
涼風至のころ、秋の気配はまだ控えめです。それでも、注意して暮らせば、小さな兆しに気づけます。夕暮れの風の軽さ、日が落ちる時刻の早まり、雲の高さ、虫の音の混じり始め――真夏一色だった景色のなかに、秋の糸が一本ずつ織り込まれていきます。涼風至は、その最初の一本を見つける候です。
食卓にも、秋の兆しは早々と現れます。走りの秋刀魚(さんま)、出始めの梨やぶどう、新生姜――まだ夏野菜が主役の食卓に、秋の初物がそっと加わり始めます。「走り」の味は、旬の盛りの安定した味わいとはまた違う、季節の先取りならではのみずみずしさが身上。暦の上の秋を、舌でも確かめられるのが、この涼風至の頃です。
秋の七草へ ─ 立秋の野に咲き初める花
涼風が立ち始めるこの頃、野辺ではひそかに「秋の七草」が咲き初めます。萩(はぎ)、尾花(おばな=すすき)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)――春の七草が食べて無病息災を願うものであるのに対し、秋の七草は、眺めて季節の風情を味わう花々です。
その由来は、万葉集に収められた山上憶良(やまのうえのおくら)の歌にさかのぼります。「秋の野に咲きたる花を指折(およびを)りかき数ふれば七種(ななくさ)の花」と詠み、続けて七つの花を挙げたこの歌が、秋の七草の原型とされます。まだ暑さの残る立秋の野に、すすきの穂が風になびき、萩の小花がこぼれ咲く――その景色は、暦の上の秋を、目で確かめさせてくれます。涼風至は、足もとの小さな花に秋の到来を見つける候でもあります。
涼風至6日間の歩き方
- 8月7日(金)赤口・立秋:暦の上の秋の始まり。この日から便りは残暑見舞いへ。夕風に秋の気配を探してみましょう。
- 8月8日(土)先勝・寅の日:午前の行動が吉。寅の日は旅立ちや金運に縁起がよいとされます。
- 8月9日(日)友引:穏やかに過ごす日。夏の疲れをいたわり、秋への英気を養って。
- 8月10日(月)先負:午後吉。残暑見舞いの便りを認めるのによい一日。
- 8月11日(火)仏滅:静かに整える日。秋物の準備など、季節の先取りを少しずつ。
- 8月12日(水)大安・新月:月が新たに生まれる大安。新しいことを始める出発点にふさわしい一日です。
福カレンダー編集部の涼風至ノート ─ 三つのおすすめ
- 「温風至」と並べて味わう:夏の入り口の温風至と、秋の入り口の涼風至。一対の候として読むと、季節のめぐりがいっそう愛おしく感じられます。
- 残暑見舞いを一筆:立秋を機に、便りの呼び名を切り替えて。暦の上の秋を映した挨拶は、相手への気づかいを上品に伝えます。
- 夕風に耳を澄ます:まだ暑くても、夕方の風には秋の軽さが混じり始めます。涼風至は、その最初の涼を見つける候です。
暦の上の秋に、初めての涼風が立つ6日間。次の候は、夕暮れにカナカナと鳴くひぐらしの「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」。お盆とともに、夏の終わりの気配が深まる候へと続きます。
参考
- 国立天文台 暦計算室「暦象年表」(立秋=太陽黄経135度の定義および2026年の節気日・新月の時刻)
- 略本暦(明治7年改暦)および中国宣明暦における立秋初候「涼風至」、小暑初候「温風至」との対照
- 暑中見舞い・残暑見舞いの時期と作法
- 福カレンダー暦マスターデータ(2026年8月の六曜・月相・寅の日・大安)
参考文献・出典
- 暦計算室— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-06-03)
- 七十二候 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-06-03)
- 日本の暦 -国立国会図書館-— 国立国会図書館(参照: 2026-06-03)
2026年の暦カレンダー
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野分 蓮干支と暦の研究家
- 十干十二支
- 二十四節気
- 自然暦
十干十二支・二十四節気・自然と暦の関わりを、歴史と科学の両面から掘り下げる研究家肌の編集者。古文書の記述と現代の気象データを突き合わせるような、知的好奇心を刺激する考察記事を得意とする。
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本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
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