七十二候 寒蝉鳴 2026 ─ 8月13日〜17日、立秋次候 お盆と新月にひぐらしが鳴く5日

この記事でわかること
立秋次候『寒蝉鳴(ひぐらしなく)』は2026年8月13日〜17日。夕暮れにカナカナと鳴くひぐらしの声に、夏の終わりの気配が深まる頃を読み解きます。新月と旧暦七月の始まり、月遅れのお盆が重なる暦配置、蝉の声に寂しさを聴いた日本の感性、中国から受け継いだ候の系譜にも触れます。
目次
涼風(37候)が暦の上の秋を告げた立秋も、次候へと移ります。**2026年8月13日(木)から8月17日(月)までの5日間が、七十二候の第三十八候「寒蝉鳴(ひぐらしなく)」**です。「寒蝉(ひぐらし)鳴(な)く」――夕暮れや明け方に、カナカナカナと澄んだ声で鳴くひぐらしの季節を指しています。
私(野分蓮)は福カレンダー編集部で二十四節気・七十二候を担当しています。「寒蝉」と書いて「ひぐらし」と読ませるこの候は、中国の暦から受け継がれたもの。中国では晩夏に鳴く蝉を「寒蝉」と呼び、日本ではそれを、夏の終わりを告げる蝉――ひぐらしに重ねました。ミンミンゼミやアブラゼミの暑苦しい声とは違い、ひぐらしのカナカナという声には、どこか涼しげで、そして物悲しい響きがあります。古来、日本人はその声に、過ぎゆく夏への惜別を聴いてきました。
2026年の寒蝉鳴は、月が新たに生まれ、ご先祖を迎える5日間。8月13日(木)は新月、旧暦七月の朔日(ついたち)、そして一粒万倍日。さらに13日から16日は、月遅れのお盆にあたります。
寒蝉鳴とは ─ 夏の終わりを告げる、ひぐらしの声
寒蝉鳴は、太陽黄経が立秋の範囲(135〜140度)にある次候。ひぐらしは、実のところ夏のはじめから鳴いている蝉ですが、暦がこの晩夏にその名を置いたのには理由があります。気温の高い盛夏には他の蝉の声にかき消されがちなひぐらしの声が、暑さがふと緩んだ朝夕に、いっそう澄んで響くようになる――その「聞こえ方」の変化に、季節の移ろいが宿るからです。
ひぐらしは、薄明(はくめい)――夜明け前と日暮れ時――に好んで鳴きます。あたりが青く翳(かげ)り、昼の喧騒が静まる頃、森の奥からカナカナと響くその声は、一日の終わりと、そして夏の終わりを、同時に告げているかのようです。万葉の時代から、ひぐらし(蜩)は和歌に詠まれ、夏の終わりの寂しさを象徴する季語として愛されてきました。
2026年の暦配置 ─ 新月とともに迎える、旧暦七月とお盆
2026年の寒蝉鳴(8月13日〜17日)は、月が新月から生まれ直し、お盆と重なる5日間です。
| 日付 | 六曜 | 月相 | 暦注・行事 |
|---|---|---|---|
| 8月13日(木) | 先勝 | 新月 | 一粒万倍日・旧暦七月一日/盆の入り |
| 8月14日(金) | 友引 | 新月 | お盆 |
| 8月15日(土) | 先負 | 新月 | お盆(中日)・終戦記念日 |
| 8月16日(日) | 仏滅 | 三日月 | 盆の送り |
| 8月17日(月) | 大安 | 三日月 | 大安 |
**8月13日(木)**は、新月にして旧暦七月の朔日、さらに一粒万倍日という節目の日。月遅れのお盆を営む地域では、この日が「盆の入り」で、迎え火を焚いて祖霊を迎えます。15日(土)の中日を経て、16日に送り火で送る――新月の闇のなかで祖霊を迎え送るお盆は、月の暦と祖先供養が深く結びついた、日本の夏の節目です。15日は終戦記念日でもあり、亡き人々に静かに思いを馳せる一日でもあります。
ひぐらしの声が夏の終わりを告げ、新月の闇に祖霊を迎える――寒蝉鳴の5日間には、いのちの巡りを静かに見つめる時間が流れています。
蝉の声に聴く、夏の名残
日本人は古くから、蝉の声に季節と心情を重ねてきました。ひぐらしの声を「物のあはれ」の象徴とし、過ぎゆく時間への愛惜を託す――それは、はかなさのなかに美を見いだす、日本的な感性の表れでした。
お盆にひぐらしの声を聴くと、いっそうしみじみとした気持ちになるのは、偶然ではないのかもしれません。迎えた祖霊を、やがて送らねばならない。出会いと別れ、生と死――そのあわいに響くひぐらしの声は、夏の終わりの寂しさと、いのちへのいとおしさを、そっと結びつけてくれます。
お盆の過ごし方
お盆は、迎え火・送り火、盆棚(精霊棚)のしつらえ、墓参りと、地域や家によってさまざまな習わしがあります。形は違っても、根にあるのは祖先への感謝と追慕の心。慌ただしく過ごすより、家族でゆっくりと、亡き人を偲ぶ静かな時間を持ちたい5日間です。
送りの行事も、土地によって趣が異なります。灯籠(とうろう)に火を灯して川や海へ流す「精霊流し(しょうろうながし)」、京都の夜空を焦がす五山送り火(大文字)――いずれも、迎えた祖霊を光とともに彼岸へ送り返す祈りです。水面をゆく無数の灯籠も、山に浮かぶ炎の文字も、夏の終わりの夜にひときわ心にしみます。ひぐらしの声に送られて、祖霊が静かに帰っていく――寒蝉鳴は、そんな別れの情趣に満ちた候です。
ひぐらしという蝉 ─ なぜ朝夕に鳴くのか
ひぐらし(蜩)は、その名のとおり「日を暮れさせる」ように、夕暮れに好んで鳴く蝉です。学術的には、ひぐらしは明るさの変化に敏感で、薄暗くなる夜明け前と日暮れ時、そして曇って暗くなった日中に鳴く性質があります。気温の高い真昼を避け、涼しく薄暗い時間を選ぶこの習性ゆえに、暑さがふと緩む立秋の朝夕、その澄んだ声がいっそうよく響くのです。
「蝉は一週間の命」とよく言われますが、これは地上に出てからの成虫の期間についての俗説で、実際には二、三週間ほど生きるとされます。しかも幼虫として土の中で過ごす歳月は数年に及びます。長い地中の暮らしを経て、ひと夏の終わりに澄んだ声を響かせるひぐらし――そのはかなさと、いのちの厚みの両方を思うとき、カナカナの声はいっそう胸にしみます。
寒蝉鳴5日間の歩き方
- 8月13日(木)先勝・新月・一粒万倍日/盆の入り:午前の行動が吉。迎え火の支度を整え、祖霊を迎えましょう。始め事にも縁起のよい一粒万倍日です。
- 8月14日(金)友引・お盆:友を引く日。家族や親族と過ごすのにふさわしい一日。
- 8月15日(土)先負・お盆中日・終戦記念日:午後吉。墓参や供養は午前のうちに。亡き人々へ静かに思いを馳せて。
- 8月16日(日)仏滅・送り火:祖霊を送る日。慌てず、静かに見送るひとときを。
- 8月17日(月)大安:お盆明けの大安。日常へ戻りつつ、改まった用事に向く一日です。
福カレンダー編集部の寒蝉鳴ノート ─ 三つのおすすめ
- 夕暮れに耳を澄ます:ひぐらしは朝夕によく鳴きます。日が傾く頃、窓を開けてカナカナの声に耳を傾けると、夏の終わりがしみじみと感じられます。
- お盆は静かに迎え、送る:2026年は13日が盆の入り、16日が送り。新月の静けさのなか、急がず祖霊と向き合う時間を大切に。
- 夏を惜しむ:寒蝉鳴は、夏の名残を味わう候。過ぎゆく季節を惜しむ気持ちこそ、次の季節を新たに迎える支度になります。
ひぐらしの声と新月のお盆に、夏の終わりが深まる5日間。次の候は、朝に深い霧が立ちこめる「蒙霧升降(ふかききりまとう)」。立秋を締めくくり、秋の気配がいよいよ濃くなる候へと続きます。
参考
参考文献・出典
- 暦計算室— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-06-03)
- 七十二候 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-06-03)
- 日本の暦 -国立国会図書館-— 国立国会図書館(参照: 2026-06-03)
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野分 蓮干支と暦の研究家
- 十干十二支
- 二十四節気
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十干十二支・二十四節気・自然と暦の関わりを、歴史と科学の両面から掘り下げる研究家肌の編集者。古文書の記述と現代の気象データを突き合わせるような、知的好奇心を刺激する考察記事を得意とする。
この編集者の記事を見る →この記事について
本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
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