七十二候 土潤溽暑 2026 ─ 7月28日〜8月1日、大暑次候 満月と土用に蒸し暑さ極まる5日

この記事でわかること
大暑次候『土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)』は2026年7月28日〜8月1日。地面までもが湿気を帯びて蒸し暑さが極まる頃を、7月29日の満月と夏の土用が重なる暦配置とともに読み解きます。中国から受け継いだ高温多湿の候の系譜、打ち水・風通しという日本の涼の知恵にも触れます。
目次
桐(34候)が炎暑のなかで実を結んだ大暑も、いよいよ次候へと移ります。**2026年7月28日(火)から8月1日(土)までの5日間が、七十二候の第三十五候「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」**です。「土(つち)潤(うるお)うて溽(むし)暑(あつ)し」――地面までもが湿気を含み、むっと蒸し暑くなる、一年でもっとも湿度の高い頃を指しています。
私(野分蓮)は福カレンダー編集部で二十四節気・七十二候を担当しています。この候の「溽(じょく)」という見慣れない字は、「蒸し暑い」「湿気が多い」という意味。乾いた暑さではなく、汗のひかない、まとわりつくような暑さです。土潤溽暑は、温風至(小暑初候)や鷹乃学習(小暑末候)と同じく、中国の宣明暦からほぼそのまま受け継がれた候。高温多湿という日本の夏の実感は、中国華北の暦の言葉とも違わなかったのでしょう。
2026年の土潤溽暑は、空に大きな月が懸かる5日間でもあります。7月29日(水)が満月。蒸し暑い夜空に煌々と照る月は、夏の土用の重い空気を、いっそう濃く感じさせます。
土潤溽暑とは ─ 地面までが蒸す、一年で最も湿度の高い候
土潤溽暑は、太陽黄経が大暑の範囲(120〜125度)にある次候。夕立で濡れた土が乾ききらないうちにまた陽が照り、地面から水蒸気が立ちのぼる――そんな蒸し暑さが極まる頃です。気温の高さに湿度が加わると、汗が蒸発しにくくなり、体感の暑さはいっそう増します。現代でいう「不快指数」が跳ね上がるのが、まさにこの候のころです。
この蒸し暑さは、日本の夏の宿命でもあります。四方を海に囲まれ、夏に南からの湿った季節風が吹き込む日本では、気温だけでなく湿度の高さこそが夏の厳しさの正体。だからこそ先人は、温度を下げるより「湿気をどう逃がすか」「風をどう通すか」に知恵を絞ってきました。土潤溽暑は、その日本の夏との長い付き合いを思い起こさせる候です。
2026年の暦配置 ─ 満月とともに迎える、土用の蒸し暑い盛り
2026年の土潤溽暑(7月28日〜8月1日)は、月が満ちて満月を迎える5日間です。
| 日付 | 六曜 | 月相 | 暦注・行事 |
|---|---|---|---|
| 7月28日(火) | 友引 | 十三夜月 | ─ |
| 7月29日(水) | 先負 | 満月 | ─ |
| 7月30日(木) | 仏滅 | 満月 | ─ |
| 7月31日(金) | 大安 | 満月 | 一粒万倍日・大安 |
| 8月1日(土) | 赤口 | 居待月 | ─ |
7月29日(水)の満月を中心に、月のもっとも豊かな夜が続きます。蒸し暑い夜風のなか、大きな月を眺めるのは、この候ならではの過ごし方。そして7月31日(金)は大安と一粒万倍日が重なる吉日で、月もまだ満月。始め事や買い物の「種まき」に向く一日です。
この5日間は、夏の土用(7月20日頃〜8月6日)の真っただ中でもあります。土用は「土」の気が強まる期間として、土を動かす作業を控える慣習が伝わるとともに、暑さで体力を消耗しやすいため、養生を大切にする期間とされてきました。
蒸し暑さをしのぐ ─ 打ち水・風通し・除湿の知恵
土潤溽暑の蒸し暑さに、先人はさまざまな工夫で立ち向かってきました。
打ち水は、朝夕に道や庭へ水を撒き、その蒸発で地表の熱を奪う知恵。ただし日中の炎天下に撒くと、かえって湿度を上げて蒸し暑くなるため、気温の下がる朝晩に行うのが理にかなっています。
風通しも要です。簾(すだれ)や葦簀(よしず)で日差しを遮りつつ、家の風の通り道をつくる。蚊帳(かや)や籐(とう)の敷物、麻の衣など、日本の夏の道具はいずれも「風を通し、湿気を逃がす」ことを旨に作られてきました。
さらに、たらいに水を張って体を流す「行水(ぎょうずい)」も、汗を流して涼を得る昔ながらの知恵でした。夕暮れに縁側で団扇(うちわ)を使い、蚊遣(かや)りの煙のなか夕涼みをする――蒸し暑い土潤溽暑の頃を、電気に頼らずやり過ごす江戸の暮らしには、暑さと上手に付き合う工夫が幾重にも重ねられていました。
夏負けを防ぐ食養生
蒸し暑さで食欲が落ちやすいこの頃は、「夏負け(夏バテ)」に注意が要ります。水分とミネラルを補う夏野菜(きゅうり・冬瓜・トマト)、薬味(生姜・茗荷・大葉)で食欲を促し、うなぎや豚肉でスタミナを補う――暑さに負けない食卓の工夫が、土潤溽暑を乗り切る支えになります。
冷やしすぎない養生 ─ 溽暑の頃の体のいたわり方
蒸し暑さをしのぐ冷房は、いまの夏に欠かせません。けれども、外の高温多湿と冷えた室内を一日に何度も行き来するうち、体は寒暖差に疲れ、だるさや食欲不振――いわゆる「冷房病(クーラー病)」を起こしやすくなります。土潤溽暑の暑さは外側からのもの。その一方で、冷たい飲み物や効きすぎた冷房で、体の内側はかえって冷えていることが少なくありません。
だからこそ、この候には「冷やしすぎない」養生が肝心です。冷たいものばかりに偏らず、生姜・味噌・薬味など体を温める食材を一品添える。薄手の上着や腹巻きで冷えを防ぎ、夜はぬるめの湯にゆっくり浸かって芯から温める。汗をかいたら水分とともに塩分も補い、睡眠をしっかりとる。蒸し暑い候だからこそ、外の暑さと内の冷えの両方に気を配ることが、夏の後半を健やかに乗り切る鍵になります。
土潤溽暑5日間の歩き方
- 7月28日(火)友引・十三夜月:月がほぼ満ちる宵。蒸し暑さの底にあっても、夕涼みに月を仰ぐ余裕を持ちたい一日。
- 7月29日(水)先負・満月:満月の夜。午後の行動が吉。打ち水をして、軒で月を眺める静かな時間を。
- 7月30日(木)仏滅:派手に動くより、家の風通しを整え、夏の道具を見直すのに向く日。
- 7月31日(金)大安・一粒万倍日:5日間で最良の吉日。始め事・買い物・貯蓄の出発点に。月もまだ大きく、勢いに乗れる日です。
- 8月1日(土)赤口:八月の始まり。無理をせず、涼を取りながら夏後半に備えましょう。
福カレンダー編集部の土潤溽暑ノート ─ 三つのおすすめ
- 打ち水は朝夕に:日中の炎天下は逆効果。気温の下がる朝晩に撒くのが、涼を呼ぶこつです。
- 湿気を逃がす:温度より湿度が夏の敵。風の通り道をつくり、除湿を心がけると、同じ気温でもぐっと過ごしやすくなります。
- 満月を味わう:2026年は29日が満月。蒸し暑い夜こそ、大きな月を眺めるひとときを。暑さのなかの静けさが、心をほどいてくれます。
地面までもが蒸し暑さに包まれる5日間。次の候は、夏の夕立が激しく降る「大雨時行(たいうときどきにふる)」。大暑を締めくくる、雷と豪雨の候へと続きます。
参考
- 国立天文台 暦計算室「暦象年表」(大暑=太陽黄経120度の定義および2026年の節気日・満月の時刻)
- 略本暦(明治7年改暦)および中国宣明暦における大暑次候「土潤溽暑」
- 夏の土用と暑気払い・夏負けの食養生に関する民俗
- 福カレンダー暦マスターデータ(2026年7〜8月の六曜・月相・一粒万倍日・大安)
参考文献・出典
- 暦計算室— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-06-03)
- 七十二候 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-06-03)
- 日本の暦 -国立国会図書館-— 国立国会図書館(参照: 2026-06-03)
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野分 蓮干支と暦の研究家
- 十干十二支
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十干十二支・二十四節気・自然と暦の関わりを、歴史と科学の両面から掘り下げる研究家肌の編集者。古文書の記述と現代の気象データを突き合わせるような、知的好奇心を刺激する考察記事を得意とする。
この編集者の記事を見る →この記事について
本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
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