七十二候 桐始結花 2026 ─ 7月23日〜27日、大暑初候 満ちゆく月と「鳳凰の宿り木」桐の5日

この記事でわかること
大暑初候『桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)』は2026年7月23日〜27日。一年で最も暑い大暑に入り、初夏に咲いた桐が実を結ぶ頃を、7/23の上弦から十三夜へ満ちゆく月とともに読み解きます。鳳凰の宿り木とされ、皇室と政府の紋章となり、娘の嫁入り箪笥にもなった高貴な木・桐の文化史にも触れます。
目次
鷹(33候)の幼鳥が大空へ巣立つ術を学んだ小暑を終え、暦は一年で最も暑い節気――大暑(たいしょ)へと入ります。**2026年7月23日(木)から7月27日(月)までの5日間が、七十二候の第三十四候「桐始結花(きりはじめてはなをむすぶ)」**です。初夏に淡い紫の花を咲かせた桐(きり)が、暑さの極まるこの頃に実を結び始める――「桐(きり)始(はじ)めて花(はな)を結(むす)ぶ」という候名は、高貴な木の一年の歩みを切り取っています。
私(野分蓮)は福カレンダー編集部で二十四節気・七十二候を担当しています。大暑は、太陽黄経が120度に達し、暑さがもっとも厳しくなる時期。その初候に置かれた桐始結花は、炎暑のなかで静かに実を結ぶ桐の姿を通して、ただ暑いだけではない夏の奥行きを見せてくれます。桐は日本人にとって、ただの庭木ではありません。鳳凰(ほうおう)が宿るとされ、皇室や政府の紋章となり、娘の嫁入り道具にもなった――文化の重みを背負った木なのです。
2026年の桐始結花は、月が日に日にふくらんでいく5日間です。初日23日は上弦の月、そこから十三夜月(満月の二夜前)へと月が満ちていきます。暑さが頂点へ向かうのと歩を合わせるように、夜空の月もまた満ちていく――炎暑と満月へ向かう静かな高まりが重なる候です。
桐始結花とは ─ 一年で最も暑い大暑に、桐が実を結ぶ
桐始結花は、太陽黄経120度から125度、大暑の最初の候です。桐の花は本来、晩春から初夏(四月から五月頃)にかけて、枝先に淡い紫色の花を房状に咲かせます。「桐始結花」は、その花が散ったあと、大暑のこの頃に実(蒴果=さくか)を結び始める姿、あるいは来年の花の芽をつけ始める頃を指すとされます。盛りの花ではなく、花が「実」へと移ろうその転換点に、暦は目を向けているのです。
桐は、樹木のなかでも際立って成長の早い木として知られます。芽生えから十数年で家具になるほどの大木に育ち、しかも材は軽く、湿気を通しにくく、火にも強い――この性質が、後述する桐箪笥(きりだんす)の文化を生みました。炎暑のなかで黙々と実を結び、翌年へ命をつなぐ桐の姿は、暑さに耐えて働く夏の営みそのものにも重なります。
2026年の暦配置 ─ 上弦から十三夜へ、満ちゆく月と大暑の盛り
2026年の桐始結花(7月23日〜27日)は、月が半月から満月手前へとふくらんでいく、上り坂の5日間です。
| 日付 | 六曜 | 月相 | 暦注・行事 |
|---|---|---|---|
| 7月23日(木) | 先負 | 上弦の月 | 大暑(節入り) |
| 7月24日(金) | 仏滅 | 十三夜月 | ─ |
| 7月25日(土) | 大安 | 十三夜月 | 大安 |
| 7月26日(日) | 赤口 | 十三夜月 | ─ |
| 7月27日(月) | 先勝 | 十三夜月 | ─ |
初日7月23日は大暑の節入り。暦の上で一年でもっとも暑さが厳しいとされる時期の幕開けです。月は同日に上弦(半月)を迎え、そこから24日以降は十三夜月(満月の二夜ほど前のふくよかな月)へと満ちていきます。暑さが極まりへ向かい、月も満ちへ向かう――上昇と充実の気配がそろう配置です。
六曜では25日(土)が大安で、5日間でもっとも改まった事に向く日。週末でもあるため、暑気払いの集いやお祝いごとを営むなら、この日が暦に沿った選択になります。なお大暑は土用の盛りでもあり、暑さ対策と夏の養生がいよいよ大切になる頃です。
桐という木 ─ 鳳凰の宿り木、皇室の紋、娘の嫁入り箪笥
桐がこれほど大切にされてきたのは、その気高い来歴によります。
第一に、桐は鳳凰(ほうおう)の宿る木とされてきました。中国の故事に、伝説の瑞鳥・鳳凰は「梧桐(ごとう=桐)にあらざれば棲(す)まず、竹の実にあらざれば食(くら)わず」と語られます。聖なる鳥が選んでとまる唯一の木――それが桐でした。この伝説から、桐は古来、めでたく高貴な木として尊ばれてきたのです。
第二に、桐は紋章の木でもあります。桐の花と葉を図案化した「桐紋(きりもん)」、とりわけ五七桐(ごしちのきり)は、菊紋と並ぶ皇室ゆかりの紋として用いられ、のちに豊臣秀吉も拝領しました。現在も五七桐は日本国政府や内閣総理大臣の紋章として使われています。私たちがふだん目にする硬貨や公文書にも、桐は気づかぬうちに息づいているのです。
第三に、桐は暮らしに寄り添う木でした。軽く、湿気を防ぎ、火に強い桐材は、大切な着物をしまう桐箪笥に最適とされ、各地で「娘が生まれたら庭に桐を植え、嫁入りのときにその木で箪笥をこしらえる」という風習が伝えられてきました。生まれた娘の成長と、成長の早い桐の木を重ね合わせる――そこには、子の幸せを願う親の祈りが込められていました。
暑さの頂点を生きる ─ 大暑の養生
桐が静かに実を結ぶ一方で、人にとって大暑は体力の消耗しやすい時期です。先人は「暑気払い」と称して、この頃に体をいたわる工夫を重ねてきました。朝夕の打ち水で地を冷やし、簾(すだれ)で日差しをやわらげ、水分と塩分をこまめに補う――電気のない時代から続く涼の知恵は、今もそのまま役に立ちます。土用にあたるこの時期は、無理をせず、体の声に耳を傾けることがいちばんの養生です。
桐始結花5日間の歩き方 ─ 大暑の入りを健やかに
暦の配置を踏まえて、2026年の桐始結花5日間を歩いてみます。
- 7月23日(木)大暑・上弦の月:一年でもっとも暑い節気の始まり。無理な外出を控え、暑さ対策を万全に整える日に。
- 7月24日(金)仏滅:派手に動くより、室内で静かに過ごすのに向く日。冷房と打ち水を上手に使い、体を休めましょう。
- 7月25日(土)大安:5日間で最も吉日らしい一日。暑気払いの会食やお祝いごと、改まった用事に向きます。
- 7月26日(日)赤口・十三夜月:月がふくらむ夜。暑さの一段落する夕涼みに、ふくよかな月を眺めるのもこの候らしい過ごし方です。
- 7月27日(月)先勝:午前の行動が吉。週明けの用事は早めに片づけ、午後は暑さを避けて休むのが賢明です。
福カレンダー編集部の桐始結花ノート ─ 三つのおすすめ
最後に、桐始結花を健やかに過ごすための小さな提案を三つ。
- 桐紋を探してみる:五百円硬貨や政府の文書など、桐紋は意外な身近に潜んでいます。鳳凰の宿る木が国の紋になった物語を知ると、夏の散歩がひと味豊かになります。
- 大暑は「がんばらない」が正解:一年で最も暑いこの時期は、無理をしないことが最良の養生。打ち水・簾・こまめな水分で、涼を重ねて乗り切りましょう。
- 満ちゆく月を味わう:暑さの極みと、満月へ向かう月。夕涼みに夜空を見上げれば、炎暑のなかにも季節の確かな歩みを感じられます。
炎暑のなかで桐が静かに実を結ぶ5日間。次の候は、大暑の次候「土潤溽暑(つちうるおうてむしあつし)」――蒸し暑さがいよいよ極まる、夏の盛りの候へと続きます。
参考
- 国立天文台 暦計算室「暦象年表」(大暑=太陽黄経120度の定義および2026年の節気日・月相)
- 略本暦(明治7年改暦)における大暑初候「桐始結花」
- 桐紋(五七桐)の来歴と日本国政府・皇室における用例
- 鳳凰と梧桐(桐)の故事、桐箪笥と「娘に桐を植える」民俗
- 福カレンダー暦マスターデータ(2026年7月の六曜・月相・大暑・土用)
参考文献・出典
- 暦計算室— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-06-03)
- 七十二候 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-06-03)
- 日本の暦 -国立国会図書館-— 国立国会図書館(参照: 2026-06-03)
2026年の暦カレンダー
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野分 蓮干支と暦の研究家
- 十干十二支
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- 自然暦
十干十二支・二十四節気・自然と暦の関わりを、歴史と科学の両面から掘り下げる研究家肌の編集者。古文書の記述と現代の気象データを突き合わせるような、知的好奇心を刺激する考察記事を得意とする。
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