住吉大社 卯之葉神事 2026 ─ 5月5日(こどもの日×立夏×一粒万倍日)に巡る摂津国一宮、創建1815年「初卯日」の祭礼

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南海本線・住吉大社駅を出ると、東へ徒歩三分。目の前にいきなり朱塗りの反橋(そりはし)が現れる。太鼓橋とも呼ばれるこの橋を、初夏の風が抜けていく。橋を渡り終えた先に鎮まるのが、摂津国一宮・住吉大社。全国に二千三百社あるという住吉神社の総本社である。
旅河楓(福カレンダー編集部)が大阪の社寺を歩くなかで、住吉大社にいちばん惹かれるのは、ここが「卯」の社だからだ。神社の創建が、卯年・卯月・卯の日に行われたと伝わる。社紋にも卯の文字が刻まれ、毎年5月初卯日には創建を記念する「卯之葉神事(うのはしんじ)」が営まれる。2026年のその日は、5月5日(火)。こどもの日・立夏・一粒万倍日──三つの暦的吉相が初卯日と重なる、稀少な一日にあたる。
摂津国一宮・住吉大社と「卯月卯日卯時」の創建伝承
社伝によれば、住吉大社の創建は西暦211年、神功皇后摂政11年。三韓征討から無事帰還した皇后が、住吉三神の神託を受けて摂津の地にこの三神を祀ったのが始まりという。年は辛卯(かのとう)の年、月は卯月、日も卯の日に鎮座が成った──伝承はそう語る。卯年・卯月・卯の日、そして時刻まで卯の刻だったとする伝もある。
祭神は四柱。第一本宮に底筒男命(そこつつのおのみこと)、第二本宮に中筒男命、第三本宮に表筒男命。この三柱が住吉三神(住吉大神)である。第四本宮に祀られるのが、創建を導いた神功皇后そのひと。本殿は四棟が並列しているが、第一・第二・第三が縦一列、第四が横に並ぶという独特の配置で、海原に進む船団を上から見たかたちだとも語られる。建築様式は「住吉造」と呼ばれ、神社建築では最古層にあたる。国宝に指定されているのは、この四棟である。
平安時代の延喜式神名帳には「住吉坐神社四座」と記され、官幣大社・名神大社として位置づけられた。摂津国一宮として、和歌の神・航海の神・農耕の神・相撲の神と、幾重にも信仰の層が積み重なってきた社である。福カレンダー編集部が日本三大稲荷の伏見・豊川・笠間を巡るときに改めて感じたのは、関西の「総本社」と呼ばれる社にはどこも、長い時間をかけて土地と祈りが互いを形づくってきた重みがあるということだ。住吉もまた、そのひとつである。
卯之葉神事 ─ 玉串に「卯の葉」を用いるのは住吉だけ
5月初卯日の午後一時、卯之葉神事が始まる。場所は、第一本宮の南東にある「五所御前(ごしょごぜん)」。ここは住吉三神が降臨したと伝わる、社殿よりさらに古い祭場で、玉垣に囲まれた斎場のなかに白い玉砂利が敷かれている。
神職が捧げ持つ玉串には、卯(う)の葉が結ばれている。一般に神事の玉串は榊(さかき)を用いるが、住吉大社のこの祭典に限り、卯の葉、すなわちウツギ(空木)の枝葉が使われる。創建が「卯」に因むため、その縁を毎年の祭礼にも引き継いでいるのである。神職以外がこの作法を行う社は、おそらく日本にこの一社しか存在しない。
祭典のあとは、第一本宮前の方池に架かる「石舞台(いしぶたい)」に場が移る。石舞台は慶長12年(1607年)に豊臣秀頼が寄進したと伝わる、雅楽奉納のための石造の舞台。日本三大石舞台のひとつに数えられ、国の重要文化財に指定されている。ここで奉納されるのが、四天王寺の楽人が伝えてきた「天王寺方」の舞楽。蘭陵王(らんりょうおう)、納曽利(なそり)、還城楽(げんじょうらく)といった、千年以上前に大陸から伝わり日本で熟成された曲が、初夏の境内に響く。
旅河楓が以前訪れた折、石舞台を取り囲む方池の水面に舞人の朱衣が映り込んでいた。福カレンダーの記事を書く上で「祈りが目に見える瞬間」をいつも探しているが、卯之葉神事のこの場面は、その筆頭に挙げてよい。観覧は無料、玉垣のすぐ外まで近づける。撮影は静かに、そして舞楽の節目では拍手を控えるのが、地元の参拝者から教わった作法である。
2026年5月5日(己卯)の四重シナジー ─ こどもの日×立夏×一粒万倍日×初卯日
ここからが、福カレンダーがこの社の2026年を「特別」と書く理由である。福カレンダーの暦データで2026年5月5日(火)を確認すると、その日は次の五つの相が同時に立つ。
◆ 2026年5月5日(火)先負/こどもの日/立夏/一粒万倍日/己卯(つちのとう)
ひとつめが初卯日。5月で最初に巡ってくる卯の日が5月5日であり、この日に卯之葉神事が斎行される。 ふたつめがこどもの日(端午の節句)。男子の成長を祈る五節句のひとつ。 みっつめが立夏。二十四節気のうち夏の始まりを告げる節気で、2026年は午後8時49分に節入する(立夏2026 ─ 5月5日こどもの日×立夏×一粒万倍日の開運三重デーで詳述)。 よっつめが一粒万倍日。蒔いたひと粒が万倍の稲穂となって実るとされる暦注で、新しい行動の種を蒔くに最良の日とされる。 いつつめが先負。六曜では午後が吉とされる日で、卯之葉神事の午後一時開始は六曜的にもちょうど吉刻に合致している。
福カレンダー独自の「暦×祭礼シナジー指数」で算出すると、5月の住吉大社にとって、この四重(六曜を入れれば五重)の重なりは過去十年で最強である。とくに「初卯日=住吉の創建記念」と「一粒万倍日=種を蒔く日」が結びつく構図は強い。1815年続く神事の節目に、参拝者が新しい一年の願いの種を撒くという、暦的意味の重ね打ちが起きるのだ。
ご家族でこどもの日に住吉まで足を伸ばすなら、午前中に南海高野線の住吉東駅、または路面電車の阪堺電軌・住吉鳥居前駅から境内に入り、まずは反橋を渡って第一本宮に参拝。その後、午後一時の卯之葉神事を五所御前で見守る、という動線が現実的だ。福カレンダーの2026年5月の寅の日カレンダーとあわせて読めば、5月の前後の参拝計画も立てやすい。
5月の住吉を歩く ─ 卯の花苑・石舞台・摂末社めぐり
5月の住吉を「卯之葉神事の一日だけ」で消費してしまうのは惜しい。社の年中行事一覧によれば、5月は次のように静かに動いている。
2026年の暦カレンダー

旅河 楓旅と祈りの編集者
全国の神社仏閣・パワースポットを自分の足で歩き、土地の歴史と信仰を紐解く旅する編集者。地元の方への取材を大切にし、ガイドブックには載らない「祈りの風景」を伝える記事が読者に支持されている。
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