天一天上(てんいちてんじょう)とは?癸巳から戊申まで16日間の意味と2026・2027年の日程

この記事でわかること
天一天上(てんいちてんじょう)は、方角の神・天一神が天に帰る癸巳から戊申までの16日間。どの方角へ動いてもよいとされる一方、結婚は忌むとされます。次は2026/11/15〜11/30。44日の巡行の仕組みと2026・2027年の全日程を福カレンダーの暦データで読み解きます。
目次
暦の下段をたどっていると、「天一天上」という、どこか晴れやかな四文字に出会うことがあります。読みは「てんいちてんじょう」。方角をつかさどる神さまが天へ帰っていく期間で、この間はどの方角へ動いてもよいとされてきました。
2026年の天一天上は、すでに5回巡りました。今年残るのは2026/11/15(日)から2026/11/30(月)までの16日間だけ。七五三の正式日に始まり、酉の市の二の酉や勤労感謝の日をまたぐ、晩秋の予定がぎゅっと詰まった時期と重なります。どんな意味を持つ期間なのか、福カレンダーの暦データと一緒にゆっくり読んでいきましょう。
天一天上とは ─ 方角の神が天へ帰る16日間
天一天上は、暦注下段に数えられる「選日(せんじつ)」のひとつです。十干と十二支を組み合わせた六十干支のうち、30番目の癸巳(みずのとみ)から45番目の戊申(つちのえさる)までの16日間を指します。60日でひと回りする干支の周期に沿うので、天一天上もおよそ2か月に一度、必ず16日間まとまって巡ってきます。
国立国会図書館の電子展示「日本の暦」では、天一天上を次のように説明しています。
天一神が天上に上がっている癸巳の日(30番目)から戊申の日(45番目)までの16日間のこと。この間はどちらの方向に動いてもよいが、結婚は忌む。 ──国立国会図書館「日本の暦」第3章 暦の注記より
ポイントは二つですね。ひとつは「どちらの方向に動いてもよい」という、移動や方角についてのおおらかさ。もうひとつは「結婚は忌む」という、たったひとつの但し書きです。凶日がずらりと続く期間ではなく、方角の縛りがほどける、少し身軽な16日間と受け止めると、暦との付き合い方がぐっとやさしくなりますよ。
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天一神の44日の旅 ─ なぜ16日間だけ「天上」なのか
主役の天一神(てんいちじん)は、Wikipedia日本語版「天一神」によると「中神(なかがみ)」「天一」「天乙」「貴人」とも呼ばれる方角の神です。60日の干支の周期のうち44日間は地上に降りて八方を巡り、残る16日間は天上に戻って過ごす、と考えられてきました。地上を巡る順番は、次のように決まっています。
| 期間の初日の干支 | 六十干支の番号 | 滞在日数 | 天一神のいる方角 |
|---|---|---|---|
| 己酉 | 46番目 | 6日 | 北東 |
| 乙卯 | 52番目 | 5日 | 東 |
| 庚申 | 57番目 | 6日 | 南東 |
| 丙寅 | 3番目 | 5日 | 南 |
| 辛未 | 8番目 | 6日 | 南西 |
| 丁丑 | 14番目 | 5日 | 西 |
| 壬午 | 19番目 | 6日 | 北西 |
| 戊子 | 25番目 | 5日 | 北 |
| 癸巳〜戊申 | 30〜45番目 | 16日 | 天上(天一天上) |
6日と5日を交互に4回ずつ足すと44日。そこに天一天上の16日を加えると、ちょうど60日でひと回りします。北を巡り終えた天一神が天へ帰るのが癸巳、ふたたび北東へ降りてくるのが己酉。天一天上は、この大きな旅のあいだに挟まれた「お休みの期間」なのですね。
天一神がとどまる方角は「塞(ふたがり)」と呼ばれ、その方角に向かって事を起こすのは避けるべきとされました。平安時代にはとくに強く信じられ、同じ項目では「当時の方違えのほとんどは天一神のいる方角を避けた物であった」とも説明されています。目的地が塞がっていると、いったん別の方角の家に泊まってから向かう──それが方違え(かたたがえ)です。
天一天上の16日間は、その神さまが天にいるので塞がる方角がありません。だからこそ「どちらの方向に動いてもよい」。暦の理屈がきれいにつながっていて、なんだか気持ちがいいですね。
十方暮と八専 ─ 選日のバトンでつながる暦
天一天上は、ほかの選日とも干支のうえでつながっています。
- 十方暮(じっぽうぐれ):21番目の甲申から30番目の癸巳までの10日間。最終日の癸巳が、そのまま天一天上の初日になります
- 天一天上:30番目の癸巳から45番目の戊申までの16日間
- 八専(はっせん):49番目の壬子から60番目の癸亥までの12日間(間日を除く8日間が凶日)
つまり癸巳の一日は、「十方暮の終わり」と「天一天上の始まり」が同居する節目の日。2026年なら、十方暮の2026/11/06〜11/15に続いて、11/15から天一天上が始まります。気の通わない10日間が明けていくのと入れ替わりに、方角の縛りがほどける16日間がやってくる──干支の並びは、こんなふうにバトンを渡していくのです。
2026・2027年の天一天上 全日程
福カレンダーの日干支データ(癸巳〜戊申)から、2026年と2027年の天一天上をすべて書き出しました。2026年分は公開時点ですでに過ぎた期間も含めて載せています。
| 年 | 期間 | 期間中の祝日 |
|---|---|---|
| 2026 | 2026/01/19(月)〜02/03(火) | ― |
| 2026 | 2026/03/20(金)〜04/04(土) | 春分の日(3/20) |
| 2026 | 2026/05/19(火)〜06/03(水) | ― |
| 2026 | 2026/07/18(土)〜08/02(日) | 海の日(7/20) |
| 2026 | 2026/09/16(水)〜10/01(木) | 敬老の日(9/21)・国民の休日(9/22)・秋分の日(9/23) |
| 2026 | 2026/11/15(日)〜11/30(月) | 勤労感謝の日(11/23) |
| 2027 | 2027/01/14(木)〜01/29(金) | ― |
| 2027 | 2027/03/15(月)〜03/30(火) | 春分の日(3/21)・振替休日(3/22) |
| 2027 | 2027/05/14(金)〜05/29(土) | ― |
| 2027 | 2027/07/13(火)〜07/28(水) | 海の日(7/19) |
| 2027 | 2027/09/11(土)〜09/26(日) | 敬老の日(9/20)・秋分の日(9/23) |
| 2027 | 2027/11/10(水)〜11/25(木) | 勤労感謝の日(11/23) |
2027年は1月・3月・5月・7月・9月・11月と、奇数月の中旬にきれいに並びます。春と秋のお彼岸の連休、海の日の三連休が天一天上に重なる年なので、旅行や帰省の計画を立てるときの目安にもなりそうですね。
なお、その年最初の天一天上の初日は「天一太郎(てんいちたろう)」と呼ばれ、上吉日とされてきた、と前出のWikipedia日本語版「天一神」は紹介しています。
2026/11/15〜11/30 の16日間を一日ずつ
2026年最後の天一天上を、六曜と吉日・凶日の重なりとあわせて見てみましょう。
| 日付 | 日干支 | 六曜 | 重なる暦注・行事 |
|---|---|---|---|
| 2026/11/15(日) | 癸巳 | 仏滅 | 巳の日/天一天上の初日・十方暮の最終日・七五三 |
| 2026/11/16(月) | 甲午 | 大安 | ― |
| 2026/11/17(火) | 乙未 | 赤口 | 大明日 |
| 2026/11/18(水) | 丙申 | 先勝 | 受死日 |
| 2026/11/19(木) | 丁酉 | 友引 | 一粒万倍日・十死日/酉の市の二の酉 |
| 2026/11/20(金) | 戊戌 | 先負 | 一粒万倍日・不成就日 |
| 2026/11/21(土) | 己亥 | 仏滅 | 三隣亡 |
| 2026/11/22(日) | 庚子 | 大安 | 小雪 |
| 2026/11/23(月) | 辛丑 | 赤口 | 勤労感謝の日 |
| 2026/11/24(火) | 壬寅 | 先勝 | 大明日・寅の日 |
| 2026/11/25(水) | 癸卯 | 友引 | ― |
| 2026/11/26(木) | 甲辰 | 先負 | 大明日 |
| 2026/11/27(金) | 乙巳 | 仏滅 | 大明日・巳の日 |
| 2026/11/28(土) | 丙午 | 大安 | 大明日・不成就日 |
| 2026/11/29(日) | 丁未 | 赤口 | 大明日 |
| 2026/11/30(月) | 戊申 | 先勝 | 受死日/天一天上の最終日 |
16日間のうち大明日は6日、一粒万倍日は2日。いっぽうで受死日が11/18と11/30に、不成就日が11/20と11/28に入っています。天一天上は「方角」についての暦注なので、ほかの吉凶はそのまま重ねて読むのが基本。たとえば11/19は一粒万倍日で酉の市の二の酉ですが、十死日も同居しています。熊手は縁起物として気負わず迎え、大きな契約ごとは別の日に回す、といった使い分けがおすすめですよ。
天一天上の過ごし方 ─ 動くのは吉、婚礼は見送り、家は清らかに
古くからの言い伝えを、今の暮らしに置き換えてみましょう。
向いていること
- 旅行・帰省・出張:塞がる方角がないので、行き先を選ばずに出かけられる期間とされます
- 引っ越し・家具の配置換え:方角を気にする方にとって、動きやすいタイミング。日取りは引っ越しの吉日の考え方とあわせて選びましょう
- 家の掃除・片づけ:後で触れる日遊神の言い伝えにちなんで、住まいを整えるのにふさわしい期間です
控えたいこと
- 結婚・婚礼:国立国会図書館「日本の暦」が明記する、天一天上の唯一のタブーです。期間中の大安(2026/11/16・11/22・11/28)も、婚礼や入籍の日取りとしては見送るのが無難ですね
- 吉凶の重なりの見落とし:「どこへ動いてもよい」のは方角の話。受死日や不成就日の注意まで帳消しになるわけではありません
日遊神と「家を清める」言い伝え
天一神が天へ帰っているあいだ、入れ替わるように地上へ降りて家の中にとどまるのが日遊神(にちゆうしん)です。前出のWikipedia日本語版「天一神」は、「この期間は家の中を清潔にしなければ日遊神の祟りがあるとされている」と紹介しています。
祟りと聞くと少しこわいですが、裏を返せば「16日間、家の神さまをお迎えしている」ということ。2026年の天一天上は、ちょうど小雪(11/22)を迎えて冬支度が始まるころです。暮れの大掃除の前に、玄関や水まわりを少しずつ整えておくのにぴったりですね。同じ項目には、天一天上を「どこへ出かけても吉」とみて、相場師が「相場が上がる」と言い習わしたという話も紹介されています。
暮らしに取り入れるコツ ─ 三つのチェックポイント
天一天上を上手に使うために、予定を立てるときは次の三つを順番に確かめてみてください。
- 日干支を確認する:その日が癸巳から戊申の間に入っているか。福カレンダーの日別ページでいつでも確認できます
- 目的を確認する:移動・方角に関わる予定なら追い風、婚礼なら見送り
- ほかの暦注を重ねる:六曜や一粒万倍日、受死日・不成就日など、同じ日に重なる吉凶もあわせて読む
暦注下段の選日は、ひとつひとつが小さなルールを持っています。けれど天一天上の根っこにあるのは、「神さまが天に帰っているあいだは、のびのび動いていい」というおおらかな発想です。2026/11/15から始まる16日間は、七五三のお参りに出かけたり、遠くの家族に会いに行ったり、冬を迎える住まいを整えたり。暦に背中を押してもらいながら、晩秋の毎日を気持ちよく過ごしていきましょう。
参考
- 国立国会図書館「日本の暦」第3章 暦の注記「吉凶を表す言葉④その他」 https://www.ndl.go.jp/koyomi/chapter3/s6.html
- Wikipedia日本語版「天一神」 https://ja.wikipedia.org/wiki/天一神
参考文献・出典
- 日本の暦 -国立国会図書館-— 国立国会図書館(参照: 2026-05-16)
- 暦計算室— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-05-16)
- 旧暦 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-05-16)
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本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
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