七十二候 草露白 2026 ─ 9月7日〜11日、白露初候 重陽の節句と朝露が白く光る5日

この記事でわかること
白露初候『草露白(くさのつゆしろし)』は2026年9月7日〜11日。草に降りた朝露が白く輝き始める、本格的な秋の入り口を読み解きます。9月9日の重陽の節句と菊に長寿を願う風習、露を『はかなさ』の象徴として愛した日本の感性、新月へと欠けゆく月の暦配置にも触れます。
目次
稲(42候)が黄金色に実った処暑を終え、暦は本格的な秋の節気――白露(はくろ)へと入ります。**2026年9月7日(月)から9月11日(金)までの5日間が、七十二候の第四十三候「草露白(くさのつゆしろし)」**です。「草(くさ)の露(つゆ)白(しろ)し」――夜明けの草に降りた露が、朝日を受けて白く輝き始める、そんな清らかな頃を指しています。
私(野分蓮)は福カレンダー編集部で二十四節気・七十二候を担当しています。白露は、朝晩の冷え込みが進んで、空気中の水蒸気が冷えた草の上で凝り、露となって結ぶ季節。その露の色に着目したのが、この草露白です。じつは白露の三候は、いずれも日本で大きく書き換えられた候。中国の宣明暦では白露初候は「鴻雁来(こうがんきたる)」――北から雁が渡ってくる候でしたが、日本の暦は、足もとの草に光る露へとまなざしを移しました。遠い空の渡り鳥より、朝な朝な目にする露のきらめきにこそ秋を感じる――そんな繊細な季節感が、草露白という候名に映し出されています。
2026年の草露白は、月が細く欠けて新月を迎える5日間。そして**9月9日(水)には、五節句のひとつ「重陽(ちょうよう)の節句」**が巡ってきます。
草露白とは ─ 朝露が白く光る、秋を告げる白露の初候
草露白は、太陽黄経が165度に達して白露に入った最初の候です。「白露」という節気名そのものが「白い露」を意味し、その初候に「草露白」が置かれるのは、いわば白露の本領を真っ先に告げる候といえます。
露が白く見えるのは、無数の小さな水滴が光を乱反射するため。よく晴れて風のない夜は、地表の熱が空へ逃げる「放射冷却」が進み、明け方の気温がぐっと下がって、草や葉に露がびっしりと結びます。そして朝日がさすと、その一粒一粒が銀色にきらめく――夏のあいだは見られなかったこの光景こそ、秋がしっかりと根を下ろした証しです。「露が降りた朝は日中よく晴れる」とも言われ、白い露は、その日の青空の前ぶれでもあります。
2026年の暦配置 ─ 新月へ欠けゆく月と、重陽の節句
2026年の草露白(9月7日〜11日)は、月が細く欠けて新月へと沈んでいく5日間です。
| 日付 | 六曜 | 月相 | 暦注・行事 |
|---|---|---|---|
| 9月7日(月) | 友引 | 有明月 | 白露・一粒万倍日 |
| 9月8日(火) | 先負 | 有明月 | ─ |
| 9月9日(水) | 仏滅 | 有明月 | 重陽の節句 |
| 9月10日(木) | 大安 | 新月 | 大安 |
| 9月11日(金) | 友引 | 新月 | 旧暦八月一日 |
初日9月7日(月)が白露の節入りで、始め事の種まきに縁起のよい一粒万倍日でもあります。月は有明月(明け方に残る細い月)から、10日(木)には新月へと沈み、空から姿を消します。11日は旧暦八月の朔日(ついたち)。そして9日(水)には、菊に長寿を願う重陽の節句が重なります。期間中の日ごとの六曜・吉日は、上の表をご覧ください。
重陽の節句 ─ 菊と露に長寿を願う
9月9日は、五節句の最後を飾る「重陽の節句」です。陰陽思想では奇数を陽の数とし、最大の陽数「九」が二つ重なるこの日を、めでたくも気の強すぎる日として、邪気を払い長寿を願う行事を営んできました。別名「菊の節句」とも呼ばれ、菊を愛でる風習が中心になります。
菊は、古来「不老長寿の薬効を持つ花」とされてきました。菊の花を浮かべた「菊酒」を酌み交わし、菊を眺めて宴を催す――そして草露白の候にふさわしいのが、「被綿(きせわた)」という雅やかな風習です。重陽の前夜、菊の花に真綿をかぶせて夜露を含ませ、翌朝その露と香りのしみた綿で体を拭うと、若返り、長寿を保てると信じられました。草に結ぶ朝露と、菊にこめた長寿への願いが結びつく――重陽の節句は、まさに草露白の候の真ん中にふさわしい行事なのです。
露という、はかなさの象徴
日本人は古くから、露に深い情趣を見いだしてきました。草の葉先に結び、朝日がさせばたちまち消えてしまう露は、和歌の世界で「はかなさ」「無常」「短い命」の象徴とされ、数えきれないほどの歌に詠まれてきました。「露の命」「露の世」という言葉は、消えやすくはかないものの代名詞です。
けれども、はかないからこそ、露は美しい。一夜だけ草に宿り、朝の光にきらめいて消えるその一瞬に、古人は移ろう季節と、いのちのいとおしさを重ねました。草露白は、足もとに光る小さな露に、秋の訪れと、はかなくも輝くものへのまなざしを教えてくれる候です。
秋の七草と露 ─ 野に置く白露の風情
白露の頃、野辺では秋の七草が見頃を迎えます。萩(はぎ)、尾花(おばな=すすき)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)――そのいずれにも、朝には白い露が宿ります。
とりわけ、すすきの細い穂や、萩のしなやかな枝に連なる露の玉は、秋の野の風情そのもの。和歌では「萩の露」「尾花が末(うれ)の露」といった表現で、はかなくも美しい秋の情景がくり返し詠まれてきました。露は、ただ草を濡らすだけのものではなく、秋の野に詩情を添える、季節の装身具でもあったのです。草露白の朝、野辺に出れば、七草に光る無数の露が、暦の言葉そのままの景色を見せてくれます。
草露白5日間の歩き方
- 9月7日(月)白露・一粒万倍日:暦の上で本格的な秋の始まり。始め事や新しい習慣の出発点に縁起のよい日です。
- 9月8日(火)先負:午後の行動が吉。早起きして、草に光る朝露を探してみては。
- 9月9日(水)重陽の節句:菊を飾り、長寿を願う日。菊の花を浮かべた一杯や、菊にちなんだ和菓子で季節を味わって。
- 9月10日(木)大安・新月:月が新たに生まれる大安。改まった事や始め事にふさわしい一日です。
- 9月11日(金)旧暦八月朔日:旧暦では八月の始まり。中秋の名月へと向かう、秋本番の入り口です。
福カレンダー編集部の草露白ノート ─ 三つのおすすめ
- 朝露を探す:草露白は、早起きの値打ちが高い候。よく晴れた朝、草に結ぶ白い露のきらめきは、秋からの贈り物です。
- 重陽の節句を楽しむ:五節句の最後にして、いちばん知られていない節句かもしれません。菊を一輪飾るだけでも、暮らしに季節の彩りが添います。
- はかなさを慈しむ:消えやすい露に美を見た先人にならい、移ろう季節の一瞬を、心にとめて味わってみてください。
朝露が白く光り、菊に長寿を願う5日間。次の候は、セキレイが鳴き始める「鶺鴒鳴(せきれいなく)」。男女の道を教えたという神話の鳥が登場する、白露の次候へと続きます。
参考
- 国立天文台 暦計算室「暦象年表」(白露=太陽黄経165度の定義および2026年の節気日・新月の時刻)
- 略本暦(明治7年改暦)における白露初候「草露白」、中国宣明暦「鴻雁来」との対照
- 五節句「重陽の節句」と菊・被綿(きせわた)の風習、和歌における露の象徴
- 福カレンダー暦マスターデータ(2026年9月の六曜・月相・一粒万倍日・旧暦)
参考文献・出典
- 暦計算室— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-06-03)
- 七十二候 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-06-03)
- 日本の暦 -国立国会図書館-— 国立国会図書館(参照: 2026-06-03)
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野分 蓮干支と暦の研究家
- 十干十二支
- 二十四節気
- 自然暦
十干十二支・二十四節気・自然と暦の関わりを、歴史と科学の両面から掘り下げる研究家肌の編集者。古文書の記述と現代の気象データを突き合わせるような、知的好奇心を刺激する考察記事を得意とする。
この編集者の記事を見る →この記事について
本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
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