梅仕事と暦2026 ─ 6月11日(木)入梅から夏至までの青梅・らっきょう・新生姜、初夏の手仕事カレンダー

この記事でわかること
2026年の入梅は6月11日(木)、六曜は大安、吉日は大明日。太陽黄経80度が告げる「手仕事の合図」から夏至6月21日(日)大安×寅の日までの十一日間を、青梅・らっきょう・新生姜の三本柱で組み立てる。和歌山産シェア58%の南高梅、紀州梅の会の品種解説、暦の節目に合わせた仕込みの作法。福カレンダー編集部・旬野椿が綴る、五感で味わう初夏の保存食カレンダー。
目次
立夏を過ぎ、五月雨の気配が街角に漂い始める頃。台所のすみに木の桶を引っ張り出し、ガラスの保存瓶を磨きながら、私はいつも一年でいちばん指先がうずく季節を迎えます。緑の宝石のような青梅が八百屋の店先に並び、土ごとのらっきょうが目に入り、ピンク色の頭を覗かせた新生姜がそっと棚の隅に置かれている。それは、暦が告げる「手仕事の合図」。福カレンダーの2026年の暦を開けば、6月11日(木)が入梅(にゅうばい)。雑節のなかでもひときわ静かなこの日が、私たち日本人の台所に「梅雨を味方に変えるごちそう」をもたらす起点になります。
この記事では、6月11日(木)入梅から6月21日(日)夏至までの十一日間を、青梅・らっきょう・新生姜の三本柱で読み解きます。暦に従って手を動かす意味を、福カレンダー編集部の旬野椿(つばきしゅんの)が、五感を頼りにご案内します。
入梅の暦 ─ 「太陽黄経80度」が告げる手仕事の合図
入梅は、二十四節気とは別に立てられた雑節(ざっせつ)のひとつです。気象台が発表する「梅雨入り」とは別物で、太陽が黄経80度に達する日を暦の上の入梅と定めています。国立天文台が公開する2026年の暦要項によると、その日は6月11日(木)。福カレンダーの暦データで照合すると、六曜は大安、吉日は大明日、月相は晦の月、日干支は丙辰(ひのえたつ)です。一年を通しても「入梅×大安」が重なる年は珍しく、台所に向かう背中をそっと押してくれるような配置と言えるでしょう。
Wikipedia 日本語版「入梅」によれば、太陽黄経80度を入梅とする現定義は1844年(天保15年)の天保暦改暦以降に統一されたもので、それ以前は「芒種(ぼうしゅ)後の最初の壬(みずのえ)の日」とされていました。十干を基準にすると年によって最大10日の幅で揺れるため、農作業の段取りが組みづらい。江戸後期の天文方が太陽の動きで一本化したという経緯は、和暦の合理化を象徴するエピソードです。
「梅雨入り」発表との違いを整える
| 区分 | 2026年の日付 | 決め方 | 役割 |
|---|---|---|---|
| 暦の入梅(雑節) | 6月11日(木) | 太陽黄経80度 | 仕事はじめの合図 |
| 気象台の梅雨入り発表 | 例年6月上旬〜中旬 | 気象データ(雨量・前線位置) | 実際の天候への備え |
| 芒種(二十四節気) | 6月6日(土) | 太陽黄経75度 | 種まき・田植えの目安 |
| 夏至(二十四節気) | 6月21日(日) | 太陽黄経90度 | 一年で昼が最長 |
「五月雨を集めてはやし最上川」(松尾芭蕉『奥の細道』)。梅雨を厭うのではなく、梅雨があるからこそ生まれる手仕事の濃密さを、芭蕉は元禄二年(1689年)の旅でうたいました。
入梅の意味をもっと丁寧に知りたい方は、入梅2026は6月11日(木・大安)を併せてどうぞ。雑節としての位置づけを暦の流れで見渡せます。
青梅から完熟梅まで ─ 5月下旬から6月下旬の収穫リレー
梅仕事の主役は、なんといっても梅。青く硬い実から黄色く香る完熟梅まで、約一か月のあいだに表情を変えていきます。農林水産省「梅の季節到来!」のページによれば、青梅は5月下旬から6月上旬、6月中旬から下旬にかけて黄熟梅が出回ります。スーパーの陳列が「青→黄」へと変わっていく様子を眺めるだけで、季節の進みが台所に飛び込んでくるよう。
用途別・梅の選び方
- 梅シロップ・梅酒 ─ 硬く青い梅(5月下旬〜6月上旬)。氷砂糖や焼酎に漬け、エキスをじっくり引き出す。
- 梅味噌・梅醤油 ─ 青梅または半熟梅。味噌や醤油の塩味が梅の酸味を受け止める。
- 梅干し ─ 黄色く香る完熟梅(6月中旬〜下旬)。柔らかく塩を吸い、土用干しで仕上げる。
- カリカリ梅 ─ 卵殻カルシウムを使う伝統製法では青梅が向く。
産地別で見ると、和歌山県が圧倒的な存在感を放っています。紀伊民報の報道によれば、2024年の梅収穫量は全国51,600トンのうち和歌山が29,700トンを占め、シェア約58%。和歌山県の梅生産は60年連続で全国1位という、梅仕事と土地の結びつきを物語る数字です。
主要品種を覚えると、選ぶ目が変わる
| 品種 | 大きさ | 特徴 | 向く加工 |
|---|---|---|---|
| 南高梅(なんこううめ) | 大粒 | 果肉ふっくら、皮薄く香り高い | 梅干し |
| 古城(こじろ) | 中粒 | 翡翠色の青さが鮮やか、繊維きめ細やか | 梅酒、梅シロップ |
| 小梅 | 小粒 | カリッとした食感、種が小さい | カリカリ漬け、しそ巻き |
| 露茜(つゆあかね) | 大粒 | 完熟で赤く色づく新品種 | 梅酒、ジャム |
紀州田辺うめ振興協議会の梅仕事ページでは、和歌山県田辺市を中心に育つ品種特性を詳しく解説しています。同協議会は平成13年(2001年)に設立された業界振興団体で、梅消費拡大と紀州ブランドの確立を目的としています。「ひと粒の南高梅は、太平洋から吹き上げる潮風と紀伊山地の保水力が育てた賜物」という生産者の言葉には、ただの食材ではない手仕事の物語が宿っています。
なお、産地の統計をもう少し丁寧に追いたい方には、農林水産省 こども相談室「梅の生産量と主な産地」が分かりやすくまとまっています。
暦が選ぶ「漬ける日」 ─ 六曜・月相・吉日が示す手仕事カレンダー
「いい梅が手に入ったら、すぐ仕込む」が梅仕事の鉄則。それでも、せっかくならば暦の節目に合わせて手を動かしたい。福カレンダーの暦データで2026年6月11日(木)〜6月21日(日)の十一日間を読み解くと、日ごとに表情の異なる「仕事日」が並びます。
| 日付 | 曜日 | 六曜 | 吉日 | 月相 | 日干支 | 推奨アクション |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 6/11 | 木 | 大安 | 大明日 | 晦の月 | 丙辰 | 入梅初日。瓶を煮沸し、青梅を選別 |
| 6/12 | 金 | 赤口 | 一粒万倍日・巳の日 | 晦の月 | 丁巳 | 弁財天縁日。青梅で梅シロップ仕込み |
| 6/13 | 土 | 先勝 | 一粒万倍日 | 晦の月 | 戊午 | 連日の万倍。梅酒の漬け込み |
| 6/14 | 日 | 友引 | - | 晦の月 | 己未 | 梅味噌・梅醤油など二品目に挑戦 |
| 6/15 | 月 | 大安 | - | 新月 | 庚申 | 新月の浄化。らっきょう塩漬け開始 |
| 6/16 | 火 | 赤口 | - | 新月 | 辛酉 | 静かな仕込み日。瓶の管理確認 |
| 6/17 | 水 | 先勝 | - | 繊月 | 壬戌 | らっきょうの塩抜きシフト準備 |
| 6/18 | 木 | 友引 | - | 繊月 | 癸亥 | 新生姜の甘酢漬け仕込み |
| 6/19 | 金 | 先負 | - | 繊月 | 甲子 | 60干支の起点・甲子。山椒の佃煮 |
| 6/20 | 土 | 仏滅 | - | 繊月 | 乙丑 | 翌日の夏至へ向けて瓶ラベル整え |
| 6/21 | 日 | 大安 | 寅の日 | 三日月 | 丙寅 | 夏至。完熟梅の梅干し漬け開始 |
特に注目したい日が三つあります。
6月12日(金) 一粒万倍日×巳の日 ─ 梅シロップの開瓶日
入梅の翌日が、年内屈指の弁財天デーと重なります。福カレンダーの暦読みでは、巳の日は弁財天の縁日。一粒万倍日と重なる「年内最強級の金運デー」が梅仕事と並ぶのは偶然ではありません。氷砂糖が溶けるたび、瓶のなかで小さな金色の渦が巻きます。詳しい意味は福カレンダーの吉日詳細ページで確認できます。
6月15日(月) 大安×新月 ─ らっきょう塩漬け開始の好機
新月は月の引力が最も穏やかになる時期。発酵食を仕込む日として古くから選ばれてきました。「新月から新月へ」とリズムを揃えれば、6月29日(月)頃に塩抜き、その後甘酢に漬け込んで7月中旬に食べごろを迎えます。
6月21日(日) 夏至×大安×寅の日 ─ 完熟梅で梅干しを始める
一年で昼が最も長い日に、完熟梅を樽に移すという作法は、湿度と温度のリズムにかなっています。寅の日は、虎が「千里を往きて千里を還る」ことから金運の象徴とされる吉日。詳しくは2026年6月21日(日)は父の日×夏至×大安×寅の日を参照ください。
「梅は三毒を断つ」(『本朝食鑑』元禄十年・1697年人見必大著)。江戸前期の本草書ですでに梅干しの薬効が記されており、夏越の食卓に欠かせない一品として位置づけられていました。
らっきょうと新生姜 ─ 入梅から夏至まで初夏の保存食三品
梅と並んで、入梅前後に台所を彩るのがらっきょうと新生姜。短い旬を逃さないよう、リズムよく仕込んでいきます。
らっきょう ─ 5月末から6月上旬の土付き、塩漬け→甘酢漬けの二段仕込み
らっきょうは「土付き」「洗い」の二種類が出回ります。土付きの方が日持ちは良いですが、根や薄皮を取る下処理に時間がかかる。仕込みは二段階で進めるのが基本です。
- 塩漬け(初日〜10日目) ─ 塩分10%の塩水に漬け、乳酸発酵を促す。常温で気泡が立ち始めれば順調。
- 塩抜き(10日目〜14日目) ─ 流水で半日、塩分を抜く。
- 甘酢漬け(14日目以降) ─ 米酢・砂糖・赤唐辛子を合わせ、瓶に詰める。1か月後から食べごろ。
新生姜 ─ 6月から7月、甘酢漬けと佃煮で夏を乗り切る
新生姜は皮が薄く、香りが立つ初夏限定の旬。甘酢漬け(ガリ風)、佃煮、生姜シロップなど用途が広い。「ピンク色の繊維が透けるくらい薄くスライスする」がポイントです。
実山椒 ─ 5月末から6月中旬、香りを閉じ込める佃煮
実山椒の旬はらっきょうと重なります。下処理(枝取り→塩茹で→水さらし)に手間はかかりますが、醤油漬けや佃煮にしておけば、夏の冷奴や鯵の南蛮漬けが格段においしくなる。
三品を一度に仕込む段取り術
| 仕込日(目安) | 6/11(木) | 6/15(月) | 6/18(木) | 6/21(日) |
|---|---|---|---|---|
| 青梅シロップ | 仕込み開始 | 撹拌 | 撹拌 | エキス完成へ |
| らっきょう塩漬け | - | 仕込み開始 | 発酵確認 | 塩抜き準備 |
| 新生姜甘酢漬け | - | - | 仕込み開始 | 一週間後完成 |
| 実山椒醤油漬け | - | - | 仕込み開始 | 香り定着 |
四品を並行して仕込めば、6月後半の食卓には自家製の保存食が常備される態勢が整います。福カレンダーの2026年6月の暦カレンダーで日々の節目を確認しながら、無理なく続けていきましょう。
入梅から夏至へ ─ 旬の食卓七皿
最後に、入梅から夏至までの十一日間で味わいたい初夏の食卓を、七皿のレシピアイデアでまとめます。「すぐ食べる旬」と「育てる保存食」を行き来する楽しみを感じてください。
- 青梅シロップのソーダ割り ─ 仕込み中の梅シロップは三日目から少量ずつ味見可能。氷を入れて炭酸で割れば、台所が一気に夏色に。
- らっきょうの甘酢漬け(去年仕込み) ─ 今年の塩漬けが終わるまでは、去年の瓶を最後まで楽しみ切る。
- 新生姜と鯵のたたき ─ 走り出しの鯵に新生姜のスライスとねぎ味噌。包丁の音まで初夏らしい一皿。
- 空豆と新じゃがの蒸し煮 ─ 立夏の名残を愛でる一品。塩と昆布だしだけで、素材の甘みを引き出します。
- 山椒香る鯵の南蛮漬け ─ 実山椒の醤油漬けを刻んで仕上げに。
- 紫陽花羊羹 ─ 紫陽花の花を模した寒天菓子。色は紫キャベツの煮汁から取れます。
- 完熟梅の梅干しおにぎり(去年仕込み) ─ 夏至の前夜、新しい梅仕事を始める前に、一年寝かせた梅で結ぶ握り飯。
入梅から夏至までの食卓は、来年の私たちが食べる保存食を仕込む期間でもあります。「今日のごちそう」と「明日のごちそう」が同時に進む、静かに忙しい十一日間です。
福カレンダー編集部の手仕事メモ ─ 暦と手仕事は対になっている
福カレンダー編集部の旬野椿(つばきしゅんの)です。私たちが「暦の節目で仕込む」と書くとき、それは縁起担ぎではなく、湿度・温度・体内時計のリズムを整える知恵だと考えています。新月の静けさが発酵食を落ち着かせ、満月の華やぎが収穫を祝い、節気が季節の節目を告げる。日本の保存食文化は、太陽と月の運行に寄り添って磨かれてきました。
2026年の入梅は6月11日(木)。福カレンダーの二十四節気×雑節 2026年の暦で、雑節の位置づけを年間サイクルから確認してみてください。芒種(6月6日)・入梅(6月11日)・夏至(6月21日)・夏越の祓(6月30日)と続く六月は、一年でいちばん暦と台所が手を結ぶ月です。
そして、瓶の音、梅の香り、氷砂糖が溶ける小さな振動。手仕事は五感を呼び覚まし、暮らしのリズムを取り戻させてくれます。「梅雨を厭うのではなく、梅雨があるからこその手仕事を楽しむ」。この一文を、これからひと月の私の合言葉にしたいと思います。あなたも、よかったら一緒に。
旬を食べることは、暦を味わうこと。今日の食卓に、季節のひとさじを。
参考(出典)
- 国立天文台暦計算室「令和8年(2026)暦要項 二十四節気および雑節」 https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/yoko/2026/rekiyou262.html
- 農林水産省「梅の季節到来!」 https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/kansho/kakudai/ume.html
- 農林水産省 こども相談室「梅の生産量と主な産地」 https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0304/03.html
- 紀州田辺うめ振興協議会「紀州梅の品種解説」 https://www.tanabe-ume.jp/umeshigoto/kisyuume/
- Wikipedia 日本語版「入梅」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A5%E6%A2%85
- 紀伊民報「2024年の梅収穫量 全国51,600トン、和歌山60年連続1位」 https://www.agara.co.jp/article/460046
参考文献・出典
- 旬 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-05-16)
- 気象庁 公式サイト— 気象庁(参照: 2026-05-16)
- 年中行事 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-05-16)
2026年の暦カレンダー
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旬野 椿旬と食の歳時記
- 旬の食材
- 食の歳時記
- 行事食
旬の食材と暦の関わりを、五感に訴える文章で届ける食の歳時記編集者。二十四節気に寄り添った食卓の提案から、旬の素材の選び方・保存法まで、暦を「食べる」楽しさを伝えている。
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本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
免責事項を読む →福カレンダーでは、暦に関するコンテンツを正確かつ分かりやすくお届けするよう努めています。
編集方針について →参考情報:暦注・民俗資料、公的機関の暦情報を参考に編集部が整理しています。
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