卯月(うづき)とは?4月の和風月名の由来と2026年の暦|卯の花・植月・葉桜から立夏へ続く晩春の旧暦

目次
卯月(うづき)とは ─ 4月の和風月名の基本
「卯月」と書いて「うづき」と読みます。耳に届くと、白い小さな花がこぼれるように咲く野辺と、田んぼの畦道に立つひんやりとした風が、ふっと立ちのぼってくる呼び名ではないでしょうか。
卯月は、日本の旧暦で4月を指す**和風月名(わふうげつめい)**です。和風月名とは、旧暦で月ごとに付けられた呼び名のこと。1月は睦月(むつき)、2月は如月(きさらぎ)、3月は弥生(やよい)……と続き、その4番目が卯月です。
ふだんは新暦のカレンダーで「4月」と呼んでいる月ですが、卯月という呼び名に置き換えてみると、咲きこぼれる白い花、田植えのはじまり、そして晩春から初夏へ移り変わる空気が、文字のなかに畳み込まれていることに気づきます。
姉妹記事の皐月(さつき)とは?5月の和風月名の由来と2026年の暦が「田の神を迎える月」を主題にしていたのに対し、卯月は「春が惜しまれながら、夏の入口へとつながっていく月」。今回は、福カレンダー編集部の暦川ひなたが、卯月の語源・別名・旧暦と新暦のずれ・2026年4月の暦ハイライトまでを、ご一緒にたどっていきますね。
卯月の語源 ─ 卯の花説・植月説・十二支説、三つのまなざし
卯月の語源には、有名な説がいくつもあります。「これがほんとう」と一つに決めにくいのが、和風月名の奥ゆかしいところでもあるのですね。代表的な三つの説を、順番に見ていきましょう。
1. 卯の花(ウツギ)説 ─ 通説とされている由来
もっともよく知られているのが、「卯の花が咲く月」という説です。卯の花とは、アジサイ科ウツギ属の落葉低木「空木(うつぎ)」の花のこと。旧暦4月から5月にかけて、白い小さな五弁の花を枝いっぱいに咲かせます。
「卯の花月(うのはなづき)」「ウツギ月」が省略されて「卯月」になったとされ、国立国会図書館の暦解説や複数の語源辞典でもっとも広く支持されている説として紹介されています。万葉集にも「卯の花」を詠んだ歌が残されており、古くから日本人にとって初夏のはじまりを告げる花として親しまれてきました。
2. 植月(うえつき)説 ─ 田植えの月としての由来
もう一つの有力な説が、「稲を植える月」を意味する「植月(うえつき・うゑつき)」が転じて卯月になった、というもの。旧暦4月は、稲の苗を本田に植える「田植え」が始まる時期にあたります。
実は、この説は皐月(さつき=早苗月)と地続きです。卯月で「植え始め」、皐月で「植え納め」。和風月名を二つ並べると、稲作の一年がそのまま月の名前に刻まれていることが分かりますね。
3. 十二支説 ─ 卯(うさぎ)の月としての由来
少し違う角度の説として、「十二支の卯(うさぎ)」を月にあてはめたとする見方もあります。十二支は時刻や方位だけでなく、月にも順番に当てはめて使われていました。十二支を旧暦の月に当てはめた呼び名は「月建(げっけん)」と呼ばれ、ここでの旧暦4月は十二支で「巳(み)」にあたるため、卯月の異名として「建巳月(けんしげつ)」も伝わっています。
つまり、十二支に「卯」という直接の字があっても、月建での卯月は「巳の月」。このずれもまた、和風月名の面白いところでしょう。
4. 「う」の音にこめられた意味
そしてもう一つ、音そのものに着目する説もあります。「う」は「初」「産」につながる音とされ、一年の循環の境目に「う」を置くことで、新しい季節の始まりを言祝ぐ意味があったのではないか、とする見方です。
どの説が「正しい」と決めつけるよりも、卯月という二文字に、という四つのまなざしが折り重なっている、と読むのが、暦の楽しみ方として豊かなのではないでしょうか。
花残月・木葉採月・夏初月 ─ 卯月のたくさんの別名
卯月には、卯月以外にもたくさんの異名(別名)があります。それぞれが、旧暦4月の風景や暮らしのひとコマを、そっと言葉に残してくれているのですね。
花残月(はなのこりづき)─ 山あいに残る桜
旧暦4月は、新暦でいうと5月中旬から6月上旬ごろ。平地の桜は散り終え、葉桜になっています。しかし山あいや北日本では、まだ遅咲きの桜がぽつぽつと残っている時期。**「春の花が、ほんの少しだけ残っている月」**という名残惜しい風情から、「花残月」と呼ばれました。
「春は終わってしまったけれど、まだどこかに残っている」──そんな移ろいゆく季節を惜しむ感性が、ひとつの月名に結晶しているのが分かります。
木葉採月(このはとりつき)─ 蚕に与える桑の葉
「木葉採月」は、すこし耳慣れない別名かもしれません。これは、絹糸の元となる繭玉を作る蚕(かいこ)の餌として桑の葉を採る月という意味。日本の養蚕は奈良時代以前から続く重要な産業で、旧暦4月は蚕がさかんに桑の葉を食べる時期でした。
絹を支えてきた女性たちの手仕事がそのまま月名になっている、と思うと、暦のなかに労働と暮らしの記憶が静かに刻まれていることに気づかされますね。
夏初月(なつはづき)・孟夏(もうか)─ 夏のはじまりとして
旧暦4月は、二十四節気でいうと**立夏(5月初旬)**を含む月にあたります。つまり旧暦の感覚では、4月にはもう「夏」が始まっているのです。だからこそ「夏初月」「孟夏(もうか)」「初夏(しょか)」といった、夏の入口を意味する別名が並びます。
新暦4月の感覚で「もう夏?」と思われるかもしれませんが、旧暦4月=新暦5月中旬〜6月中旬と読み替えると、初夏の呼び名がしっくりきますよ。
そのほかの別名
このほかにも、卯月には次のような雅な呼び名があります。
- 植月(うえつき)── 苗を植える月
- 卯花月(うのはなづき)── 卯の花の月
- 得鳥羽月(とくちょううづき)── 鳥が羽を得て美しくなる月
- 鳥来月(とりくづき)── 渡り鳥が訪れる月
- 乏月(ぼうげつ)── 端境期で食料が乏しい月
- 建巳月(けんしげつ)── 月建での十二支「巳」の月
ひとつの月にこれだけの呼び名が積もっていることに、改めて驚かされますね。
旧暦の卯月と新暦の4月 ─ ひと月のずれが教える季節感
ここで、卯月を読み解くうえで欠かせない**「旧暦と新暦のずれ」**について、少しだけ立ち止まりましょう。
| 暦 | 卯月(旧暦4月)の期間 | 季節感 |
|---|---|---|
| 旧暦 | 2026年5月17日〜6月14日(新暦) | 立夏〜小満〜芒種、初夏 |
| 新暦 | 2026年4月1日〜4月30日 |
2026年の暦カレンダー

暦川 ひなた暦の案内人
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