卯月(うづき)とは?4月の和風月名の由来と2026年の暦|卯の花・植月・葉桜から立夏へ続く晩春の旧暦

この記事でわかること
卯月(うづき)は4月の和風月名。「卯の花が咲く月」とも「稲を植える月」とも読まれる、二つの顔を持つ呼び名です。2026年の旧暦卯月は新暦5月17日〜6月14日。新暦4月の清明・穀雨・新月・GW突入までの暦ハイライトも、暦川ひなたが福カレンダーの暦データでやさしく読み解きます。
目次
卯月(うづき)とは ─ 4月の和風月名の基本
「卯月」と書いて「うづき」と読みます。耳に届くと、白い小さな花がこぼれるように咲く野辺と、田んぼの畦道に立つひんやりとした風が、ふっと立ちのぼってくる呼び名ではないでしょうか。
卯月は、日本の旧暦で4月を指す**和風月名(わふうげつめい)**です。和風月名とは、旧暦で月ごとに付けられた呼び名のこと。1月は睦月(むつき)、2月は如月(きさらぎ)、3月は弥生(やよい)……と続き、その4番目が卯月です。
ふだんは新暦のカレンダーで「4月」と呼んでいる月ですが、卯月という呼び名に置き換えてみると、咲きこぼれる白い花、田植えのはじまり、そして晩春から初夏へ移り変わる空気が、文字のなかに畳み込まれていることに気づきます。
姉妹記事の皐月(さつき)とは?5月の和風月名の由来と2026年の暦が「田の神を迎える月」を主題にしていたのに対し、卯月は「春が惜しまれながら、夏の入口へとつながっていく月」。今回は、福カレンダー編集部の暦川ひなたが、卯月の語源・別名・旧暦と新暦のずれ・2026年4月の暦ハイライトまでを、ご一緒にたどっていきますね。
卯月の語源 ─ 卯の花説・植月説・十二支説、三つのまなざし
卯月の語源には、有名な説がいくつもあります。「これがほんとう」と一つに決めにくいのが、和風月名の奥ゆかしいところでもあるのですね。代表的な三つの説を、順番に見ていきましょう。
1. 卯の花(ウツギ)説 ─ 通説とされている由来
もっともよく知られているのが、「卯の花が咲く月」という説です。卯の花とは、アジサイ科ウツギ属の落葉低木「空木(うつぎ)」の花のこと。旧暦4月から5月にかけて、白い小さな五弁の花を枝いっぱいに咲かせます。
「卯の花月(うのはなづき)」「ウツギ月」が省略されて「卯月」になったとされ、国立国会図書館の暦解説や複数の語源辞典でもっとも広く支持されている説として紹介されています。万葉集にも「卯の花」を詠んだ歌が残されており、古くから日本人にとって初夏のはじまりを告げる花として親しまれてきました。
2. 植月(うえつき)説 ─ 田植えの月としての由来
もう一つの有力な説が、「稲を植える月」を意味する「植月(うえつき・うゑつき)」が転じて卯月になった、というもの。旧暦4月は、稲の苗を本田に植える「田植え」が始まる時期にあたります。
実は、この説は皐月(さつき=早苗月)と地続きです。卯月で「植え始め」、皐月で「植え納め」。和風月名を二つ並べると、稲作の一年がそのまま月の名前に刻まれていることが分かりますね。
3. 十二支説 ─ 卯(うさぎ)の月としての由来
少し違う角度の説として、「十二支の卯(うさぎ)」を月にあてはめたとする見方もあります。十二支は時刻や方位だけでなく、月にも順番に当てはめて使われていました。十二支を旧暦の月に当てはめた呼び名は「月建(げっけん)」と呼ばれ、ここでの旧暦4月は十二支で「巳(み)」にあたるため、卯月の異名として「建巳月(けんしげつ)」も伝わっています。
つまり、十二支に「卯」という直接の字があっても、月建での卯月は「巳の月」。このずれもまた、和風月名の面白いところでしょう。
4. 「う」の音にこめられた意味
そしてもう一つ、音そのものに着目する説もあります。「う」は「初」「産」につながる音とされ、一年の循環の境目に「う」を置くことで、新しい季節の始まりを言祝ぐ意味があったのではないか、とする見方です。
どの説が「正しい」と決めつけるよりも、卯月という二文字に、白い花・若い稲・うさぎの月・始まりの音という四つのまなざしが折り重なっている、と読むのが、暦の楽しみ方として豊かなのではないでしょうか。
花残月・木葉採月・夏初月 ─ 卯月のたくさんの別名
卯月には、卯月以外にもたくさんの異名(別名)があります。それぞれが、旧暦4月の風景や暮らしのひとコマを、そっと言葉に残してくれているのですね。
花残月(はなのこりづき)─ 山あいに残る桜
旧暦4月は、新暦でいうと5月中旬から6月上旬ごろ。平地の桜は散り終え、葉桜になっています。しかし山あいや北日本では、まだ遅咲きの桜がぽつぽつと残っている時期。**「春の花が、ほんの少しだけ残っている月」**という名残惜しい風情から、「花残月」と呼ばれました。
「春は終わってしまったけれど、まだどこかに残っている」──そんな移ろいゆく季節を惜しむ感性が、ひとつの月名に結晶しているのが分かります。
木葉採月(このはとりつき)─ 蚕に与える桑の葉
「木葉採月」は、すこし耳慣れない別名かもしれません。これは、絹糸の元となる繭玉を作る蚕(かいこ)の餌として桑の葉を採る月という意味。日本の養蚕は奈良時代以前から続く重要な産業で、旧暦4月は蚕がさかんに桑の葉を食べる時期でした。
絹を支えてきた女性たちの手仕事がそのまま月名になっている、と思うと、暦のなかに労働と暮らしの記憶が静かに刻まれていることに気づかされますね。
夏初月(なつはづき)・孟夏(もうか)─ 夏のはじまりとして
旧暦4月は、二十四節気でいうと**立夏(5月初旬)**を含む月にあたります。つまり旧暦の感覚では、4月にはもう「夏」が始まっているのです。だからこそ「夏初月」「孟夏(もうか)」「初夏(しょか)」といった、夏の入口を意味する別名が並びます。
新暦4月の感覚で「もう夏?」と思われるかもしれませんが、旧暦4月=新暦5月中旬〜6月中旬と読み替えると、初夏の呼び名がしっくりきますよ。
そのほかの別名
このほかにも、卯月には次のような雅な呼び名があります。
- 植月(うえつき)── 苗を植える月
- 卯花月(うのはなづき)── 卯の花の月
- 得鳥羽月(とくちょううづき)── 鳥が羽を得て美しくなる月
- 鳥来月(とりくづき)── 渡り鳥が訪れる月
- 乏月(ぼうげつ)── 端境期で食料が乏しい月
- 建巳月(けんしげつ)── 月建での十二支「巳」の月
ひとつの月にこれだけの呼び名が積もっていることに、改めて驚かされますね。
旧暦の卯月と新暦の4月 ─ ひと月のずれが教える季節感
ここで、卯月を読み解くうえで欠かせない**「旧暦と新暦のずれ」**について、少しだけ立ち止まりましょう。
| 暦 | 卯月(旧暦4月)の期間 | 季節感 |
|---|---|---|
| 旧暦 | 2026年5月17日〜6月14日(新暦) | 立夏〜小満〜芒種、初夏 |
| 新暦 | 2026年4月1日〜4月30日 | 清明〜穀雨、晩春 |
福カレンダーの暦データで確認すると、2026年は**新暦5月17日が旧暦4月1日(新月)、新暦6月14日が旧暦4月29日(晦日)**にあたります。つまり厳密に旧暦で「卯月」と呼んでよい期間は、新暦5月中旬から6月中旬。新暦4月とは、ほぼひと月ずれているのです。
それでも、新暦の4月を「卯月」と呼ぶ習慣が広く残っているのは、明治の改暦(1873年)のとき、旧暦の月名がそのまま新暦の同じ番号の月にスライドして使われるようになったから。「現代の感覚では卯の花は5月に咲くのに、なぜ4月を卯月と呼ぶの?」という違和感の正体は、ここにあります。
ですから、4月の手紙やあいさつで「卯月の候」と書くときは、**「旧暦由来の呼び名で、いまの晩春をやさしく言い換えている」**と捉えるのが自然な読み方ですね。
2026年4月の暦ハイライト ─ 清明・穀雨・新月・GW突入
ここからは、2026年の新暦4月を、福カレンダーの暦データで一気に見ていきましょう。卯月の名前が示す「春の終わりと夏の入口」が、暦のうえでもしっかりと刻まれている月です。
清明(4月5日)─ 万物清く明らかに
二十四節気の清明(せいめい)が、**2026年は4月5日(日)**に入ります。「天地清明」、つまり万物が清らかに明るく輝く頃という意味の節気です。桜は終盤、新緑が芽吹き、ツバメが渡ってくる、晩春の節目ですね。
穀雨(4月20日)─ 春の最後の節気
そしてもう一つの大きな節目が穀雨(こくう)。**2026年は4月20日(月)**にあたります。「百穀を潤す春の雨」を意味する節気で、二十四節気の春最後の節気。穀雨を過ぎれば、次は5月5日の立夏。卯月から皐月へ、春から夏へと、暦が一段と深く動いていきます。
しかも2026年4月20日は、穀雨×一粒万倍日×甲子の日が重なる、ひと月のなかでもとくに気のそろった一日。福カレンダーの吉日カレンダーで4月の動きを追いかけてみると、暦の節目と吉日が重なる日が浮かびあがってきますよ。
新月(4月17日)─ 卯月の旧暦が始まる日
卯月という名前にもっとも忠実に寄り添うなら、4月17日(金)の新月を見逃せません。この日は新暦4月にいながらも、**旧暦3月1日(弥生のはじまり)**にあたる日。つまり、旧暦的には「弥生に入って、これからやっと卯月へ向かう」段階です。
新月は願い事を書いて手放すには絶好のタイミングと言われます。暮らしの中に旧暦の感覚を取り戻したい方は、4月17日の夜に、月のない空をそっと見上げてみるのも良いかもしれませんね。
4月25日(土)─ 大安×己巳の日×大明日の金運デー
卯月の中でひときわ目を引くのが、4月25日(土)。この日は大安×己巳の日×大明日が重なる、年に数回の金運デー。財布の使い始めや銀行口座の開設、貯蓄のスタートに最適な暦の組み合わせとして、福カレンダーでも注目されてきた一日です。
4月29日(昭和の日)─ 飛び石GWの幕開け
そして卯月の最終週には、いよいよGW飛び石連休2026の幕が上がります。4月29日(水)の昭和の日は、六曜は先負・月相は十三夜。昭和の日2026の暦読みで詳しく読み解いている通り、午前は静かに整え、午後から動き出すと暦の流れに沿いやすい一日です。
5月2日からの5連休と、その先の立夏2026(5月5日)に向けて、卯月の最終盤は「夏支度の助走期間」。新緑のなかで、こころと暮らしを軽く整えていきたい時期ですね。
卯月を暮らしに活かす ─ 暦の小さな手がかり
最後に、卯月という呼び名をいまの暮らしに引き寄せる小さなヒントを、暦川ひなたから三つお届けします。
一つ目は、晩春を惜しむ感性を取り戻すこと。 桜が散り、新緑が深まる4月は、つい「次は5月の連休」と気持ちが先走ってしまいがち。けれど卯月=花残月の名前を思い出すと、いま、ここの春がまだ少しだけ残っていることに気づけます。葉桜の下を歩く時間、咲き始めたツツジを眺める時間を、ほんの数分でも大切にしてみてくださいね。
二つ目は、旧暦と新暦の二重の暦を暮らしに置くこと。 新暦の4月は仕事と学校の新年度。旧暦の卯月は、まだ来月から始まる初夏の月。「外向きの新暦」と「内向きの旧暦」を、ふたつ並べて暮らしてみると、季節がもっと立体的に感じられます。詳しい4月の年中行事一覧も合わせて読んでみてくださいね。
三つ目は、卯の花が咲く5月下旬〜6月初旬に、もう一度「卯月」を思い出すこと。 旧暦の卯月は、新暦5月17日から6月14日。卯の花(ウツギ)が実際に白い花をつける時期は、まさにこの旧暦卯月のころです。新暦の4月を「卯月」と呼んだあと、5月終わりにもう一度「いま、本当の卯月だ」と思い直す──そんな暦の二度味わいが、和風月名の楽しみ方の真骨頂かもしれません。
新暦の4月が、ひととせの始まりとして駆け抜けていく月ならば、卯月は**「春が惜しまれ、夏が始まり、田と山が動き出す、移ろいの月」**。ふと立ち止まって、空の高さや風の匂いの変わり目を確かめてみる──そんな一日があれば、暦は数字以上のものを返してくれます。
福カレンダーの暦は、いつでもあなたの一歩を後押ししてくれる道しるべです。卯月の29日間を、どうかおだやかに過ごされますように。
──暦川ひなた
参考文献・出典
- 日本の暦 -国立国会図書館-— 国立国会図書館(参照: 2026-05-16)
- 暦計算室— 国立天文台 暦計算室(参照: 2026-05-16)
- 旧暦 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-05-16)
2026年の暦カレンダー
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