
香川県は年間うどん消費量が全国1位、一人あたりの消費量は全国平均の約2倍を誇ります。その讃岐うどんの起源には、弘法大師・空海が唐から製麺技術を持ち帰ったという伝説が深く根づいています。空海は讃岐国(現在の香川県善通寺市)の出身。9世紀初頭に唐へ渡り、密教とともに小麦の加工技術を学んで帰国したとされます。
讃岐平野は降水量が少なく、稲作よりも小麦栽培に適した土地でした。この風土が、うどん文化を花開かせる土壌となったのです。江戸時代の記録『金毘羅参詣名所図会』にはすでに讃岐のうどん屋が描かれており、金毘羅参りの名物として全国に知られていました。
現在でも香川県内には約600軒以上のうどん店があり、人口1万人あたりの店舗数は全国随一。2011年には県が公式に「うどん県」を宣言し、観光PRの柱としています。
**初午(はつうま)**は、2月最初の「午(うま)の日」に行われる稲荷神社の祭礼です。711年(和銅4年)のこの日、京都・伏見稲荷大社に稲荷大神が降臨したとされ、全国の稲荷神社で五穀豊穣と商売繁盛が祈願されます。
初午に欠かせないのが油揚げ。稲荷神の使いである狐の好物とされ、油揚げを使った「いなり寿司」は初午の定番です。香川ではこの油揚げを甘く炊いてうどんにのせた「きつねうどん」が初午の行事食として親しまれてきました。
| 暦の行事 | 時期 | 讃岐の行事食 |
|---|---|---|
| 初午 | 2月最初の午の日 | きつねうどん・いなり寿司 |
| 春分 | 3月20日頃 | ぼたもち・山菜うどん |
| 夏越の祓 | 6月30日 | しっぽくうどん(冷) |
| 冬至 | 12月22日頃 | かぼちゃ入りうどん |
暦の節目ごとに具材を変えるうどん文化は、讃岐ならではの「暦を食べる」知恵といえるでしょう。
讃岐うどんは年中食べられますが、季節ごとに姿を変えます。
しっぽくうどんは秋冬の代表格。大根、里芋、にんじん、ごぼう、油揚げなどの根菜をたっぷりと煮込んだ汁をかけた一杯で、立冬の頃から店頭に並び始めます。「しっぽく」の語源はポルトガル語や中国語など諸説ありますが、卓袱(しっぽく)料理の影響とする説が有力です。
釜揚げうどんは冬場に人気。茹でたてを釜のお湯ごと器に盛り、つけだしでいただきます。身体の芯から温まるこの食べ方は、讃岐の冬の養生食でもあります。
冷やしうどん・ぶっかけは夏の定番。小満から大暑にかけて、冷たいだしでさっぱりといただきます。讃岐では「ひやあつ(麺は冷・だしは熱)」「ひやひや(両方冷)」など、温冷の組み合わせを自在に選ぶ文化があります。
讃岐うどんの命は小麦粉。かつてはオーストラリア産ASW(オーストラリアン・スタンダード・ホワイト)が主流でしたが、2000年代に香川県オリジナル品種「さぬきの夢2000」、そして改良版「さぬきの夢2009」が開発されました。
讃岐の農事暦では、小麦は11月の小雪の頃に種をまき、翌年6月の芒種前後に収穫します。約7か月間、讃岐平野の穏やかな気候のもとで育つ小麦は、うどんに適した粘りとコシを持ちます。
地元の製麺所では新小麦が届くと「新粉打ち」と称して、その年の小麦の出来を確かめます。暦と大地が育んだ新しい恵みを最初に味わう、まさに讃岐ならではの風習です。
讃岐うどんと暦をつなぐ、日常で実践できる開運アクションをご紹介します。
初午の日に油揚げをのせたきつねうどんをいただきましょう。稲荷神に五穀豊穣と商売繁盛を感謝する伝統的な行事食です。近くの稲荷神社への参拝もあわせて行うと、さらに気持ちが引き締まります。今日の暦で午の日を確認してみてください。
二十四節気の変わり目は体調を崩しやすい時期。温かいうどんで胃腸を整えましょう。冬はしっぽくうどん、春は山菜うどん、夏はぶっかけ、秋はきのこうどんと、旬の具材を取り入れることで季節の恵みをいただけます。
一粒万倍日は、小さな行いが万倍に実る吉日。この日に太く長いうどんを食べることで「運を太く長く伸ばす」という縁起かつぎができます。新しいことを始める日の食事に、讃岐うどんを取り入れてみてはいかがでしょうか。
讃岐の食文化は、暦と深くつながっています。初午の日、二十四節気の変わり目、大安や一粒万倍日といった吉日─それぞれの日に合わせた「一杯」を選ぶことで、毎日の食卓に小さな開運を添えられます。
福カレンダーでは、六曜や吉日、二十四節気をひと目で確認できます。讃岐うどんのように「暦を食べる」習慣を、ぜひ日々の暮らしに取り入れてみてください。
本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
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