大暑2026 ─ 7月23日(木)先負×大明日×上弦、夏土用の中盤と26日土用の丑へ続く猛暑の節気

この記事でわかること
2026年の大暑は7月23日(木)4時13分。先負・上弦・戊戌が重なり、夏土用18日間(7/20-8/6)のちょうど中盤に位置する節気です。『暦便覧』が記した「暑気いたりつまりたる」の原意と、26日土用の丑・31日丙午日同柱まで続く2026年盛夏12日間の暦配置を、研究家・野分蓮が読み解きます。
目次
小暑の蝉時雨が日に日に厚みを増す7月下旬、暦は二十四節気の第12「大暑(たいしょ)」へと歩を進めます。2026年の大暑は 7月23日(木曜日)午前4時13分(太陽黄経120°到達/国立天文台確定値)。
2026年の大暑は、暦の並びの中で特異な位置に立っています。夏土用(7月20日〜8月6日)の18日間のうち、ちょうど4日目── つまり夏土用の前半が閉じ、後半へと差し掛かる節目の日にあたります。3日後の26日には土用の丑、29〜30日には満月、月末31日には大安×一粒万倍日×丙午(年干支と同柱)の特殊配置が控えます。「暦が背中を押す18日間」の中央に大暑が座る── そんな2026年盛夏の構造を、暦便覧の原典と国立天文台の確定値から読み解いていきましょう。
2026年7月23日の暦 ─ 先負×上弦×戊戌の構造
福カレンダーの暦マスターで2026年7月23日を照合すると、六曜は先負、月相は上弦(月齢8.72日)、日干支は戊戌(つちのえ・いぬ)、節気「大暑」がここに重なります。前後の暦配置を表で整理してみます。
| 日付 | 曜日 | 六曜 | 主な暦要素 |
|---|---|---|---|
| 7月19日 | 日 | 大安 | 天赦日×一粒万倍日・繊月 |
| 7月20日 | 月 | 赤口 | 海の日・夏土用入り・三日月 |
| 7月22日 | 水 | 友引 | 一粒万倍日 |
| 7月23日 | 木 | 先負 | 大暑・上弦・戊戌 |
| 7月24日 | 金 | 仏滅 | 十三夜 |
| 7月25日 | 土 | 大安 | 十三夜 |
| 7月26日 | 日 | 赤口 | 土用の丑(一の丑のみ)・十三夜 |
| 7月29日 | 水 | 先負 | 大明日・満月 |
| 7月31日 | 金 | 大安 | 一粒万倍日・大明日・丙午(年=日同柱) |
注目すべきは大暑を越えた先、大明日が7月29日から8月1日まで4日連続で並ぶことです。古暦は大明日を「天が大地を照らし通す日」と呼び、何事を始めるにも障りが少ない吉日と説きました。大暑からの厳しい暑気の出口が大明日の連続で照らされるのは、暦の設計思想として「最も厳しい暑気を、最も明るい光のなかで通り抜ける」配置として読むことができそうです。
「大暑」とは ─ 暦便覧が記す「暑気いたりつまりたる」
大暑は太陽黄経が120度に達する瞬間を指し、毎年おおむね7月22日〜23日に巡ってきます。二十四節気の第12番、夏季最後の節気にあたります。次の節気は8月7日の立秋。
「大暑」の意味として最も広く引かれるのは、江戸中期の暦解説書**『暦便覧』(天明7年/1787年)**の一文 ──
大暑、暑気いたりつまりたるゆえんなれば也
暑さが至り(極まり)、これ以上の上がりようがないところまで詰まった節気、という意味と読めます。『暦便覧』の編者・太玄斎(おおげんさい)は、各節気の名の由来を漢字一文字レベルで噛み砕いた解説書を残しました。大暑の項にある「いたりつまりたる」という和文は、漢字「大」「暑」を**「至り(いたり)」と「詰まる(つまる)」**に置き換えた語呂のよい説明で、節気名の本義をよく伝えています。
二十四節気の起源は古代中国・前漢時代(紀元前2世紀頃)に編まれた『淮南子(えなんじ)』天文訓にまで遡ると考えられています。黄河流域の気候を基準にした節気を奈良時代に日本へ取り入れ、貞享暦(1685年)で日本の気候に合わせて再編されました。大暑は本来、黄河流域の盛夏を指す節気ですが、湿度の高い日本では「暑気が極まる節気」というよりも、これから本格化する暑さの入り口としての性格が強いという指摘もあります。
七十二候の三推移 ─ 桐始結花から大雨時行へ
二十四節気は約15日間続きますが、それをさらに5日ずつ三つに分けたのが七十二候です。大暑の三候は次の通り。
| 候 | 期間 | 読み | 意味 |
|---|---|---|---|
| 初候 | 7/23〜27 | 桐始結花(きり、はじめてはなをむすぶ) | 桐の花が実を結び始める頃 |
| 次候 | 7/28〜8/1 | 土潤溽暑(つち、うるおうてむしあつし) | 大地が湿り、蒸し暑くなる頃 |
| 末候 | 8/2〜8/6 | 大雨時行(たいう、ときどきふる) | 夕立や台風が時折降る頃 |
- 桐始結花 ── 桐の花は本来初夏(5月)に淡紫色の筒状花を咲かせ、夏に実を結びます。古来、桐は皇室の家紋(五七桐)に用いられた格式高い樹で、「桐一葉落ちて天下の秋を知る」の故事でも知られています。大暑初候に「桐の結実」を置いた先人の観察眼は、夏の盛りの中にすでに秋の準備があると示している点で示唆深いものです。
- 土潤溽暑 ── 「溽(じょく)」は熱気を含んだ湿りの意。梅雨明けの晴天続きで乾いた地面が、夕立や朝露で再び湿りを取り戻し、それが日中の地熱に蒸し上げられて蒸し暑くなる時節を指します。日本特有の湿度の高さがこの候に色濃く現れる、と古典は記しています。
- 大雨時行 ── 「時行(ときどきふる)」は「時を選んで降る」の意。夏の終わりに発達する積乱雲がもたらす夕立、あるいは台風の襲来を予告する候です。陽の極大を過ぎた太陽が、対流圏の不安定さを呼び込む暦学的観察と読み解けます。
夏土用との関係 ─ 大暑は「中盤の入り口」
混同しやすいのが大暑と夏土用の関係です。夏土用は立秋の前18日間を指し、2026年は7月20日(月)から8月6日(木)まで。大暑(7/23)は土用入りから数えて4日目にあたり、暦の構造としては土用前半の終わり・後半の入り口に位置します。
土用は本来、立春・立夏・立秋・立冬の前にそれぞれ18日ずつ巡る期間で、陰陽五行説で「土の気が極まる時期」と説かれます。土を動かす作業(造作・地鎮)は避けたほうが良いとされる一方、**間日(まび)と呼ばれる日には土公神(どこうじん)が天上に遊ぶため作業が許される、という風習があります。2026年夏土用の間日は7月21日(申)・7月28日(卯)・7月29日(辰)・8月2日(申)**の4日。これは夏土用の間日が「卯・辰・申の日」と定められているためで、2026年7月23日の大暑当日(戊戌=戌の日)は間日に含まれません。土を扱う大規模な造作は、古来の作法では避ける日となります。
「土用の丑の日」と土用餅 ─ 大暑期の養生
2026年の土用の丑の日は7月26日(日)のみ、「一の丑」のみで二の丑がない、希少な年にあたります。丑の日に「う」のつく食べ物を食べる風習は、平安の和歌や江戸の戯文にも見られる伝統です。
- 鰻(うなぎ) ── 江戸中期、平賀源内が夏場に売り上げの落ちる鰻屋に「本日丑の日」の張り紙を勧めたという通説が有名ですが、確証ある一次史料は乏しいとされます。ただし万葉集には大伴家持が「夏痩せに鰻を食え」と詠んだ和歌(巻16-3853)があり、滋養食としての歴史は千数百年に及びます。
- 梅干し ── 塩分・クエン酸補給。土用干し(梅を3日間日に晒す作業)が大暑期の家事歳時記そのものです。
- 瓜(うり)の仲間 ── 胡瓜・苦瓜・西瓜・冬瓜・南瓜などはカリウムを多く含み、汗で失われる塩分とのバランスを取るとされます。
- うどん ── 暑気で食欲が落ちた時の冷うどんは、消化を助け体温を上げ過ぎない、と古来評されてきました。
土用餅(小豆あんを餅で包んだあんころ餅)は、京都を中心に大暑期に食べる風習が古くから続いています。小豆の赤色は厄除けと信じられ、餅の力で猛暑を乗り切るという二段構えの食習となっています。
丙午年の大暑 ─ 火気が極まる年の盛夏をどう過ごすか
2026年は60年に一度の丙午(ひのえうま)の年。十干「丙」(火兄=大きな火)と十二支「午」(火の気を象徴する馬)が重なり、五行で火気が二重に極大化する年と古来説かれてきました。
その丙午年の盛夏、しかも大暑(火気が極まる節気)が重なる7月23日は、陰陽五行の観点では、年の火気×節気の火気が同時に極大に達する一日と言えます。先人ならば「暑邪(しょじゃ)が最も濃く現れる日」と呼んだはずです。
さらに月末の7月31日(金)には大安×一粒万倍日×丙午が並びます。年干支(丙午)と日干支(丙午)が同柱する日は60日に一度しか巡ってきませんが、2026年における丙午日は古暦で**年=日同柱(かんしどうちゅう)**として注目されてきた日で、福カレンダー編集部が追いかけてきた干支重なる日カレンダーの最も顕著な一日でもあります。
火気の重畳に対する古来の養生は、ただ涼を取るのではなく、水気(腎・耳・骨・夜)を意識的に整えることに重きを置く、と東洋医学は説きます。具体的には次の三つが古典の処方として広く知られています。
- 早寝早起き(陰陽の調和を朝夕に取る)
- 冷たい水分を一気に取らず、常温で少しずつ(脾胃を冷やさない)
- 昼の最盛時間(11時〜15時)に静坐の時間を持つ(心火を鎮める)
エアコンの効いた屋内に閉じこもるよりも、朝夕の涼風を体に通し、昼の極暑の時間だけ静かに過ごす──現代の生活習慣で言えば「早朝散歩」「日中の昼寝・読書」「夕方のクールダウン」が、丙午年の大暑をしのぐ古典的な処方ということになりそうです。
大暑前後を読むためのカレンダー導線
2026年の大暑は、単日で意味を完結させる節気ではありません。7月19日(天赦日・一粒万倍日)から7月31日(一粒万倍日・大明日・丙午日)まで続く12日間の暦の流れとして読むことで、初めて先人が描いた季節構造が立ち上がってきます。前半(7/19-22)は陽気を最大限受け取る助走、中盤(7/23-26)は大暑×上弦×土用の丑の核心、後半(7/27-31)は大明日が連なるなか満月から月末丙午日へと向かう余韻──そう図式化することができそうです。
福カレンダーの暦データは、国立天文台が公表する令和8年暦要項の確定値を基に組み立てられており、節気の時刻、月相、日干支、吉日の重なりを一日単位で照合できる仕組みになっています。大暑から立秋までの15日間は、その仕組みが最も活きる時期の一つと言えるでしょう。
暦とは、千年の観察記録である。先人が空を見上げ続けた時間が、節気と七十二候という形で結晶している。大暑の項を読み返すたびに、「暑気いたりつまりたる」と書き留めた江戸の暦学者の筆勢が、令和の盛夏にも通じていることに気づかされる。
参考資料
- 国立天文台 令和8年(2026)暦要項 二十四節気および雑節(https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/yoko/2026/rekiyou262.html)
- 二十四節気「大暑」の解説(Wikipedia 日本語版)
- 太玄斎 編『暦便覧』天明7年(1787年)
- 『淮南子』天文訓(前漢、紀元前2世紀頃)
- 『万葉集』巻16-3853 大伴家持「石麻呂に我れ物申す夏痩せに良しといふ物そ鰻取り食せ」
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野分 蓮干支と暦の研究家
- 十干十二支
- 二十四節気
- 自然暦
十干十二支・二十四節気・自然と暦の関わりを、歴史と科学の両面から掘り下げる研究家肌の編集者。古文書の記述と現代の気象データを突き合わせるような、知的好奇心を刺激する考察記事を得意とする。
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本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
免責事項を読む →福カレンダーでは、暦に関するコンテンツを正確かつ分かりやすくお届けするよう努めています。
編集方針について →参考情報:暦注・民俗資料、公的機関の暦情報を参考に編集部が整理しています。
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