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旬の食材

立夏の旬レシピ2026 ─ そら豆と新茶で迎える暦の夏、五月の食卓七皿

旬野 椿旬と食の歳時記·2026.06.12 更新·約13分
立夏の旬レシピ2026 ─ そら豆と新茶で迎える暦の夏、五月の食卓七皿

この記事でわかること

2026年の立夏は5月5日(火)。そら豆の塩茹で、新茶のジュレ、初鰹の塩たたきから、新玉ねぎと桜えびのかき揚げまで。暦と結ぶ五月の献立七皿を、旬野椿が台所から届けます。

目次
  1. 1.一皿目|そら豆の塩茹で ─ ほくほくを逃がさない三分の技
  2. 2.二皿目|新茶のジュレ ─ 八十八夜の香りを閉じ込める
  3. 3.三皿目|初鰹の塩たたき ─ 藁焼きの代わりにガスバーナー
  4. 4.四皿目|新玉ねぎと桜えびのかき揚げ
  5. 5.五皿目|アスパラガスとそら豆の白和え ─ 立夏の緑づくし
  6. 6.六皿目|新茶ごはん ─ 茶飯に練り梅を忍ばせて
  7. 7.七皿目|柏餅と新茶の午後 ─ こどもの日の暦おやつ
  8. 8.暦で選ぶ五月の献立カレンダー
  9. 9.立夏の台所から、小満の梅仕事へ

立夏の朝、台所の換気扇を回す前に、まず窓を開けたくなります。夜の間にひんやりと沈んだ空気が、一度で夏色に入れ替わる瞬間があるのです。若葉の匂い、土の湿り気、遠くの風鈴のような鳥の声。立夏の光が差し込むこの時期、冷蔵庫を開けるたびに入れ替わる食材の顔ぶれを眺めるのが、五月の小さな楽しみです。

2026年の立夏は5月5日(火)。六曜は先負、月相は十六夜の満月明け、日干支は己卯、そして一粒万倍日が重なる吉日です。次の節気小満の5月21日(木)までの約二週間が、暦のうえでの「夏の序章」となります。

この期間の食卓は、春の名残と夏の走りが交差する、いちばん贅沢な時期でもあります。穀雨に芽吹いた筍や山椒はまだ少し残り、そら豆と新玉ねぎが主役に躍り出て、新茶の香気が部屋を満たし、初鰹の赤身が食卓に喝を入れる。走り・盛り・名残が一つの冷蔵庫に同居するこの短い季節を、七皿のレシピで辿ってみたいと思います。

料理は、旬の素材が七割、作り手の気配が三割。素材の力を借りれば、台所は季節そのものになる。


一皿目|そら豆の塩茹で ─ ほくほくを逃がさない三分の技

そら豆の旬は短い。5月上旬から中旬にかけての二、三週間で、収穫から時間が経つほど風味が落ちる「三日の食材」です。さやにハリがあり、産毛の残る鮮緑色、持ったときにずっしりと重いものを選びます。

基本の塩茹でで押さえるべき要点は、黒い筋の反対側に浅い切れ目を入れること。この一手間で塩気が中まで染み、茹で上がりに皮がするりと剥けます。

材料(2人前)

  • そら豆のさや:10〜12本(正味200g程度)
  • 水:1リットル
  • 塩:大さじ1

作り方

  1. さやから豆を外し、黒い筋の反対側に包丁で浅く3ミリほど切れ目を入れる。
  2. 水を沸騰させ、塩を溶かす。火は強火のまま。
  3. 豆を入れ、2分を目安に茹でる。豆の大きさによっては1分半で引き上げても良い。
  4. ざるに広げて冷ます。水には絶対にさらさない。水にさらすと甘みと香気が流れ出てしまう。

茹でたそら豆は、冷めきる前の温かいうちが最も香りが立ちます。塩を少しだけ追って添え、指で皮を剥きながらつまむ。冷えたビールや、涼やかな冷酒とよく合います。少し手を加えるなら、オリーブオイルとにんにくでさっと炒め、粗挽きの黒胡椒を振るだけで、イタリアの春の酒肴になります。

暦のヒント:2026年5月2日(土)は八十八夜。立春(2月4日)から数えて88日目にあたり、茶摘みの最盛期の幕開けです。この日は同時に一粒万倍日、月齢は満月。八十八夜にそら豆を茹で、新茶を淹れる夕餉は、春の労いと夏の予祝を兼ねる一皿になります。


二皿目|新茶のジュレ ─ 八十八夜の香りを閉じ込める

八十八夜に摘まれた新茶は、冬を越えた茶樹がため込んだ栄養の結晶です。旨味成分のテアニンが二番茶のおよそ二倍と言われ、渋味のカテキンが少ない、甘くまろやかな口当たり。淹れたての香りをどう食卓に持ち込むか——そこで、新茶のジュレをお勧めしたいのです。

材料(小鉢4人前)

  • 新茶の茶葉:10g
  • 湯(75度):300ml
  • 板ゼラチン:5g(または粉ゼラチン5g +水大さじ2でふやかす)
  • 塩:ひとつまみ
  • 添え:茹でそら豆、新玉ねぎの薄切り、白身魚の刺身などお好みで

作り方

  1. 板ゼラチンを冷水でふやかす。
  2. 急須に茶葉を入れ、75度の湯を注いで1分半蒸らす。沸騰した湯ではなく、一度湯冷ましに移して30秒ほど置いた湯を使う。
  3. 抽出した新茶を濾し、温かいうちに水気を絞ったゼラチンと塩を加えて溶かす。
  4. バットに流し入れ、冷蔵庫で2時間以上冷やし固める。
  5. フォークで粗くほぐし、ジュレ状にして小鉢に盛る。

新茶のジュレは、茹でたそら豆にかけるのが第一の推し。若草色と若草色の二重奏で、口に含むとほろりと崩れたジュレから茶の香気が広がります。白身魚の刺身に添えれば、醤油を使わずとも塩味と旨味で完結する前菜になり、暦の上の立夏と食卓の立夏が、一皿のなかで重なります。

新茶の選び方と淹れ方の詳しい解説は、立夏の旬|そら豆・新茶・初鰹で夏の恵みを味わうでも触れています。産地による香りの違い——静岡の深蒸し、鹿児島の知覧、京都の宇治——を飲み比べてから、好みの茶葉でジュレを作るのも贅沢な寄り道です。


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三皿目|初鰹の塩たたき ─ 藁焼きの代わりにガスバーナー

目には青葉 山ほととぎす 初鰹 ── 山口素堂

江戸中期の俳人が詠んだ季題は、今も立夏の食卓に生きています。黒潮に乗って太平洋を北上する初鰹は、春から初夏にかけて房総沖に到達し、脂は控えめながら赤身の旨味が澄み切った味わいになります。秋の戻り鰹が濃厚なら、初鰹は清冽。刺身よりも、たたきにして皮目の香ばしさを引き出すのが、この時期の流儀です。

土佐の一本釣り鰹の文化については高知のカツオの旬に詳しい背景があります。家庭で藁は焚けませんから、代わりにガスバーナーと氷水で代用する塩たたきをご紹介します。

材料(2〜3人前)

  • 鰹の刺身用柵:300g(皮付き)
  • 塩:小さじ1弱
  • 新玉ねぎ:1/2個(薄切りにして水にさらし、水気を絞る)
  • みょうが:2本(千切り)
  • 大葉:10枚(千切り)
  • おろし生姜:大さじ1
  • すだち:2個
  • 粗塩と黒胡椒:適量

作り方

  1. 鰹の柵の水気をキッチンペーパーで丁寧に拭く。
  2. 全体に塩を振り、5分ほど置いて浮いた水気を再び拭き取る。
  3. 金串を打つか、柵のままバットに乗せる。皮目を上にしてガスバーナーで一気に炙る。皮がぱりっと焦げ、脂が泡立つ瞬間まで。身側は白く色づく程度で止める。
  4. 氷水にさっとくぐらせて締め、すぐに取り出してキッチンペーパーで水気を拭う。
  5. 1cm厚に切り分け、皿に並べる。新玉ねぎ、みょうが、大葉を山盛りにし、おろし生姜を天に。
  6. ポン酢をかけず、粗塩とすだちだけでいただく。

皮目の香ばしさ、赤身の鉄分、新玉ねぎの甘み、みょうがの土の香り——五つの要素が一つに束ねられる、立夏の代表的な一皿です。立夏への備え ─ 夏を迎える二十四節気の養生カレンダーでも触れられているように、初鰹は血液の巡りを助けるとされ、気温差の激しい五月の養生にも理にかなっています。


四皿目|新玉ねぎと桜えびのかき揚げ

立夏の走りの主役のもう一人は新玉ねぎ。水分が多く辛味が少なく、生でも加熱しても甘みが立ちます。5月は桜えびの春漁がちょうど終盤にあたり、駿河湾の生桜えびや素干しの品が店先に並ぶ時期。この二つを合わせたかき揚げは、揚げたてのサクッという音と、甘塩っぱい香りで食卓を一気に初夏にしてくれます。

材料(2人前)

  • 新玉ねぎ:1個(薄切り)
  • 桜えび(素干し):15g
  • 三つ葉:適量(ざく切り)
  • 薄力粉:大さじ4+打ち粉用に少々
  • 冷水:大さじ3
  • 卵黄:1個分
  • 揚げ油:適量
  • 塩、すだち:添え

作り方

  1. 新玉ねぎを薄く切り、桜えびと三つ葉と一緒にボウルに入れる。打ち粉用の薄力粉を大さじ1ふるい、具材全体に絡めておく(衣離れ防止)。
  2. 別のボウルで卵黄と冷水を混ぜ、ふるった薄力粉大さじ4を加えてさっくり混ぜる。混ぜすぎない——粉っぽさが少し残るくらいが、軽い衣になる。
  3. 具材に衣を回しかけ、手早く和える。
  4. 油を170度に熱し、お玉で具材をすくって滑らせるように入れる。形を整えたら触らず、2分ほど揚げて裏返し、さらに1分。
  5. 油を切り、粗塩とすだちを添える。

暦のヒント:5月4日(月・みどりの日)は天赦日と寅の日が重なる、2026年でも貴重な開運日。5月6日(水・振替休日)も一粒万倍日。連休の台所に揚げ物の音を響かせる日として、これ以上の暦の後押しはありません。天赦日の意味と過ごし方と一粒万倍日の意味と過ごし方を合わせて読むと、五月の吉日の重なりが立体的に見えてきます。


五皿目|アスパラガスとそら豆の白和え ─ 立夏の緑づくし

アスパラガスもまた立夏の頃が最盛期。太く甘みの強い旬のアスパラと、ほくほくのそら豆を、絹ごし豆腐の衣で和える一皿は、見た目にも瑞々しい若草色の皿になります。

材料(2人前)

  • グリーンアスパラガス:3本
  • 茹でそら豆:正味80g(一皿目のレシピを使う)
  • 絹ごし豆腐:1/2丁(150g)
  • 白味噌:小さじ2
  • 練りごま(白):大さじ1
  • 薄口醤油:小さじ1
  • 砂糖:ひとつまみ
  • すり胡麻:大さじ1

作り方

  1. 豆腐はキッチンペーパーで包み、重しをして30分ほど水切りする。
  2. アスパラは根元の硬い部分を折り、下1/3の皮をピーラーで剥く。2〜3cmの斜め切りにし、塩少々を加えた湯でさっと茹で、冷水に取らずざるで冷ます。
  3. すり鉢に水切りした豆腐、白味噌、練りごま、薄口醤油、砂糖を入れ、なめらかになるまで擦る。
  4. アスパラ、そら豆を衣で和え、器に盛る。最後にすり胡麻をたっぷりと振る。

白味噌の甘みは、初夏の青い野菜の持つ少しの苦味を丸く包みます。冷蔵庫で30分ほど冷やしてから食べると、豆腐の衣が具材によりなじみ、上品な和え物になります。


六皿目|新茶ごはん ─ 茶飯に練り梅を忍ばせて

新茶は飲むだけではもったいない。炊き込みご飯として米に移すと、一粒ずつの米が淡い若草色に染まり、食卓の一角が初夏になります。塩むすびにしてお弁当に入れるのもよし、茶漬けにして夜の〆に据えるのもよし、応用の利く一品です。

材料(2合分)

  • 米:2合(といで30分吸水)
  • 新茶の茶葉:大さじ1
  • 水:400ml
  • 塩:小さじ1/2
  • 薄口醤油:小さじ1
  • 酒:大さじ1
  • 具:ちりめんじゃこ 大さじ3、刻んだ青紫蘇 5枚、炒りごま 大さじ1
  • 添え:練り梅(はちみつ梅を叩いたもの)適量

作り方

  1. 茶葉を急須に入れ、75度の湯400mlを注いで1分半蒸らし、濃いめに抽出する。
  2. 濾した茶を400mlに計量し直し(足りなければ湯を足す)、塩、薄口醤油、酒を加えて混ぜる。
  3. 炊飯器に米、茶、ちりめんじゃこを入れて普通に炊く。
  4. 炊き上がったら青紫蘇と炒りごまを混ぜ込み、10分蒸らす。
  5. 茶碗に盛り、中央に練り梅を少しだけ乗せる。

ちりめんじゃこの塩気と新茶の旨味、梅の酸味、紫蘇の香りが四方から寄せては引く。食欲が落ち気味な立夏明けの朝にこそ、この一膳を。


七皿目|柏餅と新茶の午後 ─ こどもの日の暦おやつ

2026年のこどもの日(5月5日・火)は立夏と重なります。端午の節句2026|五月人形を飾る吉日ガイドでも案内されている通り、端午の節句は立夏と同日という稀有な年。この日の午後、家族の誰かが新茶を淹れ、柏餅を頬張る——それだけで、暦行事は完結します。

柏餅の選び方と食べ方のコツ

柏餅の柏の葉は「新芽が出るまで古い葉が落ちない」特性から家系が絶えない縁起物とされ、子どもの成長祈願の象徴になっています。こしあん・つぶあん・味噌あんの三種があり、味噌あんは関東以北のやや独特の風味。葉は香り付けのために巻かれており、食べる時は外します。

新茶を淹れるなら、湯温は75度前後で1分半蒸らす。柏餅の素朴な甘みに、新茶のまろやかな旨味が寄り添います。甘いものとの相性を考えるなら、2煎目をやや濃いめに抽出し、渋味でキレを出す飲み方もお勧めです。

こどもの日の午後三時、障子越しの光の中で柏餅を切り分け、新茶を注ぐ。暦の行事は派手でなくていい、台所と食卓で完結する静かな祝いのほうが、むしろ残ります。


暦で選ぶ五月の献立カレンダー

2026年5月の吉日と旬の組み合わせを、台所目線で整理しておきます。

日付曜日暦お勧めの献立
5月2日土一粒万倍日・満月・八十八夜新茶のジュレとそら豆、初鰹の塩たたき
5月3日日憲法記念日・大明日アスパラとそら豆の白和え、茶飯
5月4日月みどりの日・天赦日・寅の日(天赦と寅が重なる貴重な開運日)新玉ねぎと桜えびのかき揚げ、初鰹
5月5日火立夏・こどもの日・先負・一粒万倍日・大明日柏餅と新茶、ちまき、初鰹のたたき
5月6日水振替休日・仏滅・一粒万倍日新茶ごはん、白和え
5月17日日新月・一粒万倍日・仏滅そら豆塩茹でで締めの一献
5月20日水天赦日・先勝(不成就日と重なる)立夏の締めに、初鰹の最後の食卓
5月21日木小満・友引・大明日梅仕事の始まり、枇杷を迎える

5月4日の天赦日×寅の日は2026年でも屈指の重なりで、財と縁起を祝う食卓にふさわしい日です。大安(たいあん)とは?のような吉日の意味を知ると、献立を組む楽しみが一段深まります。連休中は吉日が連なるため、5月2日から6日までを「暦ごはん週間」として、一皿ずつ順に作る計画も立てやすい暦配りです。


立夏の台所から、小満の梅仕事へ

穀雨の旬が春の実りを総仕上げする季節だとすれば、立夏は夏へ扉を開くための、いちばん瑞々しい入口です。そら豆のほくほく、新茶のまろやかさ、初鰹の澄んだ赤身、新玉ねぎの甘み、アスパラの歯ごたえ、桜えびの塩気、柏餅の素朴——七つの味が、暦の示す通りに食卓の上で繋がっていきます。

立夏は5月5日から始まり、5月20日まで続きます。翌21日から節気は小満に入り、食卓の主役は梅仕事へ、枇杷へ、鮎へと移り変わっていく。今年の梅酒・梅干しの仕込み準備を、この立夏の二週間のうちに整えておくと、季節の移ろいに遅れずに済みます。

旬の食材と暦が教えてくれる知恵は、素材を追うのではなく暦の流れに身を委ねること。五月の食卓に並ぶ若草色の皿の一つ一つが、日本の暦が千年かけて編んできた献立表です。

立夏の朝、窓を開けて、八百屋の袋を下げて帰る。それだけで、暦と台所が繋がる。そんな静かな五月を、今年も迎えたいと思います。

📚参考文献・出典

  1. 旬 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-05-16)
  2. 気象庁 公式サイト— 気象庁(参照: 2026-05-16)
  3. 年中行事 (Wikipedia 日本語版)— Wikipedia(参照: 2026-05-16)
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