
ウグイスの「ホーホケキョ」が春を告げ、ツバメの飛来が田植えの時期を知らせ、雁の鳴き声が秋の深まりを伝える――時計も暦もない時代、鳥は最も正確な季節の使者でした。七十二候には鳥に関する候が数多く登場し、鳥と暦の深い結びつきを今に伝えています。
七十二候は約5日ごとの自然の変化を記したもので、鳥に関する候が特に多く含まれています。
| 候 | 読み | 時期 | 節気 | 鳥 |
|---|---|---|---|---|
| 黄鶯睍睆 | うぐいすなく | 2月9日頃 | 立春・次候 | ウグイス |
| 玄鳥至 | つばめきたる | 4月5日頃 | 清明・初候 | ツバメ |
| 鴻雁北 | こうがんかえる | 4月10日頃 | 清明・次候 | 雁 |
| 霜止出苗 | しもやんでなえいずる | 4月25日頃 | 穀雨・次候 | (田植え関連でツバメ) |
| 蚯蚓出 | みみずいずる | 5月10日頃 | 立夏・次候 | (鳥のエサとなるミミズ) |
| 鶺鴒鳴 | せきれいなく | 9月13日頃 | 白露・次候 | セキレイ |
| 玄鳥去 | つばめさる | 9月18日頃 | 白露・末候 | ツバメ |
| 鴻雁来 | こうがんきたる | 10月8日頃 | 寒露・初候 | 雁 |
| 鶏始乳 | にわとりはじめてとやにつく | 1月30日頃 | 大寒・末候 | ニワトリ |
春に「玄鳥至(つばめきたる)」、秋に「玄鳥去(つばめさる)」。春に「鴻雁北(雁が北へ帰る)」、秋に「鴻雁来(雁が南から来る)」。七十二候は渡り鳥の往来で季節の巡りを正確に記録しています。
ウグイスは日本人にとって最もなじみ深い「暦の鳥」です。
本記事は一般的な暦の知識や伝統的な解釈に基づいています。 占いの結果を保証するものではありません。最終的な判断はご自身でお願いします。
免責事項を読む →福カレンダーでは、暦に関するコンテンツを正確かつ分かりやすくお届けするよう努めています。
編集方針について →参考情報:暦注・民俗資料、公的機関の暦情報を参考に編集部が整理しています。
他のカテゴリの知識も学んでみませんか?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 学名 | Horornis diphone |
| 別名 | 春告鳥(はるつげどり) |
| 体長 | 約14〜16cm |
| 鳴き声 | 「ホーホケキョ」(さえずり)、「チャッチャッ」(地鳴き) |
| 初鳴きの時期 | 平地では2月中旬〜3月上旬 |
気象庁は長年「ウグイスの初鳴き日」を生物季節観測として記録してきました。
ウグイスの初鳴き前線は桜前線よりも約1か月早く北上します。古来、ウグイスの初鳴きを聞くと「今年も春が来た」と確信したものです。
「梅に鶯」は日本を代表する取り合わせですが、実は梅の花に来る緑色の鳥は「メジロ」であることが多いです。ウグイスは茶色の地味な鳥で、藪の中を好みます。ただし、梅の開花時期(2月〜3月)とウグイスの初鳴きの時期が重なるため、暦の上では「梅とウグイス」は同じ季節を告げるペアなのです。
ツバメ(燕)は農耕文化と最も深く結びついた暦の鳥です。
| 時期 | 暦の節気 | ツバメの行動 |
|---|---|---|
| 3月下旬〜4月上旬 | 春分〜清明 | 東南アジアから日本に渡来。「玄鳥至」 |
| 4月〜5月 | 清明〜立夏 | 巣作り開始。泥と唾液で椀形の巣を作る |
| 5月〜7月 | 立夏〜小暑 | 産卵・子育て。1日に数百匹の虫を捕食 |
| 8月 | 立秋 | 2回目の子育て(二番子) |
| 9月中旬〜10月上旬 | 白露〜寒露 | 東南アジアへ渡去。「玄鳥去」 |
| 言い伝え | 意味 |
|---|---|
| 「ツバメが来たら田植えの準備」 | ツバメの渡来は田植え時期の目安 |
| 「ツバメが低く飛ぶと雨」 | 湿度が高いと虫が低く飛び、ツバメも低空飛行する |
| 「ツバメが巣を作る家は栄える」 | 害虫を食べてくれるツバメは農家の守り神 |
| 「ツバメが早く帰ると寒い冬が来る」 | 渡去の時期で冬の厳しさを予測する |
雁は秋の到来を告げる渡り鳥として、和歌・俳句に数多く詠まれてきました。
| 時期 | 節気 | 行動 | 七十二候 |
|---|---|---|---|
| 10月上旬 | 寒露 | シベリアから日本に渡来 | 鴻雁来(こうがんきたる) |
| 10月〜3月 | 寒露〜春分 | 水田・湿地で越冬 | ― |
| 4月上旬 | 清明 | シベリアへ渡去 | 鴻雁北(こうがんかえる) |
| 文化 | 内容 |
|---|---|
| 雁の使い | 雁は手紙を運ぶ鳥とされた。「雁書(がんしょ)」は手紙の雅称 |
| 月と雁 | 秋の満月に雁が飛ぶ図は日本画の定番。暦の秋を象徴する構図 |
| 雁金紋 | 武家の家紋に使われた。真田家の六文銭と並ぶ有名な紋 |
| 初雁(はつかり) | その年初めて渡来した雁。秋の季語 |
宮城県の伊豆沼・内沼は日本最大級の雁の越冬地で、毎年10万羽を超えるマガンが飛来します。夜明けに一斉に飛び立つ「ねぐら立ち」は圧巻の光景です。
| 月 | 鳥 | 暦との関わり |
|---|---|---|
| 1月 | ニワトリ | 大寒の末候「鶏始乳」。新年を告げる鳴き声 |
| 2月 | ウグイス | 立春の次候「黄鶯睍睆」。春告鳥 |
| 3月 | ヒバリ | 春の田畑で高く舞い上がってさえずる。田起こしの合図 |
| 4月 | ツバメ | 清明の初候「玄鳥至」。田植え準備のサイン |
| 5月 | ホトトギス | 「目には青葉 山ホトトギス 初鰹」。初夏の風物詩 |
| 6月 | カッコウ | 高原に響く声。梅雨の晴れ間に鳴く |
| 7月 | アオバズク | 夏の夜の森に棲むフクロウの仲間。「青葉木菟」 |
| 8月 | カワセミ | 渓流の宝石。立秋の頃から渓流で目立つ |
| 9月 | セキレイ | 白露の次候「鶺鴒鳴」。秋の清流を歩く |
| 10月 | 雁 | 寒露の初候「鴻雁来」。秋の深まりを告げる |
| 11月 | 白鳥 | 立冬の頃にシベリアから渡来。冬の使者 |
| 12月 | ミヤコドリ | 冬の海辺に現れる。「都鳥」は在原業平の歌で有名 |
ホトトギス(杜鵑)は俳句・和歌に最も多く詠まれた鳥です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 渡来時期 | 5月上旬(立夏の頃) |
| 鳴き声 | 「テッペンカケタカ」「特許許可局」と聞きなされる |
| 文学での位置づけ | 初音(その年初めて聞く鳴き声)を聴くことが風流とされた |
| 托卵 | ウグイスの巣に卵を産みつける。ウグイスが育てる |
| 武将 | 句 | 性格の表現 |
|---|---|---|
| 織田信長 | 鳴かぬなら殺してしまえホトトギス | 苛烈 |
| 豊臣秀吉 | 鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス | 策略家 |
| 徳川家康 | 鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス | 忍耐 |
この逸話は後世の創作とされていますが、ホトトギスが暦の鳥として日本文化に深く根付いていることを象徴しています。
日本には年間を通じてさまざまな渡り鳥が行き来しています。
| 分類 | 日本にいる時期 | 代表的な鳥 | 暦の節気 |
|---|---|---|---|
| 夏鳥 | 春〜秋 | ツバメ、ホトトギス、オオルリ | 清明〜白露 |
| 冬鳥 | 秋〜春 | 白鳥、雁、鴨、ジョウビタキ | 寒露〜春分 |
| 旅鳥 | 春と秋に通過 | シギ、チドリ | 春分・秋分前後 |
| 漂鳥 | 季節で国内移動 | ウグイス(平地↔山地) | 通年 |
| 留鳥 | 通年 | スズメ、カラス、キジ | 通年 |
渡り鳥の渡りは、二十四節気の季節区分とほぼ正確に一致しています。鳥たちは日照時間の変化を感知して渡りの時期を決めており、まさに生きた暦と言えます。
季節ごとのおすすめバードウォッチングスポットと見どころを紹介します。
| 季節 | おすすめの鳥 | スポット | 節気の目安 |
|---|---|---|---|
| 早春(2月) | ウグイス初鳴き | 里山・公園の藪 | 立春 |
| 春(4月) | ツバメ飛来、オオルリ | 水田地帯・渓流 | 清明 |
| 初夏(5月) | ホトトギス、サンコウチョウ | 山林・森 | 立夏 |
| 夏(7月) | 海鳥(ウミネコ、オオミズナギドリ) | 海岸・離島 | 小暑 |
| 秋(10月) | 雁・鷹の渡り | 湿地・山の峠 | 寒露 |
| 初冬(11月) | 白鳥飛来 | 湖沼(瓢湖、伊豆沼) | 立冬 |
| 冬(1月) | カモ類、猛禽類 | 都市公園の池・河川 | 大寒 |
鳥と暦の関係は、自然の変化を最も生き生きと伝えてくれる「生きた暦」です。
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 七十二候 | 9つの候に鳥が登場。季節の指標として正確 |
| ウグイス | 春告鳥。初鳴き前線は桜前線より1か月早い |
| ツバメ | 田植えの暦。「玄鳥至」「玄鳥去」で春秋を刻む |
| 雁 | 秋の使者。「鴻雁来」「鴻雁北」で季節の巡り |
| ホトトギス | 文学の暦鳥。戦国武将の逸話でも有名 |
| 渡り鳥 | 日照時間を感知する生きた暦。二十四節気と一致 |
2026年も鳥の声に耳を澄まして、暦が教える季節の便りを受け取ってみてください。
※ 当サイトはアフィリエイトプログラムに参加しており、上記リンクを通じてお申し込みがあった場合、当サイトに報酬が支払われることがあります。ご紹介するサービスは独自の基準で選定しています。