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ホーム›暦の知識›自然と暦›鳥と暦 ─ 渡り鳥・初鳴きが告げる季節の便り
自然と暦

鳥と暦 ─ 渡り鳥・初鳴きが告げる季節の便り

野分 蓮干支と暦の研究家·2026.05.13 更新·約12分
鳥と暦 ─ 渡り鳥・初鳴きが告げる季節の便り

この記事でわかること

ウグイスの初鳴き、ツバメの飛来、雁の渡り──鳥は最も正確な暦の使者。七十二候に描かれる鳥と季節の関係を詳しく解説します。

目次
  1. 1.七十二候と鳥 ─ 暦に描かれた鳥の季節
  2. 2.ウグイス ─ 春を告げる暦の使者
  3. 3.ツバメ ─ 田植えの暦を知らせる鳥
  4. 4.雁(ガン)─ 秋を告げる渡り鳥
  5. 5.よくある質問
  6. 6.まとめ

鳥と暦 ─ 渡り鳥・初鳴きが告げる季節の便り

ウグイスの「ホーホケキョ」が春を告げ、ツバメの飛来が田植えの時期を知らせ、雁の鳴き声が秋の深まりを伝える――時計も暦もない時代、鳥は最も正確な季節の使者でした。七十二候には鳥に関する候が数多く登場し、鳥と暦の深い結びつきを今に伝えています。

七十二候と鳥 ─ 暦に描かれた鳥の季節

七十二候は約5日ごとの自然の変化を記したもので、鳥に関する候が特に多く含まれています。

鳥が登場する七十二候一覧

候読み時期節気鳥
黄鶯睍睆うぐいすなく2月9日頃立春・次候ウグイス
玄鳥至つばめきたる4月5日頃清明・初候ツバメ
鴻雁北こうがんかえる4月10日頃清明・次候雁
霜止出苗しもやんでなえいずる4月25日頃穀雨・次候(田植え関連でツバメ)
蚯蚓出みみずいずる5月10日頃立夏・次候(鳥のエサとなるミミズ)
鶺鴒鳴せきれいなく9月13日頃白露・次候セキレイ
玄鳥去つばめさる9月18日頃白露・末候ツバメ
鴻雁来こうがんきたる10月8日頃寒露・初候雁
鶏始乳にわとりはじめてとやにつく1月30日頃大寒・末候ニワトリ

春に「玄鳥至(つばめきたる)」、秋に「玄鳥去(つばめさる)」。春に「鴻雁北(雁が北へ帰る)」、秋に「鴻雁来(雁が南から来る)」。七十二候は渡り鳥の往来で季節の巡りを正確に記録しています。


ウグイス ─ 春を告げる暦の使者

ウグイスは日本人にとって最もなじみ深い「暦の鳥」です。

ウグイスの基本情報

項目内容
学名Horornis diphone
別名春告鳥(はるつげどり)
体長約14〜16cm
鳴き声「ホーホケキョ」(さえずり)、「チャッチャッ」(地鳴き)
初鳴きの時期平地では2月中旬〜3月上旬

初鳴き前線 ─ ウグイスが教える春の到来

気象庁は長年「ウグイスの初鳴き日」を生物季節観測として記録してきました。

地域初鳴き日の目安暦の節気
九州南部2月上旬立春の頃
関東平野2月中旬〜3月上旬立春〜啓蟄
東北南部3月中旬〜下旬啓蟄〜春分
北海道南部4月上旬〜中旬清明の頃
北海道北部5月上旬立夏の頃

ウグイスの初鳴き前線は桜前線よりも約1か月早く北上します。古来、ウグイスの初鳴きを聞くと「今年も春が来た」と確信したものです。

「梅に鶯」の本当の意味

「梅に鶯」は日本を代表する取り合わせですが、実は梅の花に来る緑色の鳥は「メジロ」であることが多いです。ウグイスは茶色の地味な鳥で、藪の中を好みます。ただし、梅の開花時期(2月〜3月)とウグイスの初鳴きの時期が重なるため、暦の上では「梅とウグイス」は同じ季節を告げるペアなのです。


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ツバメ ─ 田植えの暦を知らせる鳥

ツバメ(燕)は農耕文化と最も深く結びついた暦の鳥です。

ツバメの暦

時期暦の節気ツバメの行動
3月下旬〜4月上旬春分〜清明東南アジアから日本に渡来。「玄鳥至」
4月〜5月清明〜立夏巣作り開始。泥と唾液で椀形の巣を作る
5月〜7月立夏〜小暑産卵・子育て。1日に数百匹の虫を捕食
8月立秋2回目の子育て(二番子)
9月中旬〜10月上旬白露〜寒露東南アジアへ渡去。「玄鳥去」

ツバメと農業の暦

言い伝え意味
「ツバメが来たら田植えの準備」ツバメの渡来は田植え時期の目安
「ツバメが低く飛ぶと雨」湿度が高いと虫が低く飛び、ツバメも低空飛行する
「ツバメが巣を作る家は栄える」害虫を食べてくれるツバメは農家の守り神
「ツバメが早く帰ると寒い冬が来る」渡去の時期で冬の厳しさを予測する

雁(ガン)─ 秋を告げる渡り鳥

雁は秋の到来を告げる渡り鳥として、和歌・俳句に数多く詠まれてきました。

雁の暦

時期節気行動七十二候
10月上旬寒露シベリアから日本に渡来鴻雁来(こうがんきたる)
10月〜3月寒露〜春分水田・湿地で越冬―
4月上旬清明シベリアへ渡去鴻雁北(こうがんかえる)

雁にまつわる暦の文化

文化内容
雁の使い雁は手紙を運ぶ鳥とされた。「雁書(がんしょ)」は手紙の雅称
月と雁秋の満月に雁が飛ぶ図は日本画の定番。暦の秋を象徴する構図
雁金紋武家の家紋に使われた。真田家の六文銭と並ぶ有名な紋
初雁(はつかり)その年初めて渡来した雁。秋の季語

宮城県の伊豆沼・内沼は日本最大級の雁の越冬地で、毎年10万羽を超えるマガンが飛来します。夜明けに一斉に飛び立つ「ねぐら立ち」は圧巻の光景です。


季節を告げる鳥たち ─ 月別ガイド

月ごとの「暦の鳥」

月鳥暦との関わり
1月ニワトリ大寒の末候「鶏始乳」。新年を告げる鳴き声
2月ウグイス立春の次候「黄鶯睍睆」。春告鳥
3月ヒバリ春の田畑で高く舞い上がってさえずる。田起こしの合図
4月ツバメ清明の初候「玄鳥至」。田植え準備のサイン
5月ホトトギス「目には青葉 山ホトトギス 初鰹」。初夏の風物詩
6月カッコウ高原に響く声。梅雨の晴れ間に鳴く
7月アオバズク夏の夜の森に棲むフクロウの仲間。「青葉木菟」
8月カワセミ渓流の宝石。立秋の頃から渓流で目立つ
9月セキレイ白露の次候「鶺鴒鳴」。秋の清流を歩く
10月雁寒露の初候「鴻雁来」。秋の深まりを告げる
11月白鳥立冬の頃にシベリアから渡来。冬の使者
12月ミヤコドリ冬の海辺に現れる。「都鳥」は在原業平の歌で有名

ホトトギス ─ 文学に最も多く登場する暦の鳥

ホトトギス(杜鵑)は俳句・和歌に最も多く詠まれた鳥です。

項目内容
渡来時期5月上旬(立夏の頃)
鳴き声「テッペンカケタカ」「特許許可局」と聞きなされる
文学での位置づけ初音(その年初めて聞く鳴き声)を聴くことが風流とされた
托卵ウグイスの巣に卵を産みつける。ウグイスが育てる

戦国武将とホトトギス

武将句性格の表現
織田信長鳴かぬなら殺してしまえホトトギス苛烈
豊臣秀吉鳴かぬなら鳴かせてみせようホトトギス策略家
徳川家康鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス忍耐

この逸話は後世の創作とされていますが、ホトトギスが暦の鳥として日本文化に深く根付いていることを象徴しています。


渡り鳥の暦 ─ 日本を行き交う鳥たち

日本には年間を通じてさまざまな渡り鳥が行き来しています。

渡り鳥の分類と暦

分類日本にいる時期代表的な鳥暦の節気
夏鳥春〜秋ツバメ、ホトトギス、オオルリ清明〜白露
冬鳥秋〜春白鳥、雁、鴨、ジョウビタキ寒露〜春分
旅鳥春と秋に通過シギ、チドリ春分・秋分前後
漂鳥季節で国内移動ウグイス(平地↔山地)通年
留鳥通年スズメ、カラス、キジ通年

渡り鳥の渡りは、二十四節気の季節区分とほぼ正確に一致しています。鳥たちは日照時間の変化を感知して渡りの時期を決めており、まさに生きた暦と言えます。


バードウォッチングの暦カレンダー

季節ごとのおすすめバードウォッチングスポットと見どころを紹介します。

季節おすすめの鳥スポット節気の目安
早春(2月)ウグイス初鳴き里山・公園の藪立春
春(4月)ツバメ飛来、オオルリ水田地帯・渓流清明
初夏(5月)ホトトギス、サンコウチョウ山林・森立夏
夏(7月)海鳥(ウミネコ、オオミズナギドリ)海岸・離島小暑
秋(10月)雁・鷹の渡り湿地・山の峠寒露
初冬(11月)白鳥飛来湖沼(瓢湖、伊豆沼)立冬
冬(1月)カモ類、猛禽類都市公園の池・河川大寒

よくある質問

Q: ウグイスの初鳴き日は毎年同じですか? A: いいえ、年によって変動します。暖冬の年は例年より早く(1月下旬〜2月上旬)、寒い年は遅く(3月中旬以降)なります。気象庁のデータによると、地球温暖化の影響で長期的にはウグイスの初鳴き日が早まる傾向にあります。ただし2020年に気象庁は生物季節観測の大半を廃止し、現在は一部の項目のみ継続しています。
Q: ツバメはなぜ人の家に巣を作るのですか? A: ツバメは天敵(カラス・ヘビ)から身を守るため、人間の近くに巣を作る戦略を取っています。人が出入りする場所にはカラスやヘビが近づきにくいからです。また、家の軒下は雨を避けられ、巣の材料となる泥も人里近くで手に入ります。暦の上では清明(4月5日頃)から巣作りが始まります。
Q: 雁と鶴はどう違いますか? A: 雁(ガン)はカモ科の渡り鳥で、体長60〜90cm程度。冬に日本で越冬し、水田や湿地で過ごします。鶴はツル科で体長100〜150cmと大型。日本で見られる野生のタンチョウは北海道に留鳥として生息しています。どちらも日本文化で縁起の良い鳥として「鶴は千年、亀は万年」のように珍重されています。
Q: 「鳥の目」で天気を予測できますか? A: はい、鳥の行動は天気の変化を敏感に反映します。「ツバメが低く飛ぶと雨」は湿度と虫の飛行高度の関係で科学的に説明できます。また「海鳥が陸に上がると嵐が来る」「カラスが騒がしいと天気が変わる」なども古くからの暦の知恵として伝わっています。

まとめ

鳥と暦の関係は、自然の変化を最も生き生きと伝えてくれる「生きた暦」です。

ポイント内容
七十二候9つの候に鳥が登場。季節の指標として正確
ウグイス春告鳥。初鳴き前線は桜前線より1か月早い
ツバメ田植えの暦。「玄鳥至」「玄鳥去」で春秋を刻む
雁秋の使者。「鴻雁来」「鴻雁北」で季節の巡り
ホトトギス文学の暦鳥。戦国武将の逸話でも有名
渡り鳥日照時間を感知する生きた暦。二十四節気と一致

2026年も鳥の声に耳を澄まして、暦が教える季節の便りを受け取ってみてください。


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📚参考文献・出典

  1. 日本の野鳥— 環境省(参照: 2026-05-02)
  2. 暦Wiki — 二十四節気— 国立天文台(参照: 2026-05-02)
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野分 蓮

野分 蓮干支と暦の研究家

  • 十干十二支
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十干十二支・二十四節気・自然と暦の関わりを、歴史と科学の両面から掘り下げる研究家肌の編集者。古文書の記述と現代の気象データを突き合わせるような、知的好奇心を刺激する考察記事を得意とする。

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目次

  1. 1.七十二候と鳥 ─ 暦に描かれた鳥の季節
  2. 2.ウグイス ─ 春を告げる暦の使者
  3. 3.ツバメ ─ 田植えの暦を知らせる鳥
  4. 4.雁(ガン)─ 秋を告げる渡り鳥
  5. 5.よくある質問
  6. 6.まとめ

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